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(回答先: サハリン在留邦人 終わらぬ苦難 (東京新聞) 投稿者 愚民党 日時 2005 年 6 月 06 日 23:35:53)
李恢成作品のページ
Lee Hoesung 1935年旧樺太・真岡生、早稲田大学露文科卒。47年一家で樺太を引き揚げ、強制送還の為長崎県の収容所に収監、帰国断念後札幌に定住。69年「またふたたびの道」にて群像新人賞、72年「砧をうつ女」にて芥川賞を受賞。
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●「百年の旅人たち」● ★ 野間文芸賞
1994年9月
新潮社刊
1997年11月
新潮文庫化
(781円+税)
1998/02/21
青森港に降り立った老若男女20人らは、樺太から引き揚げてきた朝鮮人一家ら。彼らはそれまで日本人として生活していながら今は不法入国者として故国へ強制送還されようとしていた。青森から長崎の収容所まで専用車両に乗り込んで過ごす彼らの姿からは、敗戦後の日本において特殊な立場に陥っていることが明瞭に感じられます。(これは、作者自身の一家が経験した出来事そのままと言います。)
しかし、後半に至り、帰国を前にした収容所で日々の中では、単に故国へ帰るという単純事では済まない、彼らそれぞれの複雑な内情、心の内が明らかにされていきます。
何故彼らはこんな状況に至ったのか、日本人の所為なのか、朝鮮人が弱かったからなのか、そもそも生きるということはどういうことなのか。
日韓併合により、故国から連れ出され日本人として暮らすことが長くなかったのであれば、もっと事は単純に済んだのかもしれません。何故彼らがこんな立場に至ったのかを考えてみれば、読みながら日本人として負い目を感じない訳にはいきません。東南アジアの日本占領が短期間だったのに対し、朝鮮の人々が巻き込まれた時代は残酷なものだったという他ありません。一時登場するユダヤ人のロシア軍将校、そして本作品の題名はそのことを象徴しています。帰国を断念した劉、朴一家の12人にとっては、再び家に戻ることのない旅人の道を選んだということなのでしょう。朝鮮の人々が忘れられない以上に、日本人として忘れてはならない歴史事実だと思います。
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