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米軍再編 政府・知事が意見交換
疑念いら立ち交錯
政府は二十八日、在日米軍再編問題について、基地を抱える十四都道県でつくる「渉外知事会」と初めて意見交換した。最大の焦点である沖縄の負担軽減の先行きが見えない一方、沖縄以外は説明のないまま新たな基地を押し付けられるのではないかと、疑念といら立ちが渦巻いた。
「沖縄がおかしくなると、日米安全保障体制全体がおかしくなる」。沖縄県の稲嶺恵一知事は席上、沖縄の基地負担の軽減を強い調子で迫った。
日本国内の米軍基地面積の75%を抱える沖縄県。地元の負担軽減は火急の課題だが、一九九六年に日米が合意した米海兵隊普天間基地の移転・返還は、代替施設建設予定地の地質調査も進んでいない。「だれも予定通り移転できるとは思っていない」(防衛庁長官経験者)などと、あきらめムードさえ広がっている。
普天間基地の早期返還は、沖縄の負担軽減の象徴。「脅し」ともとれる稲嶺知事の発言は、進まぬ基地削減へのいら立ちの裏返しだ。稲嶺知事は、今回の米軍再編を沖縄の基地見直しの好機と判断。今月、訪米して以降は、「米海兵隊の県外移転」を訴える姿勢をより鮮明にした。
だが、県外移転といっても、受け入れ自治体が簡単に見つかるはずもない。このため、普天間基地移転の代替策として、基地を機能別に分散移転する案が浮上している。
これに対し、空中給油機基地として名前が挙がる岩国基地のある山口県の二井関成知事は、「岩国の機能強化は容認できない」と移転案に反対を表明。空母艦載機による夜間離着陸訓練についても、厚木基地から岩国基地への移転が検討されているだけに、説明のないまま進む再編協議に警戒感をあらわにした。
また、海兵隊の移転先候補とされているキャンプ富士を抱える静岡県の鈴木雅近副知事も、「米軍移転は受け入れがたい」と反発した。
国内の受け入れ先が見つからない場合、海外移転しかないが、米軍側が「抑止力の維持」の観点から簡単に受け入れるとは考えにくい。政府と地元との初の意見交換は皮肉にも、沖縄の基地移転の出口が見えない現実を浮き彫りにする場ともなった。 (政治部・篠ケ瀬祐司)
「今日のような機会を設けてもらい、一歩前進。評価をしている」
神奈川県の松沢成文知事はこれまで、「情報不足」にいら立ち、ことあるごとに「米国に全部従う関係ではないはず」「自治体の意見を米側にぶつけるべきだ」と、政府側への不満を口にしていたが、この日は穏やかな口調に終始した。
同県では米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)の空母艦載機騒音が大きな問題。再編に絡んで、キャンプ座間(座間、相模原市)への米陸軍第一軍団司令部の移転構想が焦点に挙げられ、さらには米海軍横須賀基地への原子力空母配備が取りざたされる。「県是」の基地の整理縮小返還に反することばかりだ。このため知事は「具体論に入る前に、まず地元の意見を政府に聴いてもらうのが第一」(県幹部)との立場で、特に昨夏以降、公式の場を設けるよう政府への働きかけを加速した。
この日の会合でも、厚木基地騒音の抜本解決などを要望。「万が一事故が起きたら、地元は火を噴く。日米安全保障体制を非常に難しくする。今後の日米関係をしっかりするためにも解決を」と、基地を抱える自治体の切実さを訴えたという。政府に自治体側の意向をぶつける場づくりには成功した形だ。
しかし、基地の地元住民らには「意見を聞きました、という国のアリバイづくりではないか」との疑念が消えていない。基地監視団体リムピースの金子豊貴男相模原市議は「自治体のガス抜きではないか」と危ぐする。
会合では具体的な基地名は挙がらなかったといい、情報不足自体は、解消していない。「責任者の大臣がいうのだから信じるしかない。政府の交渉に期待している」と知事。地元の意思を貫き通せるのか、県幹部は言う。「これからが本番だ」 (横浜支局・原昌志)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050329/mng_____kakushin000.shtml