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(回答先: NHKこそ完全民営に〜政府・与党のためのNHKから、国民のためのNHKへ〜 (青山貞一) 投稿者 外野 日時 2005 年 1 月 30 日 03:49:59)
「週刊現代」2005.02.05号
朝日 VS NHK「政治圧力大戦争」のウラと行方
NHKの「番組改編」こんなにある!
(略)
結局、放送前日に松尾氏と局長二人による「異例の」(長井氏)試写が行われ、最終的に44分の番組を40分に短縮した。そのような体質のNHKである。直前になって、トップの一声で番組を改変したのは、今回問題になった番組ばかりではない。看板番組の『クローズアップ現代』でも、イラク戦争を伝える内容の番組づくりをしていたが、幹部の一声で急遽、中止となっていたのだ。
突然、中止になったのは、2003年5月12日に放送予定だった『クローズアップ現代 終わらない戦争(仮題)』である。番組に携わった関係者ら複数の証言を基に、中止に至るまでの経緯を説明する。
企画・提案・編集は、NHK報道局国際部と番組制作局社会情報番組部が二人三脚で進めた。企画段階から、外部のフリージャーナリストとの共同製作ということで、話がまとまっていた。ジャーナリストは2003年4月15〜25日にイラク市民の生活を密着取材していた。VTRには、自爆テロを警戒して子連れの父親にまで銃口を向ける米兵の姿などが映されていた。
編集作業は4月末から始まり、試写を見た国際部記者は、「自信を持って放送できる」と満足げに言ったという。
しかし突如として番組の放送が暗礁に乗り上げた。放送5日前の5月7日、番組を担当している管理職が、諸星理事に呼ばれた。諸星氏は政治部出身で、海老沢勝二会長と同じ茨城県潮来市出身であることなどから、海老沢氏の辞任後、会長のポストに就くと目されている人物だ。
諸星氏は管理職に、こう言ったという。
「NHKが取材していない内容を主とする番組を放送するわけにいかない。番組を没にして、他の番組で穴埋めしろ」
中止命令である。今回、問題になっている従軍慰安婦を扱った番組と同じ展開である。NHKの複数の職員に確認を取ったが、口を揃えて、
「取材・編集を終えた番組が、幹部の一声で中止させられるのは、極めて異例」
と言った。番組担当の管理職は諸星氏との交渉を繰り返したが、無駄だった。ある管理職の一人は交渉を終えて、「この会社(NHK)には、一般常識というものが存在しないのだろうか」
そうため息を漏らしたという。交渉結果を聞いた部下の現場担当者は、「(NHKの)多くのディレクターやカメラマンがバグダッドで取材することを希望していたのに、許さなかったのは経営陣じゃないか。だからこそ、戦争の現実を問う番組を作るために、フリーのジャーナリストとの共同制作という道を選択したのに……」
と憤ったが、決定は覆ることはなかった。
最終的に5月13日の昼に、交渉は完全に決裂した。『おはよう日本』やBSの放送枠で流すという代案を検討していたが、それも「上からの圧力」(番組関係者)で潰された。協力したジャーナリストは、こう嘆いたという。
「BBCやロイターのジャーナリストに、恥ずかしくて説明もできない」
この放送中止事件には伏線があった。同じ年の4月1日に放送された『クローズアップ現代 イラク北部でいま何が〜クルド人自治区・開戦からの1週間』にも、諸星氏の圧力が及んでいた。『終わらない戦争』を取材したジャーナリストがナビゲーター役として番組に出演して、フセイン政権打倒を進める米国に協力する不安を訴えるクルド人市民の本音を紹介する予定だったが、放送当日になって、諸星氏がジャーナリストの出演にNGを出したという。
「ニュース10」ができた理由
どちらのケースも、米軍の発表を主とした戦争報道の中にあって、イラク人などそれ以外の視点の映像が紹介されている。対米追従路線の小泉政権にとって、アメリカ批判につながる映像を夜の7時半に流されるのはマズすぎる。そう慮ったのであろうか。NHK経営広報部に確かめた。
諸星理事が中止命令を出したのか。
「回答を差し控える」
中止命令に現場が反論している。普通とは違う経緯で中止になったと聞いた。
「米軍の被害を受けたイラク人だけでなく、テロとかで犠牲になった人もいるわけで……。多角的に取材する必要があるという判断があった」
米軍批判に偏った印象を与えかねないということか。
「それが中止の理由の一つだ」
本誌は2004年11月20日号で明らかにしたが、NHKはイラク戦争勃発時、毎日のようにアメリカ寄りの報道を垂れ流した。小泉政権が対米追従である限り、決してイラク側から見た番組は作らないということなのか。
NHKと政治は、切り離して考えることはできない。看板番組『NHKニュース10』は、政治的な必要から生み出されたという話まである。
久米宏氏が司会を務めていた『ニュースステーション』は、自民党から名指しで批判されたこともあるスタンスでニュースを制作し、高視聴率を保っていた。
「平日の夜10時台に『ニュースステーション』の対抗番組を作るという話は、海老沢の前の川口幹夫会長の頃から持ち上がっていました。久米さんの番組に対抗する報道番組を作ってほしいという自民党の意向を受けた幹部から、声が上がっていたのです。しかし、川口会長をはじめ、複数の幹部は了承しなかった。自民党に迎合して、人員や機材の物量で民放を圧倒するようなマネをすることは許さなかったのです」(NHK関係者)
しかし、1997年に会長が川口氏から海老沢氏に交代し、2000年4月から『NHKニュース10』が始まったのだ。
自民党べったりのNHKの姿勢を明らかにしてくれた長井氏を孤立させるような組織であれば、海老沢氏のクビがすげ替えられても組織の浄化は難しいであろう。