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死ぬな!:読者の投書から  痛み悲しみ、抱えつつ  【朝日新聞】
http://www.asyura2.com/0502/social1/msg/466.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 6 月 19 日 07:08:06: ogcGl0q1DMbpk

(回答先: 命の綱、地方に動き 自殺予防、44都道府県市が施策  【朝日新聞】 投稿者 愚民党 日時 2005 年 6 月 19 日 06:51:13)

(死ぬな!:読者の投書から)痛み悲しみ、抱えつつ


 社会面連載「死ぬな! 自殺3万人時代に」に、メールや手紙が200人近い読者から寄せられました。過去に死を考えた体験や家族を失った苦しみなど、何らかの形で自殺にかかわった方々からのお便りが大半です。投書の一部と専門家の提言、相談窓口を紹介します。(錦光山雅子)

◆死のうとしたら、母の電話

 19歳で借金地獄に陥りました。毎日のように督促の電話がかかってくるので、いつからか身の回りの「音」に恐怖を感じていました。アパートの階段を上り下りする音。車のドアを閉める音……。安心して眠ることもできず、ある早朝、自殺を決意しました。

 また嫌な一日が始まる。苦しみから早く逃れたい。考え抜いた方法で実行しようとした時、電話が鳴りました。母からでした。無言の私に何かを感じたらしく、母は「次の休みに帰ってきなさい! 変なことしたら許さないからね!」。圧倒され、自殺は未遂に終わりました。

 久しぶりに実家に戻り、すべてを話しました。母は涙を流し、私のほおを2回殴りました。「なぜ相談しなかった! このバカが!」

 数日後、消費者金融から借金完済の通知がありました。母が、亡父の保険金で返済してくれたのです。「また新しい自分で生きていきなさい」。母の言葉は、今も耳に残っています。(静岡県 会社員男性 24歳)

◆精神科、通った末に2度未遂

 昨冬、2度自殺を試みました。借金苦でも失業でもありません。職場で笑顔の同僚が、実は深い心の闇に捕らわれていることがありうるという警鐘を、少しでも伝えて頂きたいと思います。2度の自殺未遂は、2年近く精神科に通った揚げ句の行動でした。だから、社会で「死のうとする前に精神科へ」と決まり文句のように言われるのが気になります。

 精神科に行くことには意味があると思いますが、死にたいと思っている人が精神科の扉をたたく前に知っておいて欲しいのは、医師は神様ではないということです。精神科は外科的に「死にたい」気持ちを取り除いてくれるところではありません。「死にたい」という心理が「正常ではない状態」だと本人に自覚を促し、病識を持たせ、自ら治そうという意思を持てるよう「手助け」をしてくれるところです。精神科医も人間です。初診で患者の人生のすべてを把握するのは不可能で、治療は何年にもわたることもあります。

 私の場合は治療が軌道に乗り、最悪の状態からは抜け出せましたが、精神科の役割を理解せず、単純に「病院へ」と促しても、「なんだこの程度か」となり、治療は進まないでしょう。(大阪府 会社員女性 33歳)

◆死ぬ勇気あるなら生きて欲しい

 2人目の子の出産を目の前にしていたこの春、父が自殺した。病院に駆け付け、自殺と知って崩れた。父は帰宅後、夕飯をとり、入浴し、またスーツに身を包み、携帯電話の履歴などすべてを消して行動に移した。遺書はなく、後で、亡くなる1週間前に仕事を辞めていたことがわかった。

 最後に父と会ったのはひなまつりの日だった。前日に体調を崩した私の長男を心配し、母と見舞いに来てくれたのだ。

 でも、なんで? 最後に会った時、私の家の大掃除をしに泊まりがけで来ると約束したのに。息子とも遊ぶ約束をしたのに。「待ってるね」という手紙を息子なりに頑張って書いたのに。その返信を投函(とうかん)した日に、どうして死んだの。

 自殺というのは、そんなものなのでしょうか? そんな勇気があるなら、生きて欲しいと願うのは私だけでしょうか? 仕事辞めててもいいじゃない。生まれてくる孫を見たり、娘を手伝ったりする大きな仕事があるのに……。悲しかった。

 複雑な思いで過ごした日々は本当にサクラがいっぱいだった。毎年、サクラをみるたびに、「会いたい」という思いが膨らみそうです。(東京都 主婦 30歳)

◆借金で母が死ぬなんて

 5年ほど前から多重債務者の心のケアをしたくてボランティアを続けています。前夫の事業の失敗から多重債務に陥り、リストカットなどを繰り返していましたが、多重債務者の支援団体の方々の支えで立ち直ったのがきっかけです。

 ボランティアを始めてからは仕事も順調で生活も安定しました。ところが昨夏、ただ一人の肉親だった母が自殺したのです。母の多額の借金が分かり、法的手続きを進めようと思っていた矢先のことでした。

 年金を担保にしていて、出る度に業者が90%を引き出していました。母にとっては「死ね」と言われたも同然の状況でした。

 結局は見殺しにしたのと同じだと思い、私も死を考えました。押しとどめたのは「子どもを大切に」という母の遺言でした。その言葉を胸に息子の成長を見届けようと思っています。同時に母の死を無駄にしないためにも、借金苦などで死ぬ必要はないと、今後も訴えていくつもりです。(兵庫県 主婦 44歳)

