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アテルイ(あてるい)  【ライオンズ伝  超個人的 人名辞典】
http://www.asyura2.com/0505/bd40/msg/341.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 7 月 20 日 04:28:06: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: 古代中国人のアメリカ渡航説について  【原田 実の幻想研究室】 投稿者 愚民党 日時 2005 年 7 月 20 日 01:41:09)

アテルイ(あてるい)

?〜803(延暦22).8.13

http://homepage2.nifty.com/tanizoko/aterui.html

 阿弖流為とも書く。北上川沿いの胆沢地方の蝦夷の領袖。789年(延暦7年)桓武天皇の命を受けた

 征東大将紀古佐美に率いられた歩兵2万5千8百余人の大和朝廷の侵攻軍を、1500人ほどの軍勢で

 「衣川の戦い」において撃破。桓武帝の第一次蝦夷征服軍を解体に追い込む。792年(延暦11年)、

征東大使大伴弟麻呂、副使坂上田村麻呂に率いられた十万余に及ぶ第二次征東軍の侵攻も跳ね返し、

北上川以北の独立を守った。しかし20年近くに及ぶ戦争のため国土が疲弊し、801年(延暦20年)

に征夷大将軍に任命された坂上田村麻呂の採った各族長に対する「懐柔工作」によって組織自体が

脆弱化し、対抗する力を失っていく。ついに802年(延暦21年)4月15日、盟友の磐具公母礼(いわ

ぐのきみ もれ)等500余人と共に征東軍に降服する。田村麻呂が生命の保証をしたため、桓武天皇

に拝謁すべく平安京へと上るが、裏切られて捉えられ、803年(延暦22年)8月13日、母礼と共に

河内国杜山で処刑された。

注目理由

  有名な征夷大将軍「坂上田村麻呂」が戦った相手が能や謡曲に「阿黒王」とか言う呼び名で出て

いるのは知ってた。まぁ、野蛮人の悪者の妖術使いみたいなポジションで書かれているのだそうだが、

もうちょい調べてみると全然違う。当時の東北は大和朝廷の支配地域とは異なる文化と制度を持つ

「独立国」で「蝦夷征伐」も東北(日高見国と称していた)から見れば「祖国防衛戦争」に他ならな

い。大和朝廷はその権威が稲作という人手を多く必要とする定着農耕と非常に強く結びついており、

そのため新たな土地の奪取と労働人口の確保(奴隷狩り)が不可欠であった。

アテルイ自身は各地に分散した村々をまとめ、朝廷側の資料に残るだけで13年に及ぶ戦いを指揮

し続けており、武人の代表として語られる敵将、田村麻呂にまさるとも劣らない人物であるようだ。

局地戦では何度か勝ちを得るのだが、物量にまさる大和朝廷に次第に追いつめられ、国も自らの命も

失うことになる。その悲劇性は、小説や漫画にぴったりだと思うのだがあまり見かけない。個人的には

安彦良和さんが漫画で描いてくれたりすると嬉しいのだが。(「神武」はよかったよ。)とにかく、坂上

田村麻呂は中学生でも知っているのだから、アテルイももっと知られるべき人物だと思うッス。(-_-)o

なお、アテルイという名前の由来はアイヌ語の「アト・オ・ロイ(おひょうの皮{アイヌの民族衣

装であるアッシの原料}を水に漬ける)」から来ていると読んだことがあるが、うろ覚え。(^^;

