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パスポート狙い?スペイン領事館襲撃事件
L'étrange prise d'otages au consulat d'Espagne à Berne laisse plusieurs questions ouvertes
ベルンのスペイン領事館の奇妙な人質立てこもり事件、多くの謎残る
2月8日付け ル・タン Thierry Meyer
http://www.letemps.ch/template/recherche.asp?page=rechercher&contenupage=identification&types=search&artID=149834
昨日、スイスの首都ベルンにあるスペイン領事館で強盗未遂・人質事件が発生し、一時大きく報道されました。結局人質は無事脱出し、犯人も何も盗らずに逃走。長時間その逃走にまったく気づかなかったベルン市警は思わぬ恥を晒すことになりました。現在捜査は継続されているものの、事件そのものはあいまいな形でニュースから姿を消しつつあります。この事件をまとめたル・タンの記事をご紹介します。
(翻訳はじめ)
月曜の夜遅い時間になっても、警察はまだ3人の若い男を熱心に捜し続けていた。おそらく北アフリカ系と思われるこの3人はベルンのスペイン領事館に押し入り、3人の職員を人質にとったのだった。信じられないような話だが、領事館のある地区が警察によって封鎖される以前に犯人たちは逃走に成功した。7時間もの間、警察は犯人たちが領事館に依然として立てこもっていると信じていたのだった。犯行の動機は何か?おそらく卑俗な動機だったのだろう。なぜなら犯人たちは、結局失敗したのだが、領事館の金庫を開けるよう要求していたからだ。ところで、金庫の中身(金銭のほかに白紙パスポートとビザが保管されていたと、領事館の報道官は本紙にはっきりと語った)はテロリスト・ネットワークにとっても垂涎の的であると、テロ問題の世界的な権威の一人であるマグナス・ランストープは警告しつつ、スペイン外交団を保護するための安全対策のレベルの低さに驚きを表明した。
月曜日の朝8時少し前、スペイン領事館のある職員が職場に到着したところ、3人の男に取り囲まれた。3人は覆面をし黒服に身を包み、拳銃とナイフで武装していた。3人は夜陰に乗じて領事館の敷地内に侵入したものと見られている。スペイン領事館はアーレ川南岸の森に囲まれたキルヒェンフェルド地区にあり、ここには各国の大使館が集まっている。犯人たちは人質に金庫を開けるように要求した。
その同じ時、スペイン大使の運転手が車で領事館に到着した。それが職員の一人だと認めた犯人の一人が領事館から外に出、この運転手を力づくで内部に連れ込もうとした。運転手は格闘し、顔面にナイフで傷を受けながらも逃走に成功した。その間、領事館に到着した3人目の職員が犯人に拉致され、最初の人質とともに小部屋に閉じ込められた。スペイン外務省の報道官アンへル・ヴァスケズによると、人質にとられた2人の職員が金庫を開けるのは不可能だった。金庫の鍵をもっておらず、暗証番号も知らなかったからだ。
「中程度の重傷」を負った運転手(現在病院で治療を受けている)は各国大使館を巡回警備中の警察官に通報し、この警察官が増援を求めた。15分後、ベルン市警察の特殊部隊「ステルン」が領事館を装甲車で包囲し、一帯を封鎖した。連邦検察官が捜査本部を設置した。「人質立てこもり・強奪」事件の捜査本部はフィリップ・ブレウニマンの指揮下に集結した。スペイン当局に加え、サムエル・シュミッドとクリストフ・ブロッハーのスイス2閣僚も通報を受けた。クリストフ・ブロッハーは休暇を中断してベルンに戻った。
10時ごろ、「独房」の窓越しに2人の「人質」が警察に合図を送るのに成功した。警察に携帯電話の番号を知らせたのである。10時30分、治安警察に先導されて、この2職員は裏口から無傷で脱出することに成功した。13時頃、特殊部隊が犯人たちに投降を勧告した。この勧告に対する返答がなかったため、スペイン外務大臣の許可を得たクリストフ・ブロッハーが13時30分、12人の警察官に突入を命じた。しかし領事館はもぬけの殻だった。犯人達は一帯が封鎖される直前、8時過ぎにおそらく逃走していたものと見られる。
月曜夜、ベルン市警は3人の犯人の特徴を公表した。3人とも30代で、身長はそれぞれ1m70、1m65、1m80。うち2人は北アフリカ訛りの流暢なフランス語を話していた。フィリップ・ブレウニマンは、万一犯人が館内に残っていた場合、人質の命が危険に晒されるという理由によって特殊部隊のこの「失態」を説明した。それでも、大使館の多い重要度の高い地区に警察が介入するのがこれほど遅れたのは驚くべきことだ。
その後、現場に残された物証や採取された指紋の分析が始まったが、スペイン政府はこれが単なる「一般的犯罪」でしかなく、月曜日にスペインで始まったばかりの不法滞在者の大量恩赦とは何の関係もないという見解を表明した。ラジオ・スイス・ロマンドがインタビューした複数の領事館の職員によれば、ヨーロッパのパスポート一通、あるいはヨーロッパ滞在ビザの証印一個は6000〜8000ユーロの価格で取引されている。しかしアンへル・ヴァスケズは「我々にとって事件は終わりました。捜査はスイス警察の手に委ねられました」と結論付けた。午前中、スペインのミゲル・アンへル・モラティノス外相は、今回の事件がアチラフ事件と関連する可能性について簡単に触れただけだった。テロ容疑者のアチラフはスペインに移送される予定になっている。
この奇妙な人質事件とテロリズムは、おそらくまったく無関係というわけではない。スコットランドのセント・アンドリュース大学でテロリズム・政治犯罪研究所所長を務めるマグナス・ランストープは「身分証明書、とくにヨーロッパのパスポートはまさに魔法の書類なのです。このような書類は犯罪組織やテロリストがなんとしても入手しようとする最たるものです。そしてこのような犯罪組織の構造を解明するのは非常に困難なのです」と説明する。世界的に有名なこの道の専門家であるランストープ教授は、わずか1年前(2004年3月11日)に大規模なテロ攻撃を受けたばかりで、しかも国内に数多くの北アフリカ系イスラム過激派組織が潜伏していると見られるスペインの外交団に対する安全対策が非常に脆弱なのに驚きを表明した。ランストープ教授はまた、1990年から2001年の間に1万9000通のベルギーのパスポートが紛失したこと、マスード司令官の暗殺犯人たちがベルギーのパスポートを所持していたことを指摘した。「この事件は各国当局に対する突然の警鐘として作用するはずです」とマグナス・ランストープは結論した。おまけにベルンのスペイン領事館は、ここ最近何度も不法侵入未遂の対象となっていた。
(翻訳おわり)
http://blog.livedoor.jp/media_francophonie/archives/13925640.html
もしかして以下の事件とも関係があるのか?いずれにしろ謎が多い事件であったことには間違いない。
▲Madrid rocked by car bomb blast
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/europe/4249159.stm