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金利上昇は郵政金融事業だけではなく金融機関全体の問題:国債のみの郵政のほうが銀行より財務基盤は強固
http://www.asyura2.com/0505/dispute21/msg/779.html
投稿者 あっしら 日時 2005 年 8 月 27 日 04:26:43: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: <郵政民営化解散(2) 8月9日 吉田繁治> 6兆円で、世界最大の金融機関(郵貯+簡保=資金量330兆円)の支配株主に! 投稿者 まさちゃん 日時 2005 年 8 月 26 日 19:30:45)

まず、金利の変動は、日銀の政策でコントロールできるものである。
言い換えるなら、国債の大幅な価格下落(利率及び利回りの上昇)は日銀がきちんと政策を実施する限り起きないということになる。

それでは話が終わってしまうので、既発国債の暴落=金利の上昇があったとしよう。

金利上昇が及ぼす問題は、郵政金融事業に限ったことではなく、商業銀行・保険会社など金融機関全体が被るものである。

吉田繁治氏は、「意外に低いのではない。国への貸付しかしていず、金利が上がればリスク資産になる国債しかもたない郵貯・簡保の財務の実力は、それだけしかない」と説明しているが、金利上昇は、郵政だけではなく同じように預かったお金で貸し出しをしているすべての金融機関を襲う経済事象である。

郵政だけが国債を保有しているわけではなく、銀行も100兆円ほど保有している。

また、変動金利で貸し出しをしていない限り、貸し出し債権の価値も理論上劣化する。それは、貸し出し債権を証券化して売ることを考えれば理解できる。
(払い戻しに応じるために貸し出し債権を回収(売却)しなければならないこともある。貸し出し債権を証券化して利益をフィックスしていれば、その部分では問題が生じないが、そのお金でさらに貸し出しや債券投資をしているはずだから同じ問題をずっと引きずっている)

さらに、銀行などは、金利スワップのデリバティブにも手を出しているので、儲けるところも出てくるがとんでもない損失を被るところも出てくる。
(金利上昇は株価下落の要因だがそれは除外する)

吉田氏の「金利が上がればリスク資産になる国債しかもたない郵貯・簡保は」は、『金利が上がればリスク資産になる国債や貸し出し債権を持っている金融機関は』に、書き換えなければならない。
郵政以外の金融機関は、債務は確実に履行される国債の他に、利息も受け取れず元本も全額は回収できない可能性があるレベルのリスク資産も保有している。

「民営化で40%の税がかかれば、昨年の税後利益は7200億円。国債下落(金利上昇)があれば、ひとたまりもない「泡末利益」」というのは、民間の金融機関にもそのまま適用できる話なのである。


このようなことから、吉田繁治氏の説明は、「意外に低いと言えるだろう。国への貸付しかしていず、金利が上がればリスク資産になる程度の国債しかもたない郵貯・簡保の財務の実力は、同じリスクの国債に加えて金利・元本の回収が保証されていない貸し出しリスク資産も持っている銀行のそれより強固だからである」と書き換えたほうがいいものである。


郵政金融事業と運用の中核を占める国債の価格変動について簡単に考察してみる。

郵政金融事業が100兆円を受け入れ、そのうちの95兆円で国債を購入していると仮定する。

受け入れた100兆円に0.3%の利息を払い、95兆円の国債からは1%の利息を受け取るとする。残りの5兆円は、払い戻し準備に向けられた現金及び日銀当座預金とする。また、払い戻し準備が減少したときは保有国債を売却して補填するものとする。


支払い利息額:3000億円
受取り利息額:9500億円
金融余剰:6500億円

郵政金融事業は、100兆円に対して0.65%の金融余剰を毎年得ることになる。

金融状況の変動で国債価格が下落して利回りが上昇したとする。
このような金融状況の変動は一般的な金利の上昇をもたらす。(もっとも安全な貸し出し(投資)先である国債の利率を下回る利率でリスクがある相手に貸すひと(金融機関)はまずいないからである)

このような金融状況の変動があっても、上記の債務(受け入れ)・債権(国債)に関しては、支払い利息も受け取り利息も確定しているから、郵政金融事業が直接の影響を受けることはない。

影響を受けるのは、貯金者が金利上昇を受けて貯金を解約して郵政以外にお金を回すときである。

いったん解約して利率が上がった郵政貯金に預け入れ直される分は、その金額に見合う国債を売却しそのお金で利回りが高くなった国債を購入すれば、上記と同等の金融余剰を得ることができる。
(現実的には、さらに国債価格を押し下げるような売却をせず、保有国債(資産)の評価替えをすればいい。定期性預金は中途解約すると約定より低い利率を適用されるはずだから、評価替えで発生する損はあるとしても微々たるものであろう。支払い利息が受け取り利息よりずっと少なくなっているのは、このような金利変動に対応するためでもあるのだから大きな問題にはならない)

おそらく、郵便貯金をしている人たちの多くは預け替えを選択するはずである。
郵便局員がきちんと説明すれば、そのまま郵政に預け続ける割合は100%に近くなる。
金利上昇は郵政だけを襲う問題ではないから他の金融機関との金利差は変わらず、郵便貯金は損だと思う人は、とっくに別のところにお金を預けているであろう。


ありえないことだが、金利上昇が引き金になって、郵便貯金の解約が払い戻し準備を超えるほど殺到したときはどうであろうか。
多額の払い戻しに応じるために保有する国債を大量に売却しなければならないかもしれないが、郵政は継続的に国債を買い入れているから、まずは、国債の償還で得たお金を使うことになる。(借換債との交換には応じないということだから、財務省は日銀に面倒をみてもらうことになるだろう)
この場合は市場価格とは無関係に額面通りの償還だからなんら問題が生じない。

払い戻し準備も償還分も使い切ったときは、償還前の国債を売却しなければならない。
このときは、銀行なども同じ運命にさらされているから、政府・日銀は「低い利回りの国債」(既発国債)を現状の金利状況に合わせた「高い利回りの国債」(新規国債)に差し替える策を採るだろう。
「高い利回りの国債」(新規国債)は既発国債と違って売却しても損が出ないから、それを売却して払い戻しに応じればいい。それが可能になるまでのつなぎは、日銀がゼロ金利で当座預金残高を積み増す政策をとって対応するはずである。

なににしても、日本円の運用は日本経済と不即不離で行われるものだから、金利の一時的な急変動が収まれば、元の状況に近い預貯金と運用に落ち着くことになる。


※ 郵政の場合はこの程度の対応策で済むが、企業や個人に貸し出しをしている銀行などの金融機関は、不良債権まで日銀に買い取ってもらわなければ対応ができない可能性もある。郵政ではなく銀行なら、上述のシュミレーションがどうなるか考えてみると面白いだろう。国債に関する部分は郵政と同じだから、殺到する解約に応じるために貸し出し債権をどうするかを追加的に考えることになる。


財務省・日銀は、金利を上昇させるとしても、郵政を含む金融機関が保有する国債が経営に打撃を与えないようじんわりと上昇させていく政策を採る。

(現状を見ればわかるように、日銀がその時々の資金需要に見合う日本円の供給を行えば金利は上昇しないのである。民間の金融資産が増加していないのに、毎年35兆円もの国債が低利で消化できているのが何よりの証である)

国債は継続的に入れ子的に買われているから、長い年月を掛けて上昇する金利なら問題を発生させることなく吸収することができる。
(国債から受け取っている利息に較べれば、預金者に支払っている利息はわずかなものでしかない)


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