★阿修羅♪ > 議論21 > 484.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: Re: 謹呈。 投稿者 ジャン 日時 2005 年 7 月 20 日 22:51:47)
ジャンさん ご意見ありがとうございます。
もしかしたらジャンさんは環境問題とは単に技術の問題だと思っていませんでしょうか。
僕は今の地球環境問題は、科学技術の問題だけでは対処できず、社会政治的な問題にならざるをえないと思っています。つまり、地球環境問題は既に社会システムの問題でもあるという認識です。
たとえば、もし技術でかたがつくのであれば、年々ひどくなる都会の「ヒートアイランド現象」は年々進歩している様々な科学技術とは矛盾するものです。
真夏の東京では、エアコン900万台が稼動し、700万台の車が道路を走るのだそうですが、それらは機器の技術進歩だけで問題をなくすることが出来るものでしょうか。
たとえば、ある地方都市が海岸線に風力発電機を幾つも設置し、民家の屋根には太陽光発電パネルをできるかぎり設置したとします。
ところが、その海岸線に沿って走る道路が朝夕に通勤ラッシュで渋滞をします。しかも、渋滞している車には、ほとんど乗員は運転手一人だけという状態です。
見ていると、全体としてはいったい何をやっているのかわからない、という印象を抱かせます。せっかく、自然エネルギー発電を導入しても、多くの車の排気ガスや石油エネルギーの消費で、効果が相殺されてしまうからです。もちろん、自然エネルギー発電を導入しない前よりはその分、クリーンで省エネルギーな町になったには違いありません。けれど、「持続可能な社会」を目指そうとするその地方都市にとっては、当然ながらまったく満足できるものではありません。
そこで、自治体は、まず、どうしても必要な商用車以外、町に車を入れないようにすることにしました。その代わり、町の周囲には無料駐車場を作り、バスや路面電車の交通網を縦横に敷くことにしたのです(実際、通勤車は一切乗り入れ禁止、町の中心部の道路は歩行者と自転車、路面電車だけ、という地方都市がドイツには現に存在します)。
ここでは、風力発電や太陽電池パネルが科学技術です。あとは社会システムの問題になります。
車が減るということは、それまで自動車関係の産業に携わっていた人々の多くが失業をすることを意味します。それらの人々の代わりの職業、新たな産業を作る必要がまずあります。しかもそれは、環境保護に矛盾する産業であってはなりません。
最低限の車の稼動で、なおかつ都市の機能が損なわれないように都市の様々なシステムを作る必要もあります。
これらは先に言った科学技術ではなく、政治・社会の問題なのです。
…数年後、その地方都市には海から町に心地よい海風が吹くようになった。以前は車であふれ返っていた道路は、今は工事の後煉瓦敷きの道となり、人々の往来も多く、市場も並ぶようになった。子供たちの遊び場もできた。こうしてみると、車というのは結構いろんな文化を殺してきたことを思い知る。
出来る限り木々も植えた。以前とくらべ風がすがすがしく、そのためか夏でもクーラーの使用率が減っている。
経済的に豊かな町とはいいがたいが、その町に越して来る人は多い。
こういう結末になればいいという話、でした。