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(回答先: 96年6月: ソフトバンク、マードックと組んでテレビ朝日買収を目論む 投稿者 木田貴常 日時 2005 年 3 月 24 日 23:21:40)
2004年10月20日
ソフトバンクの戦略。
http://blog.livedoor.jp/takahashikamekichi/archives/8303265.html
グローバル企業と提携しつつ、日本の業界秩序を変える。これが孫さんの戦略です。だとしたら、ダイエーの買収で名前が上がっているウォルマートと水面下で接触しているとしても、何ら不思議ではありません。ホークスの試合が終わり、ダイエー再生の主導権をめぐる争いが始まった今が発表のタイミング。そう判断したのでしょう。
ソフトバンクは、ビルゲイツと正面からぶつかる商売を避けてきました。もしも提携の相手がウォルマートなら、そんな心配もいりません。球団名を「ソフトバンク」とストレートに言わないのは、背後に別の企業名を考えている証拠だと思います。チーム名については曖昧な孫社長も、話が王監督に及ぶと「そりゃあ、もう」と素早く強く肯定しました。在日コリアンの孫正義さんは、マイノリティの強みと弱みを知り尽くしている。たとえ監督でなくても、王貞治さんの顔は確保したいはず。王さんには、台湾の人脈があるからです。個人的な人脈を重視するのも、孫さんの特徴ですね。
ソフトバンクは、総務省を相手に裁判をやっています。ケータイの電波の割り当てが欲しいのは当然でしょうが、そこには隠れた意図があると思う。総務省が決めている電波は、ケータイだけではありません。あらゆる放送局に電波を割り振っている。彼の本当の狙いは、日本の電波行政の問題点を明るみに出すことで、より開かれた電波にすることではないか。それは、放送局の買収や設立を、より簡単にするはずです。
孫さんが出したのは、電波についての意見広告です。表向きはケータイの料金を下げる宣伝ですが、さらには新聞社との関係を考えたのではないか。広告を出せば、新聞との関係が強まります。96年にマードック氏とテレビ朝日を狙ったときは、背後で朝日新聞社が阻止に動きましたから、総務省には裁判という強攻策で、新聞社には出稿という懐柔策で、という2面作戦なのでしょう。そしてメールをユーザーに送り、世論の喚起を狙った。さらに、背後で支えてくれるグローバル企業の経営陣には、日本の閉鎖性を熱く語っていると思います。その相手がマードックやマイクロソフト、それにウォルマートだったら、そりゃ経営は面白いでしょう。
日本の放送業界の特徴は、新聞社の支配力と、地方の有力資本のローカル局への影響力が強いことです。市場原理ではなく、コネや政治の影響で動きやすい。CATVとて、例外ではありません。私の住む松本市は、長野県の諏訪市、山梨県の甲府市に次いでCATVの普及率が高い地域です。ここでCATVをやっているテレビ松本の社長は、早稲田大学の雄弁会出身で、国会議員の秘書をやっていたSさん。山梨のCATVを経営していたのは、若築建設をめぐる汚職事件で逮捕された代議士、中尾栄一さんの息子だったと思います。孫さんが壊そうとしているのは、こうした日本の既得権ですね。
この本の中で孫さんは、「お金には色がある」と言っています。お金は、ただ積みあがっているだけでは、色のない数字に過ぎません。そこに経営者の個性や主体性、さらに戦略が吹き込まれたとき、はじめて「資本」という名の化け物になるのです。まるで社会主義のようだった日本のメディアの世界に、資本主義が持ち込まれようとしている。
ライブドアの社長は、ソフトバンクの動きを「歓迎すべき展開」と呼んでいます。それは、ひとつにはIT業界の隆盛があるのでしょうが、もうひとつ日本のメディア再編への期待があるから。ライブドアが報道部門を作ったのは、自前のメディアを持つ意思の表れです。堀江社長は、マスコミに頻繁に出演しているように見えますが、私は、ちょっと違うと思う。あれは、「堀江貴文」という名前の番組を制作しているようなもの。いわば、コンテンツの製作です。
2000年の知事選で、私はスタッフの皆さんに言いました。「田中康夫という名前の番組を作りましょう。視聴者参加型の番組。モーニング娘。を育てるように、知事を育てる番組です」。私には、田中康夫が政治でやったことを、堀江貴文さんが経済でやってるように見えるのです。
私たちは、これから新たなメディアの興亡を目撃することになりそう。誰が良いとか悪いというこだわりよりも、私は面白いドラマが楽しみです。もしも枠組みに変化がなければ、既存のメディアは形骸化するでしょう。その兆しは、もう出ています。