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運転士が非常ブレーキ、転覆脱線誘発か…尼崎事故
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050502it05.htm
兵庫県尼崎市で起きたJR福知山線の脱線事故で、事故を起こした快速電車の1両目の運転台にあるブレーキレバーが、非常ブレーキの位置にまで押し込まれていたことが2日、明らかになった。
非常ブレーキは運転士と車掌がかけられるほか、車両が大きな損傷を受けた場合にも自動的にかかるが、運転台のレバー位置などから、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、非常ブレーキは高見隆二郎運転士(23)(死亡)本人が作動させたと断定。カーブ進入時の速度超過とあいまって、特異な「転覆脱線」を引き起こした可能性が高いとみて、調査を進めている。
事故を起こした快速電車と同型の、207系電車の運転台には、進行方向右側に「ブレーキハンドル」が、左側にモーターの出力を調整する加速減速用のハンドルが配置されている。JR関係者によると、運転士は通常、両ハンドルに手をかけた状態で運転している。
207系のブレーキは、レバーを前後に操作して、制動力を8段階に調整する仕組みとなっているが、レバーを一番奥に押し込むと、非常ブレーキが作動するようになっている。
非常ブレーキは運転士のほか、車掌の判断でも作動させることが可能で、左右ドア近くに非常ブレーキのための専用レバーがある。このほか走行中に衝撃が加わり、車両をつなぐ連結器が外れた場合にも非常ブレーキが自動で作動する仕組みとなっている。
今回の事故で事故調は、事故列車が制限速度の時速70キロを大きく超える100キロ以上で現場カーブに進入したことに加え、非常ブレーキがかかったことで車両が不安定な状態になり、片輪が浮き上がって横倒しになる転覆脱線が起きたと断定しているが、非常ブレーキがなぜ作動していたのかは明らかになっていなかった。
事故調が車掌と指令所の交信記録などを解析した結果、車掌は、高見運転士から伊丹駅で起こしたオーバーランを過少申告するよう持ちかけられていたほか、オーバーランに関する乗客からの苦情処理などに追われ、非常ブレーキを作動させる余裕はなかったと判断。今回、ブレーキレバー位置が判明したことで、高見運転士が非常ブレーキを作動させたと断定した。
事故調では今後、車両から回収した「モニター制御装置」の記録を詳しく分析するなどして、車両に非常ブレーキがかかった時期を特定し、非常ブレーキが車両に及ぼした影響を調べる方針だ。
◆非常ブレーキ=電車は、モーターを発電機として使うことで、自動車のエンジンブレーキのような制動力を得る「電気ブレーキ」と、車輪の回転を物理的に止める「空気ブレーキ」を併用している。
通常は電気ブレーキで減速し、空気ブレーキは速度が落ちてから作動させるが、非常ブレーキでは、高速でも空気ブレーキを作動させ、強力な制動力を発生させる。
(2005/5/2/14:30 読売新聞 無断転載禁止)