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(回答先: ブッシュにブレーキ(エル・ペリオディコ紙社説):「共謀罪」論議の参考に 投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2005 年 6 月 17 日 19:32:58)
アメリカには1936年に施行されたSSN(ソーシャル・セキュリテイ・ナンバ)という制度があります。この制度を斎藤貴男氏は『プライバシークライシス』で次のように述べています。
≪ずいぶん前から、アメリカは変質してしまっている。かつて世界中に流布された「自由の国」の伝説は、国民一人一人に割り当てた背番号を支配の道具にできる一握りの権力者と大企業の幹部だけが、特権的に受け継いでいるにすぎない。≫
アメリカのSSNの使い道は当初は納税や年金などの特定の社会保障用にだけと定められていたのですが、今ではカルテ、従業員ファイル、大学の身分証明書、銀行口座、運転免許証申請、保険加入、就職、車の購入、家の賃貸、電話・電気・ガスの申し込みといった、ありとあらあらゆる場面で必要なものとなってきているといいます。
1975年、日米欧三極委員会は、「アメリカは”過剰な民主主義”に蝕まれているが、こうしたときに必要なのは、”民主主義をもっと適度に享受すること”で、そうすれば国民を統治しやすくなる」という報告をし、その三極委員会の共同設立者のブレジンスキーが「高度に発展した社会では特に新たな社会管理手段考案のための”人類の進歩と行動管理”研究が必要だ」とのたいました。
現在日本では、そのSSNを上回る「新たな社会管理システム」の端緒になる制度がつくられました。
「住基ネット」です。
この転居の際やパスポート発行の際に、わざわざ住民票を役所から取り寄せなくてもよいという『利便性』(?)を謳っている役所の市民の個人情報のコンピュータ検索システムは、今の「住所、氏名、年齢、性別」だけの登録情報から、”自由主義社会に相応しいようなオールマイティなもの”へと変貌をとげる研究、試行が、企業との共同作業でさまざまにおこなわれています。
氏名、住所などの他、健康保険証、図書館カード、スイカ(鉄道の自動支払いシステム)、ETC(高速自動車道路の料金支払い)、クレジットカード、ATMカード…等々などを全部記録する実験が既に「住基ネット」施行前から始まっているということです。
たとえば、今の「住所、氏名、年齢、性別」だけでも、次のような指摘がされています。
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住基ネットと過剰な検索機能
文字コードから見た住基ネットの問題点
http://www.horagai.com/www/moji/juki.htm
…(略)…
住基ネットを決めた改正基本台帳法の施行を待たずに、住基ネットの用途を拡大しよ うという基本台帳法再改正の動きがはじまっているが、「残存外字」が存在する以上、国民を住民票番号で特定するしかないだろう(注6)。
今のところ、住民票番号の民間利用は禁止されているが、住基ネットが信販業界とダイレクト・マーケティングを狙う電子取引業界の強力な働きかけで推進されてきた経緯を考えると、民間利用解禁は時間の問題だろう。
3. 住基ネットと過剰な検索機能
総務省は住基ネットの利便性として、住民票の「広域交付」と申請書類に住民票を添付する必要がなくなる点をあげている。後者を「本人確認」機能と呼ぶ。「広域交付」も「本人確認」も国民本人の要請があってはじめておこなわれるはずであって、本人の要請もないのに、行政機関が国民の個人データにアクセスするなどということは絶対に許されてはならない。
ところが、住基ネットには本人の要請もないのに、国民の個人データにアクセスできるような仕組が組みこまれている。「情報検索」と呼ばれる強力な検索機能である。
もちろん、「広域交付」と「本人確認」には、必要最低限の検索機能は必要だが、その場合の検索条件としては、個人情報保護の見地から、完全な氏名・住所・生年月日の三要素を必須とすべきだ。住民票をとる場合も、国家試験を受験する場合も、氏名・住 所・生年月日は明記するのだから、それでなんの不都合もないはずである。
ところが、住基ネットの「情報検索」を使うと、曖昧な情報からでも目当ての人間の個人情報にたどりつけるのである。
「情報検索」には四通りの方式があるというが、基本的には氏名+住所か、氏名+生年月日の二要素だけで検索が可能である。氏名は読みだけでよく、しかも前方一致だから、検索式として「*」を書かないものの、ワイルドカードによる検索と同じである。
