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(回答先: 中心的な役割は支配階級の権力 投稿者 ワヤクチャ 日時 2005 年 5 月 21 日 10:26:19)
国家を暴力装置であるとして否定的に見る見解とは別に、グローバリゼーション(地球化)とかローカリゼーション(地域化)などを持ち出して、国家を否定しようとする人々もいます。
一方ではグローバリゼーションによって国境の壁はやがて無くなり、他方ではローカリゼーションによって国家は実態を失っていくはずであるとして国家を相対化し、更には買いたいしてしまおうとするわけである。
経済がグローバル化し、技術や情報などが国境の壁を乗り越えて移動するようになった結果、旧来の国家概念だけでは説明できない事態が生じています。
それを象徴するのが、ヨーロッパにおける国家統合(EU)であるというわけです。
また、国際連合をはじめとする様々な国際機構が成立する事によって、これまで絶対的と考えられてきた国家主権も制限される傾向にあり、いずれ主権国家はなど消滅するであろうと予言されています。
他方、彼らは国内にあっても地方分権化が今後ますます進行し、その結果、国家の役割も縮小し変貌せざるを得ないといいます。
しかし、それらの現象はあくまでも真実の一面でしかなく、ことの本質を言い当てたものとはとてもいえません。
というのは、EUにしてもドイツやフランスなどを中心に新しい国家連合を形成し、従来の国境の壁を低くしようとしているだけであって、仮に将来、新しいタイプの国家が誕生したとしても、それは決して国家そのものの消滅を意味しないからです。
現に、国際社会においては主権国家が対立していて、近い将来に国家が消滅は考えられない情況にあります。
それどころか、経済や情報などの分野で、グローバル化が進行するほど、逆に人々は国家や民族のアイデンティティを意識する(させられる)ようになるという現実があります。
また、卑近な例をとってみても、人はパスポート無しには国境一つ自由に超えることは出来ないし、いざという時、最終的に国民を保護してくれるのはその母国しかないというのが厳然たる事実です。
「国民」飛び越えた(超越した)「地球市民(世界市民)」など存在していません。
さらに、ローカリゼーション(地域化・分権化)といっても、それはあくまで主権国家の枠内における出来事でしかありません。
いくらローカリゼーションが進行しても、国家の持つ防衛や外交といった機能までは消滅する事にはなりません。
カンボジアやアフガニスタンなど国家が崩壊した地域の人々の悲惨な境涯を見れば、国家をフィクションだといって相対化しようというのは、児戯に類した振る舞いでありましょう。
そして皮肉にもこのような国家相対化論者も含めて、国民の生命、自由、財産を守るために機能しているのは母国しかありません。
とすれば、国家が国民の生命、自由、財産を守るためにも、まず国家の治安と秩序が維持され、対外的独立が保持されなければなりません。
それゆえに端的に言えば、国家とは「治安と防衛の組織」といえます。