現在地 HOME > 戦争69 > 163.html ★阿修羅♪ |
|
戦後補償しない小泉日本東アジアで嫌われる
韓中、日本の常任理入り阻止へ
http://www.bund.org/editorial/20050415-1.htm
アメリカの言いなりになってイラク派兵を強行する一方、靖国参拝や教科書問題に関するアジアの人々の批判の声を「内政干渉」などと無視し続けてきた小泉首相。ここ数年、日中関係も日韓関係も、経済関係が深まる一方で外交的政治的関係の冷却化がかつてなく進行している。ついに韓国・中国は日本の常任理事国入り阻止に動きはじめた。
戦争責任の謝罪と償いを
靖国・歴史教科書・戦後補償・尖閣諸島(釣魚島)や竹島(独島)を巡る領有権争いなど、いわゆる「歴史認識問題」が焦点化するなかで、日本と中国・韓国など東アジア諸国との関係は急速に悪化している。3月23日、韓国・盧武鉉大統領は「日本との厳しい外交戦争もありうる」という談話を発表。3月31日、韓国の金三勲(キム・サムフン)国連大使は、「日本の国連安保理常任委員会進出阻止に総力を傾ける。周辺国の信頼を受けられず、歴史も反省できない国が国際社会の指導的役割を果たすことには限界がある」と述べた。
4月2日、北朝鮮の『労働新聞』は、「日本軍国主義勢力が朝鮮再侵略を狙う危険な侵略勢力になっている」「なかでも、看過できないのは、われわれが米帝と立ち向かう際、日本の軍国勢力も一緒に参戦するかもしれないこと」と日米同盟を非難。かつての朝鮮戦争でも日本は、米軍に出撃・兵站基地を提供するとともに、仁川(インチョン)上陸作戦に参加したと指摘した(海上保安庁による機雷掃海作戦のことと思われる)。
4月3日、中国各地で、日本の安保理常任理事国入りなどに反対する反日運動が広がり、四川省成都市では数千人規模の抗議行動が発生。日系スーパー・イトーヨーカドーが襲撃された。香港に隣接する広東省深セン市でも同日、約2000人が反日を掲げてデモ行進した。3月末、中国の一部メディアは、日本のアサヒビールが扶桑社の歴史教科書の編纂にかかわる委員会に対して資金援助していると報道。同社は否定したが、中国・東北地方や広東省ではアサヒビールの不買運動が起きている。
中国のネット上では、「韓国、北朝鮮に見習い、日本の安保理入りに拒否権を行使すべきだ」との意見が大勢を占め、中国政府も安保理問題では「日本の歴史問題への反省が必要」との態度をとっている。
東アジアの人々との間で戦争責任・戦後補償の問題を解決できないかぎり、日本が「国際社会で名誉ある地位」(日本国憲法前文)を得ることはできない。21世紀の日本経済は確実にアメリカから東アジアへと軸足を移している。対米追随一辺倒の軍事外交路線を見直し、例えば年間7000億円の米軍「思いやり」予算は全額戦後補償に回すべきだ。
崩壊する有志連合
3月15日、イタリアのベルルスコーニ首相は、「年末以前にも派遣部隊の削減を始めるつもりだ」と9月から順次イラク駐留イタリア軍部隊を撤退させると表明した。ベルルスコーニ首相は欧州きっての親米派として知られ、イタリア軍警察現地本部への自爆攻撃で19人の犠牲者が出た時も、人質のイタリア人が殺害された時も、「テロには屈しない、撤退はあり得ない」と繰り返してきた。そんなベルルスコーニ首相に撤退を決断させたのは、米軍によるイタリア人「誤射」事件だった。
3月4日、バグダッドで武装勢力に拉致されていた伊「マニフェスト」紙の女性記者ジュリアーナ・スグレナさんが1カ月ぶりに解放された。だが、解放後バグダッド国際空港へ車で向かう途中、米軍の設けた臨時検問所で米兵から銃撃を受け負傷。同行していたイタリアの情報機関員が死亡した。「マニフェスト」紙の編集者は、「喜びの知らせが、米軍の銃撃によって台無しになった。イラクで起きていることが、無意味で狂っている(ママ)という悲劇的な証明だ」と語った。