一応、出てくるデータ数の上限が決まっており、それをこえてヒットした場合は、検索条件を再設定する画面にもどるという。地方自治情報センターにうかがったところ、上限の数はセキュリティ上の秘密ということだったが、例にあげられた数からすると、 かなり多そうだという印象を受けた。
たとえば、
小泉純一郎 昭和17年1月8日
で検索すれば、日本中の昭和17年1月8日生まれの小泉純一郎氏全員のデータが出てくる だろう。誕生日さえわかれば、現住所をつきとめることが一瞬でできてしまうのである。
こいずみじゅんいちろう 昭和17年1月8日
ではヒット数が上限を越えそうだが、その場合は、「神奈川県」、もしくは「神奈川県横須賀市」と住所で絞りこめばよい(完全な住所は必要ない)。
これだけでもどうかと思うのだが、「住基ネット問題点」というページによると、あ きれかえる機能がついていた。生年月日まで「春・夏・秋・冬」とか、「上旬・中旬・下旬」という曖昧な条件で検索できてしまうというのだ。これが事実なら、とんでもないことである。
昭和17年1月で上限を越えるようなら、
こいずみじゅんいちろう 昭和17年1月上旬
こいずみじゅんいちろう 昭和17年1月中旬
こいずみじゅんいちろう 昭和17年1月下旬
と三回にわければよい。
「片山虎之助」のような珍妙な名前なら、
片山虎之助 昭和10年夏
で十分だろう。現住所がわかってしまえば、姓&住所で
片山 岡山県岡山市富田町2丁目5番地
これで片山虎之助氏の同居家族の住民票がずらずら出てきて、家族構成までわかるという寸法だ。
国民本人の要請があった上での「広域交付」、「本人確認」なら、完全な氏名・住所・生年月日がそろっているわけで、こういう機能は必要ないはずである。このような過剰な検索機能は、国民本人の知らないうちに個人情報を取得する目的で用意されたとしか考えられず、国民監視機能と断ぜざるをえない。
第二の問題点は、この過剰な検索機能を実現するために、区市町村に管理責任のある住民の個人データを、県レベル、国レベルのサーバーに送信しなければならなくしてしまったことである。もし、検索条件として完全な住所の入力を必須としていれば、個人データを市町村のサーバーの外に出す必要はないはずだ(注7)。住基ネット不参加を決めた自治体が、準備段階で都県に転送したデータの消去をもとめたにもかかわらず、無視されているが、こういう状況が生まれたのは、過剰な検索機能を実現しようとしたことに一因があろう(注8)。
第三の問題点は、この過剰な検索機能が通常の機能としてついているために、クラッキングの知識のない者(自治体職員・下請作業員・不正侵入者)でも、いとも簡単に目当ての個人データを引きだすことができるようになってしまったことである。
もし、住民票にアクセスするのに完全な氏名・住所・生年月日の三要素が必須なら、クラッキングの知識がない限り、個人データを引きだすことはきわめて困難である。
コンピュータ犯罪の大部分は、たいした知識のない内部の人間の犯行だということは常識である。実際、地方自治情報センターが自治体に配布した手引には「"有名人の住所を調べてはいけません"」、「"同窓会の名簿を作るのに利用してはいけません"」と書いてあるという。総務省側も、過剰な検索機能の危険性は承知しているわけだが、法律的な予防策はとられていない(後者はともかく、前者は、調べた結果を口外せず、自分の楽しみのために使うだけなら、まったく罰則の対象にならない)。
また、「ハッカー」(正確にはクラッカー)というと、天才的なコンピュータ犯罪者というイメージが一人歩きしているが、そんな天才的犯罪者はごくごく少数で、ほとんどのクラッカーはアンダーグラウンド・サイトでクラッキングの知識を読み齧ったチンピラにすぎない。住基ネットの必要以上に強力な検索機能は、内部犯行やチンピラ・クラッカーの犯行を助長している。
…(略)…
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図書館カードから個人の或る程度の思想の傾向を読み取ることが可能だろうし、日用品を含めたショッピングの情報からは、階層や趣味、「人となり」までの詮索がある程度まで可能になるでしょう。医薬品の購入からは、健康保険証の診療データからは得られないようなデータも入手できるでしょう。
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