◆文通相手の一言 生きる支えに

 数回、自殺を考えました。鮮明に覚えているのが15歳の時。いじめに家庭崩壊が加わり、どこにも自分の居場所がなく、苦しくて刃物を手に押し当てようとしました。

 思いとどまらせてくれたのは文通相手です。彼には自分がいじめられていることを告白していました。きっかけは彼も不登校気味という話を聞いたからでした。

 修学旅行先から送られてきたはがきには「ぼくもガンバるから、あなたもガンバってね! でも無理は絶対にダメだよ」と書いてありました。私は泣きながら何度も、何度も読み返しました。今でも彼に生かされたと思っています。

 自殺志願者は、本当はどこかでSOSを発しているのだと思います。誰かに自分の苦しみに気付いて欲しい、と。数年前まで「あの時死ななくてよかったのか」と自問する日がありましたが、今はそうした思いはありません。「あの時に比べたら……」という思いがあるのかもしれません。(東京都 アルバイト女性 22歳)

◆相談先の情報提供を

 厚生労働省の03年の統計では、練炭を用いた自殺が急増しているとのことだった。これは練炭を使った集団自殺の報道が盛んだったことと関連があるのではないか。

 メディアの使命は事実の報道であり、報じるのは当然だ。しかし、そのことで新たな自殺が引き起こされるなど、マイナスの影響が想定される場合、具体的な防止策を含めた、踏み込んだ報道が必要ではないか。

 自殺方法や場所を報道しないよう配慮する国がある一方、シンガポールのように、自殺の記事を掲載する場合には必ず自殺防止団体の連絡先を同時に掲載する国もある。

 欧米の電話帳では、自殺防止団体の電話番号を「緊急の電話番号」として、警察や消防、救急車などの電話番号と同様の場所に載せている。

 私の弟は99年に過労自殺した。前年に自殺者が初めて3万人を超え、弟も自殺前夜、友人との会話で自殺者の増加傾向に触れていたという。

 長時間労働が蔓延(まんえん)する時勢、遺族になって痛切に思うのは、自殺を少しでも思いとどまらせる環境があれば、ということだ。メディアを通じ自殺防止団体の連絡先がすぐに分かるような状況にしておく必要がある。(東京都 諏訪裕美子さん 42歳)     ◇            ◇

◆困ったとき、悩んだときは

●日本いのちの電話連盟

 事務局:03・3263・6165(平日10時半〜17時)http://www.find−j.jp 全国55カ所で受け付け

http://www.find-j.jp/

●東京自殺防止センター

 03・5286・9090(毎日20時〜翌朝6時)http://www1.odn.ne.jp/〜ceq16010 自死遺族の会・面接も

http://www1.odn.ne.jp/~ceq16010/

●大阪自殺防止センター

 06・6251・4343(24時間) http://www4.osk.3web.ne.jp/〜befriend 自死遺族の会・面接も

http://www4.osk.3web.ne.jp/~befriend/

●猫次郎経営研究所(吉田猫次郎さん)

 03・5297・0006(月〜土曜10時〜18時)http://www.nekojiro.net 倒産回避の相談を実施

http://www.nekojiro.net/

●全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会

 03・3774・1527(平日13時〜17時) http://www.cre−sara.gr.jp

http://www.cre-sara.gr.jp/

●過労死110番全国ネットワーク

 03・3813・6999(平日10時〜17時) http://karoshi.jp

http://karoshi.jp/

●あしなが育英会

 03・3221・0888(平日9時〜17時、土曜は正午まで) http://www.ashinaga.org 遺児への奨学金や心のケア

http://www.ashinaga.org/

●リメンバー神戸・名古屋・福岡

 http://www.hospice.jp/jishi−izoku 自死遺族の会を定期開催

http://www.hospice.jp/jishi-izoku/

     ◇            ◇

◆総合的な予防対策急げ 田村毅・東京学芸大助教授(精神科医)

 「死にたい」という気持ちを持ってしまった人たちを、どう支えるか。

 まず医療面だが、日本では精神科にかかることがタブー視されている。精神的な問題は誰にでも起きうる。気軽に受診できる仕組みが必要だ。とはいえ、医師にかかれば自殺願望が治まるとも言い切れない。

 医療がかかわれるのは自殺者のごく一部だ。自殺者がうつなどの精神病だとは限らない。そう考えると医療以外の予防活動も欠かせない。

 朝日新聞の連載に対する投書を読むと、家族や文通相手が自殺を思いとどまらせたケースが少なくない。人との関係の回復が自殺の衝動を救う。

 弱さを認めない世の中で、「死にたい」という気持ちを抱いている人は孤独だ。自分の存在を見失い、最終的に死に追いつめられてしまう。だが、孤独だと思っている人も、その痛みを理解してくれる人がいれば生きていける。

 こうした役割はいのちの電話などの民間団体が担っているが、多くは資金力も乏しく、行政の支援が欠かせない。都道府県などの精神保健福祉センターが中核になり、地域の資源を生かしたネットワークを作る必要がある。

 国の対策も十分ではない。医療面だけではなく、福祉、教育、産業、そして民間への支援も含めた総合的な自殺防止対策を真剣に考えてほしい。



http://www.asahi.com/paper/national.html



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