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http://www.asahi.com/international/update/0215/012.html
「反体制派を生きたまま海へ」告白、スペインで裁判開始
外国で起きた人道犯罪で外国人を裁く異例の公判が、スペインで始まった。アルゼンチン軍政下の77〜79年に反体制派の市民を生きたまま航空機から海に突き落とし、殺害したと告白後、スペインで集団殺害(ジェノサイド)などの罪で逮捕・起訴されたアルゼンチンの元海軍将校アドルフォ・シリンゴ被告(58)に対する裁判だ。
1月に始まった公判でシリンゴ被告は当初、裁判官の質問に全く答えなかったが、その後は「告白は作り話」と起訴事実を否認、無罪を主張している。アルゼンチン軍政時代の犠牲者は1万5000〜3万人とされ、傍聴席には同国から遺族も大勢つめかけている。
同被告は95年、「逮捕した反体制派の市民に鎮静剤を打って飛行機に乗せ、意識が薄れた状態で生きたまま大西洋に突き落とす『死の飛行作戦』に参加、約30人を殺害した」と、アルゼンチン紙に告白した。
97年にテレビ局の招待でスペインを訪問中、チリやアルゼンチンなどの軍政時代の人権侵害を捜査していたガルソン予審判事に「虐殺」を証言。そのまま身柄を拘束され、集団殺害や拷問などの罪で起訴された。
人道犯罪に関与した人物の国籍や犯罪地にかかわらず裁いた例としては、ベルギーの法廷が01年、ルワンダ虐殺にかかわったルワンダ人に有罪判決を言い渡した前例がある。だがベルギーの人道法は03年に改正され、外国人を裁くのは事実上不可能になった。
またチリのピノチェト元大統領が軍政時代の人権侵害でガルソン判事の訴追を受け、98年に滞在先の英国で逮捕されたが、英政府は00年、病気を理由に帰国を認めた。
スペインでは、集団殺害やテロは「外国で外国人が起こしたものでもスペインで裁く権限がある」と定めた法律が85年に成立した。
シリンゴ被告は事件当時のアルゼンチン政権幹部を訴追してもらうためにスペインで証言したにもかかわらず、自分が容疑者として逮捕されたことに反発。拘置所でハンガーストライキをした。公判で証言を翻したのも起訴への抗議とみられる。
スペインは同被告を含めアルゼンチンの軍政指導者や将校ら98人を起訴している。
(02/15 23:06)