スグレナさんらが銃撃された同じ日、ブルガリアの兵士も米軍によって殺されている。パトロール中のブルガリア兵がイラク人の乗った車両を制止しようとして威嚇射撃した。これを、150m離れた無線通信所にいた米軍が自分たちへの襲撃と勘違い。ブルガリア軍に対して自動小銃や迫撃砲を撃ち込み、ブルガリア兵1名が死亡した。こうした事態を受け、ブルガリアも6月からのイラク撤退を決定した。
イラクに派兵した有志連合37カ国のうち、すでにスペインやポーランド、オランダなど半数が撤退を完了または決定しており、撤退の意思を表明していない国の半数は数十人の部隊を「お付き合い」で派遣しているにすぎない。
イタリア・ブルガリアは 撤兵する
自衛隊はサマワ駐留を続けているが、サマワにはODAによって建設された浄水施設が完成。陸上自衛隊による復興支援の目玉とされた給水活動もすでに終了している。この間、サマワ自衛隊が最も熱心に取り組んできたのは、駐屯地内の新型宿舎建設だった。新型宿舎はプレハブの四方をコンクリートの防護壁で固めた頑強な造りで、「サマワの英軍もこれほど強固な施設は持っていない」という。
3月18日、反米闘争を呼びかけるシーア派指導者アウス・ハファジ師がサマワ入りし、金曜礼拝で外国軍隊はイラクから出ていくよう強く要求した。24日には、昨年、爆破された日本・イラク友好碑(陸上自衛隊が設置)の残骸に、反米闘争を呼びかけるシーア派指導者サドル師の写真と、ハファジ師のサマワ入りを歓迎する横断幕が掲げられた。3月27日には、サマワの治安維持任務を撤退するオランダ軍から引き継いだ直後のイギリス軍サマワ宿営地に迫撃弾が打ち込まれている。自衛隊員がいつ戦闘やテロ攻撃に巻き込まれてもおかしくない状況が続いている。
小泉首相はサマワ自衛隊を警護してもらうためにオーストラリアに追加派兵を要請。オーストラリアのハワード首相は、450名の追加派兵を了承した。しかし、オーストラリア国民の55%はイラク増派に反対している。オーストラリア国民にとっては本当に迷惑な話だ。
頑強な宿舎に立てこもり、外国の軍隊に守ってもらわなければ駐留し続けることすらできない現状で、自衛隊に人道・復興支援などできるはずがない。一刻も早く日本に撤退するべきだ。
--------------------------------------------------------------------------------
「女性や子供を殺してしまった」
良心の呵責からPTSDに苦しむ米兵
民衆から孤立し、武装勢力による襲撃の恐怖に恐れおののく米兵は、わずかな物音や銃声にも過敏に反応。あたり構わず銃を乱射するようになっている。イタリア人やブルガリア兵などの友軍兵士ばかりでなく、3月15日にはイラク軍の副司令官も米兵の「誤射」によって射殺された。さらに、何の罪もないイラクの人々が毎日のように米軍の「誤射」や武装勢力との戦闘に巻き込まれて死んでいる。すでにイラク戦争で殺されたイラク人は10万人を超えた。
米陸軍の調査によると、イラクに派遣された米兵の6人に1人が、極度の不安からうつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を訴えている。PTSDの米兵の多くは、「私の部隊は48時間の内に30人以上の民間人を殺しました」「女性や子供を殺してしまった」と「良心の呵責」に苦しんでいる。
現在アメリカは「志願制」を採用しているが、イラク戦争の泥沼化のなかで米軍は新たな兵士を集めることができなくなっている。イラクとアフガニスタンに駐留する米軍の実に45%が予備役や州兵だ。予備役や州兵は、普段は兵役に就かず、普通の市民生活をおくっている。多くは、除隊後の大学教育の奨学金を得るためや、予備役手当て(月300ドル程度)を生活の足しにするために志願したにすぎない。実際に戦場で戦うことになるなんて、思ってもいなかった人々だ。
