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(回答先: 「労働価値」概念への疑問と整理について 投稿者 すみちゃん 日時 2005 年 8 月 03 日 23:37:29)
[すみちゃん]
「労働価値の単位は通貨である(円、ドル、ユーロその他)であるということでよいですか?
あるいは、その資本が属する経済圏に主として流通するあれこれの通貨ではなく、何かもっと抽象的な概念ですか?」
(あっしら)
労働価値の単位は具体的な通貨の量表記でもかまいませんが、市場で取り引きされるときの価格とは違うものです。
トートロジーでもあるのですが、通貨は内実である労働価値の表象物だからです。
労働価値は、ある目的(財)を実現するために費やされた活動力の総和ですが、個々の供給活動の実際の値というわけではありません。
同一品質で同一使用価値を持つ財をどの供給主体もが同じ活動力量で生産できるわけではありませんから、仮想の(典型の)活動力量が労働価値になります。
そして、活動力の源泉である労働者は貨幣で購入しますから、活動力量が算定できれば貨幣でその量を表記することが可能です。しかし、それもリアルな賃金ではなく仮想の賃金を使うことになります。(ある財を生産する典型的場所で必要とする活動力を得るための相場とお考えください)
ですから、個別供給主体は、典型よりも少ない活動力量で供給できたり、仮想の賃金よりも安く労働者を雇えれば、労働価値を超える価格で財を販売することができる“はず”ということになります。
[すみちゃん]
「例えば1単位の財の生産活動に投じられた資本の通貨評価金額=
市場における1単位の財の販売価格
であれば、利潤(あるいはマイナス利潤)は発生しないということですか?」
(あっしら)
借り入れ債務や営業費用がゼロであることを条件にそうなります。
[すみちゃん]
「あっしら: 【「単位労働によって生み出される財の生産数量」という理解で問題なく、その増加(上昇)は固定資本(生産設備)の質的向上ないし一人当たりの固定資本装備額の増大によって達成されると考えています。】
こちらは相変わらず「財の生産数量」なんですが。
もしかすると、生産した財の販売=一般貨幣への転化という考え方で、
財の生産数量と財の理論販売価格合計(利潤とマイナス利潤とが発生しない価格)とを同一視しているわけでしょうか?」
というわけではありません。
「財の生産数量」はある量の活動力の成果ですから、労働価値は「財の生産数量」の変化で認知できるということです。
販売(貨幣への転化)以前に、財にはそうなる内実である労働価値が付与されているという意味です。
販売というのは社会的分業(私有制を基礎とした貨幣経済社会)では有効であっても、超歴史的に有効なわけではないので、生産と販売は分離しています。
(生産は超歴史的に有効であり必要な活動です)
[すみちゃん]
「1単位の財の生産活動に投じられた資本の通貨評価金額=
1単位の財の生産活動に投入された労働価値
という理解は正しいんでしょうか?
そこでですが、1単位の財の生産に投じられた資本評価金額が低下するということは、
労働価値も低下するということになりませんか?
1単位の財の生産に投じられた資本評価金額が低下するということは、
労働価値は上昇しているんですよね?」
(あっしら)
労働価値の上昇・下降の判断基準というか変化の表現については迷いながら書いた記憶があります。
最終的には、単位労働で生み出す財が増加することをもって労働価値の上昇としました。
賃金水準が同じであれば、労働価値が上昇することで単位当たりの財の価格が下落するので、より多くの財を買うことができるようになります。
[すみちゃん]
「次に、労働価値の上昇によって、従来1個の製品を生産できていた設備から、ごく僅かな無視できる資本投下によって2個の製品を生産できるようになったと仮定します。
この場合、1単位の財の生産に投じられる資本の通貨評価額は1/2に低下します。
この場合、労働価値は2倍に上昇するんでしょうか?」
(あっしら)
原材料やエネルギーの追加がなく、設備も損耗も変わらないとしたら、同じ活動力量で2倍の財を生産できるようになったので労働価値は2倍になったと言えます。
[すみちゃん]
「しかし、この場合に閉鎖経済を考えますと、その財の生産にかかわる賃金の総体が変わらないとすると、財に対する需要総額は変化しません。
そうしますと、単位財の販売価格は1/2に低下します。
この場合には、1単位の財の生産に投じられる資本の通貨評価額と単位財の販売価格とは同じなので、利潤もマイナス利潤もありません。
この場合、労働によって生み出される財の販売金額は総体として変化しないので、労働価値は何ら変わらないということになりませんか?」
販売金額の総体は労働価値と直接の関係はありません。
すべての財の労働価値が2倍になれば、変わらない労働対価の総和で購入できる財が2倍になるので、労働価値は2倍になったとお考えください。
今回のレスでご指摘いただいたような事情が、高度成長期の賃金水準の飛躍的上昇や赤字財政支出による需要補填を要請したと考えています。