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(回答先: 政府の大小に関する考察 投稿者 どん兵衛 日時 2005 年 8 月 09 日 10:53:28)
「大きな政府」とは、税金を沢山取って色々なことをする政府です。政府の仕事には色々ありますが、大きく分ければ「政府である以上、(国防・警察・司法・消防のように)どこの国の政府でも必ずやる必要がある仕事」と、「やって欲しいが、財源は税金だから、それとのかねあいで国毎に内容や程度が大きく違うサービス」があります。
大まかに言うと前者には(初等教育・公衆衛生・最低限の自然保護や文化活動など)先進国の体をなす最低限活動を含めてGNPの10%くらいが必要なようで、最貧国を除くと、「政府消費支出の対GNP比率が10%を割る国」は見あたりません。ちなみに日本はこの比率が約11%で、先進国の中では際だって低い、つまり「目立って小さな政府」を持つ国です。
この比率は西欧諸国が概ね20〜30%で、福祉国家として知られる北欧は30%を超えます。見方によれば、この比率が10%を超える部分が、その国の経済活動の成果を、公的部門を経由して広く一般国民に配分する活動に当てられて居ると言えます。
「どの程度に大きな政府を持つか」は費用と便益の関係ですが、どの程度が適正かを考えるには、受益者と負担者を「国民一般」に括ってしまうと、「なるべく少ない税金で、なるべく多くのサービス」と言う答しか出ず、問題の本質が判らなくなります。
世の中には低所得で、幾ら所得税が上がっても、実質的には税金を殆ど払わない(払えない)人が居て、他方の端には「必要なサービスは、全部俺の金で買うから、何かと面倒は公的サービスは要らない」と言う人々が居ます。前者を仮に「貧乏人」と呼び、後者をを「金持ち」と呼ぶことにします。現実には多くの人々はこの中間に居ます。
一方で「貧乏人」は、実は(福祉・医療・雇用・教育補助など)政府の色々なサービスをより多く必要として居る人々でもあり、利害関係から言うと高福祉・高負担の「大きな政府」の方が徳です。
他方で「金持ち」のホンネとして、「(俺の)税金で、これ以上(奴らの)面倒を見るのは真っ平」と考えるのは自然の情であり、このホンネをオブラートに包んだのが「小さな政府」という政治的スローガンだと考えると分かりやすいと思います。この主張を最もストレートに語るのが、アメリカのサプライサイダー達です。
この本質を隠して「小さな政府指向は、無条件に正しい」と言うキャンペーンや、それにおもねる学説がメディアを覆い、国民を洗脳してしまって居るのが日本の現状です。
NOVO