そうした人々が、十分な訓練も受けないまま、にわか仕立ての「兵士」に養成され、イラクやアフガニスタンの戦場に次々と送り込まれている。「誤射」やPTSDが増加している背景には、「大義なきイラク戦争」に、兵士自身が耐えられなくなっている米軍の現実がある。イラク戦争の長期化で、米軍はその内部から崩壊を始めている。
--------------------------------------------------------------------------------
温室効果ガス80%削減目指すEU環境税導入先送り、原発依存の日本
政府の地球温暖化対策推進本部は3月29日、京都議定書目標達成計画案を了承した。だが、そこからは温暖化防止に向けた真剣な姿勢はうかがえない。
計画案は、一定規模以上の企業に温室効果ガス排出量の報告を義務付けたものの、削減義務を課すのは見送ってしまった。また削減分のほとんどは森林吸収や排出量取引によるもので、エネルギー起源の二酸化炭素排出量の削減目標は、これまでの-2%から+0・6%に後退。しかも、この後退させた目標値も経済成長の鈍化と原発の設備利用率のアップ(87〜88%)を前提にしたもので、実効性は未知数だ。老朽化が進む原発の設備利用率アップは安全性軽視に直結し、原発事故の激増につながる恐れが大きい。
環境省は化石燃料などに対する「環境税」の導入を目指したが、経済産業省や産業界の反対で先送りされてしまった。経産省は昨年11月に各業界団体に対して「環境税反対のお願いについて」というメールまで送って、環境税潰しを行った。日本政府・経産省は、地球温暖化問題の深刻さが全く分かっていないのだ。
ヒマラヤ山岳地帯の氷河は年に10〜15m後退を続けている。今冬の北極海は氷結が十分に進まず、貴重な生態系への悪影響が心配されている。イヌイットが住むカナダ北部では、温暖化の影響で氷が薄くなり狩猟中に転落する事故が頻発。溶けた氷河が小川を激流に変え、大きな被害をもたらしている。イヌイットたちは「経済大国が排出するガスが我々の文化と生存を脅かし、極北での変化が今度は地球全体の一層の温暖化に跳ね返る」と、温室効果ガス最大の排出国であるアメリカの州人権委員会に対し、人権侵害の申し立てをこの4月にも起こそうとしている。
京都議定書では、全体で90年比約5%の温室効果ガスの削減という目標が掲げられた。しかし、たとえそれが達成できたとしても、地球温暖化を10年程度遅らせることしかできない。国立環境研究所や東京工業大学の研究によれば、温暖化による気温上昇を2度以下に抑えるためには、温室効果ガスの排出量を2050年までに地球全体で90年の水準の半分以下にする必要がある。そのためには日本などの先進国は、90年比で80%以上削減しなければならない。実際EUは、先進国が2020年までに1990年比15〜30%、2050年までに60〜80%削減する目標を設定することを提案している。
世界風力エネルギー協会(本部・ベルギー)の調査では、昨年1年間に世界各地で新設された風力発電施設の発電規模は、前年比20%増の797万6000キロワットに達した。大型原発7基分の発電量だ。スペインとドイツで約200万キロワット増えたのに対し、日本はその10分の1足らずの19万キロワット弱。昨年末現在での風力による総発電規模では、最大のドイツが1663万キロワットなのに対し、日本は87万4000キロワットと世界第9位の低さだ。
温室効果ガスの1割近くを排出する日本に、自然エネルギーへの転換や環境税導入など、早急な温暖化対策が求められている。
(2005年4月15日発行 『SENKI』 1175号1面から)
http://www.bund.org/editorial/20050415-1.htm