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(回答先: 埋没する拉致問題=家族に危機感−横田夫妻ら応援に奔走【05衆院選】(yahoo-時事) 投稿者 路傍の石 日時 2005 年 8 月 31 日 17:14:39)
以下、ジャーナリスト・河信基氏のサイトから引用する。
http://www8.ocn.ne.jp/~hashingi/page027.html#K31
「(引用開始)
横田めぐみ「遺骨鑑定」疑惑と東大教授論文疑惑(05/9/17)
(中略)軽率であった細田官房長官
日本と韓国、中国などアジア諸国との認識上のギャップは、過去の歴史だけではなく、横田めぐみさんの「遺骨鑑定」でも顕著になりつつある。
北朝鮮が昨年11月に引き渡した横田めぐみさんの遺骨について、細田官房長官は「遺骨は別人のもの」と断定した「鑑定結果」を発表したが、これがとんでもない政治的鑑定だった。鑑定した当の吉井富夫帝京大講師が告白している。今年2月2日付の英科学専門誌・ネイチャーとのインタビューで「以前、火葬された標本を鑑定した経験はまったくない。自分が行った鑑定は確定的(not conclusive) なものではなく、サンプルが汚染されていた可能性がある」と明らかにしたのだが、事実上、細田発表を否定したも同じだ。
細田官房長官はネイチャー記事掲載直後、記者会見で「ネイチャーの記事は捏造されたものだ。吉井講師は『自分が言っていないことを書かれた』と言っていた」と気色ばって反論したが、ネイチャーはそれを否定し、再鑑定しないかぎり科学性は保証されないと指摘した。当然のことである。
通常なら渦中の吉井氏が公の場で釈明すべきところだが、突然、警視庁科学捜査研究所法医科長に“栄転”してしまい、現在までマスコミとの接触が一切禁止されている。ネイチャーが「証拠隠し」と批判したように、日本政府は自ら疑惑を認めたようなものである。
遺骨をすんなりと引き渡さなかった北朝鮮の不誠実な対応に首相官邸が不信感を募らせ、「遺骨は別人のもの」と発表させた経緯は理解できないでもない。だが、感情的に走り、軽率であったとの謗りは免れない。
抜け目のない北朝鮮は早速、その点を攻撃し、遺骨の返還とともに、第3国による再鑑定を要求し、日朝交渉は中断した。細田官房長官とネイチャー、どちらが国際的に信用されるか、比較するまでもない。細田氏は嘘も方便の政治の世界に生きる政治家であり、ネイチャーは世界的に権威ある科学専門誌である。この点に関しては、ネイチャーを味方に付けた北朝鮮に明らかに分がある。
それから8ヶ月が過ぎるが、その付けはあまりに大きいと言わねばならない。日本の根本的国益を損なっているとも言える。
現に、日朝交渉は完全に中断し、拉致問題解決の糸口を失ってしまった。米国に頼り、6カ国協議の場を借りて北朝鮮と接触するしかない他力本願になってしまったが、韓国、中国、ロシアなどでも「日本は遺骨問題を政治的に利用している」との不信感が広がり、日本の孤立化を招く原因の一つになっている。
その煽りで、日本の安全保障の根幹に関わる肝心の北朝鮮の核問題で、脇役に追いやられ、ほとんど存在感を示せないでいるのだから、目も当てられない。
いまだに誤報を垂れ流すマスコミの事大主義
不思議なのは、日本国内では科学性が否定された細田官房長官の鑑定発表がいまだにまかり通っていることである。ジャーナリズムの責任が大きい。
ここ数日目を通した大手紙の記事にも、「遺骨が他人のものであったことが判明した」といった表記が目に付く。基本的な事実関係への客観的認識が甘いため、山場に差し掛かった6カ国協議に注文を付ける数紙の社説を読んでも、相も変わらず、絶対的善の米国VS絶対的悪の北朝鮮、という単純で主観的な図式に流れがちだ。韓国、中国、ロシアを「北朝鮮寄り」と批判しているのは、自分のスタンスが「米国寄り」だからそう見えるのである。
産経新聞のように、特定の読者を対象に一つのイデオロギーの表明として主張し続けるのはそれなりに一貫性がある。だが、客観報道を生命とする社会の公器である新聞が、不正確な表現で読者に誤解を植え続けているのは全くもって理解しがたい。
