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3月3日付・読売社説(2)
[盧武鉉演説]「日韓関係を阻害する発言だ」
韓国の盧武鉉大統領が、植民地時代の独立運動を記念した式典で、日本に、「謝罪」と「賠償」を求めた。
看過できない問題だ。日韓関係を阻害する発言である。
盧大統領は、日韓関係の発展には「日本政府と国民の真摯(しんし)な努力が必要だ」と前置きし、「過去の真実を糾明し、心から謝罪し、賠償するものがあれば賠償して、和解せねばならない」と述べた。
「謝罪」について言えば、日本は、歴代の首相が「痛切な反省と心からのお詫(わ)び」を表明してきた。大統領は、村山首相談話などに触れ、「相当な進展があった」と述べているが、まだ足りないということなのか。理解に苦しむ。
昨年7月、大統領は日韓首脳会談後の記者会見で、過去の歴史問題は「任期中には公式に争点として提起しない」と明言した。その際、「韓国政府が取り上げれば、日本国民の間に『何回謝罪すればいいのか』と反発を招く可能性がある」と述べた。この説明と全く矛盾する。
さらに問題なのは、今回、謝罪に続いて「賠償」を求めた点だ。賠償は、交戦国間の損害への補償問題で使われる用語だ。植民地時代の被害への、いわゆる過去の補償には、あてはまらない。そのため、両国の国会が批准した日韓条約にも使われていない。
韓国の元首である大統領が今ごろ、なぜ、いかなる意図から発言したのか。過去の補償問題で、追加の支払いを日本に求めたのだとすれば、論外である。
補償問題は、40年前の国交正常化の際に決着済みだ。日本政府が5億ドルの経済協力をすることで、請求権問題は、「完全かつ最終的に解決された」ことが日韓条約で確認されている。
韓国人への被害補償の支払いは、韓国政府が責任を持つことは、先に公開された韓国の外交文書でも再確認された。
解決ずみの話を蒸し返すような発言はきわめて遺憾だ。日本政府も、きちんと反論すべきである。
日本人拉致事件に関する大統領の発言も疑問だ。「日本国民の怒りを十分に理解する」としながらも、「日本も相手の立場で考えるべきだ」と述べ、「日帝36年間に、数千、数万倍の苦痛を受けた韓国民の怒りを理解すべきだ」とした。
北朝鮮を糾弾するどころか、北朝鮮のすりかえ論法に通じる言い方だ。日韓離間工作にも利用されかねない。
韓国では、植民地時代の「反民族行為の真相糾明」のための特別法が施行されて、過去の追及が盛んだ。その矛先が日本に向けば、日韓関係に影響する。盧政権の政治姿勢は危惧(きぐ)せざるを得ない。
(2005/3/3/01:23 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050302ig91.htm