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枯れ葉剤訴訟、米地裁がベトナム人被害者の訴え棄却
【ホーチミン=吉形祐司】ベトナム戦争で米軍が散布した枯れ葉剤の被害を受けたとして、ベトナム枯れ葉剤被害者協会と被害者家族の代表27人が米製薬会社37社に賠償などを求めた初の集団訴訟で、米ニューヨーク州の地裁が訴えを棄却し、ベトナム側が猛反発している。
来月、戦争終結から30年を迎えるベトナムでは枯れ葉剤問題が特にクローズアップされており、米国の道義的な責任を問う声がさらに高まりそうだ。
訴訟は昨年1月に起こされた。AP通信によると、ニューヨーク州のブルックリン地裁は今月10日、ベトナムでの枯れ葉剤の使用が、戦争終結直前の時点では国際法などに反しないと指摘。また、原告側が奇形などの症状と枯れ葉剤の因果関係を証明できていないとして、訴えを退けた。原告側は控訴の方針を表明した。
棄却判決について、ベトナム外務省報道官は11日、「国民は判決を極めて不服としている」と述べ、12日付の国営各紙も一斉に判決を批判。英字紙ベトナム・ニューズは、枯れ葉剤の後遺症を訴える米退役軍人が起こした集団訴訟で84年、製薬会社側が1億8000万ドルを支払うことで和解したことを挙げ、不公平感を表明した。
ベトナムで、枯れ葉剤の影響を受けた住民は480万人と推計されている。政府は95年に米国と国交正常化した後、基本的には米国と良好な関係を維持し、枯れ葉剤被害についても米政府に賠償を求めていない。
ベトナム政府が、判決に素早く反応して米国を非難したのは、戦争終結30周年を迎える今年を、祖国統一のために払った犠牲の重さを改めて国民に訴える好機ととらえているからだといえる。
パリで11、12の両日、枯れ葉剤被害に関する国際会議が開かれたが、抗米戦争を率いたベトナムの英雄ボー・グエン・ザップ将軍が「ベトナム国民に犯罪行為を行った人々が、責任を回避しようとしている」とする書簡を会議あてに送付し、注目を浴びた。枯れ葉剤訴訟で、米司法省が原告の訴えを却下するよう求めたとされることに反発したものだ。
訴訟をめぐり、政府や戦時中の大物が発言したことは、枯れ葉剤問題に関する「戦後処理」が終わっていないことを印象づけるもので、終戦30周年を機に、ベトナムでは同問題に関する世論喚起が加速しそうだ。
(2005/3/13/00:13 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050312id24.htm