世論におもねているということなのだろうか。記者クラブ制といった日本独特の半公然談合組織の弊害、担当記者の認識不足などが原因として考えられるが、「北朝鮮に対抗するため、政府と歩調を合わせている」との消息筋の指摘もある。
それが事実としたら、大本営発表を垂れ流し、戦争へと国民を煽った戦前の御用新聞といかほどの差があるのか。これではますますインターネットに押され、新聞離れを自ら加速化させるようなものである。
世界中からのデジタル情報が飛び交う時代に生き残ろうとするなら、昔、大本営、今、米国、の偏狭な事大主義と早く決別すべきであろう。(中略)
遺骨発掘日朝共同作業団を結成せよ
ただ、幸いなことに、最近、首相官邸や外務省は、韓国のアドバイスもあって、新たな対応を示しつつあるようだ。6カ国協議と並行してピョンヤンで進行中の南北閣僚級会談に参加した韓国の鄭東泳統一部長官が「小泉首相のメッセージを伝達した」と日本のマスコミは小さく報じたが、実は、この意味は大きい。その直後に北京で日朝協議がもたれ、金桂官・北朝鮮首席代表が拉致問題について「本国で検討中」との前向きの発言をしているからだ。
巷間、北朝鮮の核ミサイルの標的は日本、という風評が流布されているが、北朝鮮への敵愾心を煽る一種の情報操作である。北朝鮮は「本質上すべて解決した拉致問題を持ち出し、反共和国敵視策動に狂奔している」と対日批判を繰り返し、ピョンヤンに密使を送っておきながら“対北朝鮮強硬派”を演じる安倍晋三・自民党幹事長代理を「二枚舌的背信行為」と非難するが、小泉首相への攻撃は控えている。総選挙での小泉首相の勝利も歓迎している。「任期中の国交正常化」を公言した小泉首相の実行力に期待しているからに他ならない。
そうした本質的な動きをどのマスコミも見逃してしまっているが、小泉新体制発足とともにボールの投げあいが始まったと見てよい。
私の見たところ、11月に予定される小泉内閣改造で官房長官、外相が交代した後、日朝は仕切りなおし、ピョンヤン宣言実現に向けた新たな接触を開始することになろう。
そこで提言だが、拉致問題解決のためには、報復主義的な感情論を排し、現実を直視することを日本政府および関係者に勧める。
遺憾なことだが、横田めぐみさんが生存している可能性は極めて低い。
その根拠は、@北朝鮮が断言していること、A娘のへギョンさんが認めていること、B横田めぐみさんの「遺骨」は本人のものである可能性があること、C生存説を流していた張本人である安明進氏の「証言」に信憑性がないこと、などである。
無論、はっきりとした証拠が出るまで死んだとは断定できないし、生きていると信じるのは家族の情である。韓国、北朝鮮にはいまだに植民地時代に日本に強制連行された親兄弟の生存を信じている人たちがいる。
現在の膠着状態を打開するためには、第一に、遺骨の再鑑定の実施が不可欠である。北朝鮮の時間稼ぎに利用されるという見方があるが、時間稼ぎも何も、現在の状態では十年経っても解決できないことは明らかである。
家族会が「ニセ遺骨であることが判明した以上、経済制裁による圧力行使しかない」と求める気持ちは被害者感情としては理解できるが、日本と異なり、外圧に反発する北朝鮮の政治文化を考えれば、逆効果である。また、北朝鮮の対外貿易が韓国、中国中心にシフトされ、日朝貿易が朝タイ貿易と同規模にまで落ちた現状では、輸入禁止されたアサリが韓国に回されているように、北朝鮮を締め上げる効果が期待できない。そればかりか、「日本は遺骨鑑定疑惑を棚上げにして、勝手なことをしている」と韓、中などの反発を招き、外交的孤立を決定的にするだけである。
第二に、朝鮮戦争時に死亡した米軍兵士の遺骨発掘朝米共同作業のように、遺骨発掘日朝共同作業団を結成し、現地に派遣して該当する共同墓地などを入念に調査することである。
真相が究明されてはじめて、責任者の厳罰、被害者への正当な保障、その他、生存している可能性のある拉致被害者の送還などが可能となろう。(引用終了)」
*あらためて指摘するまでもなく、日本のマス・メディアはまず「遺骨は別人」のものか否か、という問題についてまず検証を行うように要求すべきだし、また日本政府は北朝鮮に対して、そもそも鑑定不能な遺骨を送ってくるな、という主張をするべきであっただろう。今の状況で経済制裁を実施したところで、北朝鮮が折れる可能性はきわめて低い。河氏の指摘を日本政府は、もう少し真摯に受け止めるべきではないのか?