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よろずもめごと論
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2005.04.26
鉄道事故と民営化の関係について考える
JR福知山線で大変痛ましい事故が起きた。26日現在で73人もの方が亡くなられたと報じられている。
決定的な原因は明らかでないが、運転士の資質の問題、スピードオーバー、ATSや脱線防止ガイドの不備、置き石の可能性、緊急ブレーキによるものまで様々な可能性が挙げられている。
おそらく複合的な要因であろうが、いずれにしても人災であり、運転士の落ち度がこのような大惨事に結びついてしまう異常な状態、フェイルセーフ(誤りがあっても重大な結果に結びつかない仕組み)を欠いた状態で運行を行っていたJR西日本の責任は逃れ得ないだろう。
具体的な要因とは別に、民営化によるコスト削減(利潤の追求)がこのような事故を招いたのだという指摘があるが、この指摘には私は同意できない。
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報道を注意深く聞いていると、(最初から「民営」である)私鉄はJRと比べるてはるかにまともな安全対策を取っていることが分かる。
私鉄は人道的な観点から安全対策を取っているのだろうか。それだけではあるまい。
ひとたび事故、特に今回のような重大な事故が起これば、人的な被害はもちろんのこと、鉄道を運営する企業にとって莫大な金銭的な損失とともに信用の失墜を招く。これは純粋に「コスト」としてみても許容できるものではない。あらかじめ安全対策を取った方が遙かに低い支出で抑えることが出来る。
市場では社会的な信用も結果としてコストに反映する。社会的な信用を失っても倒産することのない官僚組織と異なり、企業の存続にとって信用を損なうことは大きなリスクなのである。
すなわち、そもそもの民営である私鉄はまともな経営感覚を持っている(継続的な利益を追求している)からこそ、しっかりとした安全対策を取っているのではないだろうか。
話がそれるが、さまざまな「民営化」議論で、民営化されると利潤追求で国民の利益が失われるかのうような意見が散見される。競争がない市場であれば正論だが、少なくとも適正な競争が行われている場においては、そのような考えは決めつけに過ぎない。
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今回の事故が私鉄ではなくJRで起こったのは「たまたま」なのかもしれない。
しかし、報道で伝えられる私鉄とJRの安全対策の差を耳にすると、JRに残っているお役所体質に遠因があるのではないかと思わざるを得ない。
犠牲となった方々の無念には言葉もない。