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(回答先: 靖国を海外に理解させるには? 投稿者 ユーコ 日時 2005 年 4 月 22 日 20:46:59)
(その1)相互理解ってのは認識の共有の上に成り立つ。
見かけ異なるものの中に相互に「普遍性」を確認しあえること。
ひとたびそれが確認できれば、差違の部分は多様性に帰着するよ(←そこで寛容か否かが問われるけどもね)。
じゃあ、靖国の「普遍性」って何ってこと。
(その2)で、靖国は...ズバリ、「近代日本のモニュメント」っすね。
近代のシンボル。
近代が国民国家を生み出したが、国民国家は在(あ)るのではなく成(な)るものだ。仕掛けがうまく機能しないと成れない。
だから多くの国が未だ国民国家に成ろうとしても成れない(成功していない)。
日本の場合、仕掛けってのは天皇だった(西欧の場合、キリスト教の倫理・道徳と、そのエトスを継承した資本主義)。
維新元勲の叡智だよ。
近代化ってのは秩序の解体・再編だからね。
だから、靖国には維新、国家、天皇、そして近代が交錯している。
(その3)靖国は、軍国主義の象徴か、英霊の瞑る聖地かって、普通は意見が割れるわけだけど、どちらも「近代の側面」を言い現していると思うね。
国民国家は徴兵を行った(ナポレオン以来〜)。
近代兵器が職業軍人(武士、騎士等)と一般庶民の戦闘能力のギャップを縮めた。
同時に近代化は産業構造を変化させる(農業→商工業)、そして近代化は冨をもたらすから人口増加が生じ人口動態が変わる(青壮年男子人口≒潜在的戦闘人口の急増)。
更に、短期間での近代化は、農業部門での余剰人口を発生させ、それが商工業部門で吸収できれば問題ないけど、商工業部門に問題が生じると失業が急増して一気に社会不安が高まる(1929年ニューヨーク株式暴落、昭和金融恐慌等)...だから、近代化の過程では戦乱は不可避、避けて通れない。
19世紀後半〜20世紀前半に大きな戦乱が世界で頻発したのは、こうした事情による。維新・国家・天皇が交錯する靖国に多くの戦没者が重なるのは、「近代の運命」であるといえるだろうね。
(その4)靖国には、何故、日本が成功したのか、何故、日本が苦難の道を歩んだのか、が凝縮していると思うよ。近代の光と影とがね。
近代化を試みた国々で、結果として、血を流さなかったところは`皆無`だろうね。共通の経験をしているから各者各様に光と影とだ。
そして、近代化をなお志向する世界中の国々(動機は豊かに成りたい、だ)は、共通の経験(共同体の解体の苦痛と社会の不安定化・戦乱のリスク、だ)をするだろうということ。
(その5)中国の場合、マルクス主義で近代化を試み(血が流れた)挫折し、資本主義によよる再度の近代化の途上にあって、不安定な社会状況が現出しているわけだ(70-80年前の欧米や日本の姿に似ているね)。
じゃあ、靖国を否定さえすればそれはうまくいくのかな。
靖国から得る教訓(近代の光と影に学ぶ)はないのかな、と考えるわけだよ。
米国は共和党は問題なしだろう。
ブッシュ大統領が靖国参拝を希望してたくらいだから(2002年、確か外務省が却下)。
米国民主党系の欧州左派繋がりの一部は大反対だろうけどね。
英国は、自らのオタワ会議(1932年、自由貿易体制の破棄)が世界大戦の原因(の1つ)であると認識してると思うよ。
当時(1934年時点)での英国の日本に対する認識の一例はこんな感じ(↓)だよ。
“日本は現在、その人口問題に関し、またこれに対して政府がとるべき対策に関して、英国が19世紀の始めに経験したのと同様な地位に置かれているものと信じる...英国はその人口増加の問題を海外貿易の非常なる増進によって解決したのであった。従って、今日本が、止むを得ずこれと同一の方向に向かって突き進んできたとて、我々英国人は驚くべきではないのである...”(英国ロンドン大学)
英米とは相互理解は可能だな、神道を説明しなくともね。
>小泉首相も、戦争を絶対起こさない思いで〜なんて歯に衣着せたようなはぎれの悪い言い方してないでそういうことを海外に向かっても堂々と発言して理解を求めるようにしてほしいです。
戦争を絶対起こさないなんて約束できんしね。
そりゃ、起きるときにゃ、起こるべくして起こる。
きりたんぽさんと、若干、相違する部分はあるかも知れんが、普遍・共通理解をキーワードにすりゃ、以上に申し述べたような靖国の理解ね。過去の痛みを怨念とし続けるのか、痛みをともに未来を拓く糧とするのか、「考え方次第」だな。
ついで、ご参考までにこれ(↓)。
『靖国』(坪内祐三、2001、新潮文庫)
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