おいらは「蝦夷」≒「アイヌ」という考えに基本的に合意している。

参考文献

(1)アイヌ民族抵抗史 新谷行著 三一新書 

アイヌの歴史全般について知りたければ、最初に読むことを薦める本。「アイヌ独立に

志向をもった現実的なアイヌの復権を目指す」と言うだけあって、著者のこの本に懸ける

テンションの高さはちょっと引いちゃうぐらい凄い。アテルイは現地民軍の指導者として

捉えており、文献には出ていないが780年の「アザマロの反乱」の頃から、すでに蝦夷側

の指導的立場にあったのではないかと考えている。また、アイヌの有名な叙事詩「ポンヤ

ウンペ ユーカラ」が単なる伝奇物語ではなく、和人の圧制を超自然的な力が有ればはねのけたいと

いう願望と抵抗の歌だという説はかなり説得力がある。なお、227Pに出てくる学者「小金井良精」は

「星一」の義父で星新一氏の祖父に当たる。

(2)アイヌの碑 萱野茂著 朝日文庫

アイヌ民族として始めて国会議員になった菅野氏による自叙伝。この本を書いたときは

まだ町会議員。昭和期における文化を失いつつあるアイヌの生活がよく分かる。作者の実

体験なので感情移入もしやすい。最近、同じ著者による「アイヌ歳時記 平凡社新書」と

いう本も出た。

(3)わが魂を聖地に埋めよ ディー・ブラウン著 草思社

「ネイティブアメリカン」の歴史を、始めてネイティブ側から描いた歴史的価値のある名著。

アイヌとはその歴史的近似性が強く感じられ、この本のポジションも「アイヌ民族抵抗史」

に非常に近い。最もこちらの方が叙事詩的であるが。ネイティブの歴史で「アテルイ」に相

当するのがスー族の酋長「クレイジーホース」。戦闘では負けないが政略的に追いつめられて

降伏し、謀殺されるところまでそっくりである。

「リトル トゥリー」とかを読んでネイティブ物に興味を持った人に是非読んでもらいたい。

最後に載ってるブラックエルクの言葉(詩)がまた泣ける。

あと、この邦題は「BURY MY HEART AT WOUNDED KNEE」の意訳なんだけど、すっごい良いよね。

(4)田村麻呂と阿弖流為 新野直吉著 吉川弘文館

結構、専門的な本。その分、ちと読みづらいか。題名の二人だけでなく、奈良朝時代と

いうクーデターの頻発する浮き沈みの激しい時代を、武人という難しい立場ながら見事に

泳ぎ切った田村麻呂の父「苅田麻呂」がちょっと凄い。でも、まだ読みかけ。(^^;

(5)蝦夷地別件(上)(中)(下) 船戸与一著 新潮文庫

クナシリ蜂起(1789年)を舞台にした作品。船戸与一の最高傑作は「伝説無き地」だと確信している

が、前半相当良くって「これは越えるかも。」と思わせておきながら、最後は「猛き箱船」みたいになっ

て終わってしまった作品。請負場所におけるアイヌの強制労働の様子や和人の暴虐ぶりなどは良く書けて

おり、単なる冒険小説を越える可能性を大きく持っていただけに、作品のまとめ方が惜しまれる。

(6)陸奥甲冑記 澤田ふじ子著 講談社文庫

古い本だが当時としては珍しくアテルイによる防衛戦争を描いた作品。とはいえ主人公は

アテルイではなく、アテルイの命を狙う和人という設定。「衣川の戦い」が蝦夷の勝利と

はいえ、焦土作戦を用いたことで大きな犠牲を強いたことと、大和王朝側による切り崩し

によって蝦夷側に転向者が相次ぎ内部から崩壊していく感じは上手く書けていると思う。

面白いが、たぶん入手は困難。

(7)特撮と怪獣−わが造形美術 成田亨著 フィルムアート社 
北上市にある「鬼の館」という博物館にある「阿弖流為」「母礼」のレリーフを作った彫刻

家の本。彫刻家なんだけど、一般には「ウルトラマン」「ウルトラセブン」のデザイナー兼

美術総監督として有名。本を読むと円谷プロとの金銭的なトラブルもあり、社会をすねた

様なところが感じられますが、経緯を考えるとしかたないのでしょう。

制作時の裏話やデザイン時の考え方などは興味深いですね。

非抽象の彫刻家として活発な活動を再開されているようなので、今後の活躍が楽しみです。

関連人物

・坂上田村麻呂 ・桓武天皇 ・シャクシャイン ・松浦武四郎

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