現在地 HOME > 地震・天文12 > 607.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: 被災した超大国・ハリケーン直撃 初動遅れ「人災だ」 【朝日新聞】 投稿者 愚民党 日時 2005 年 9 月 05 日 16:47:17)
『海抜ゼロ』危機感薄く
米「カトリーナ」1週間
超大型ハリケーン「カトリーナ」による米ルイジアナ州ニューオーリンズの大洪水は、発生から五日で一週間。市内のドームに残された住民たちの州外への避難はほぼ完了したが、時間の経過とともに、対応が後手後手に回った行政の不手際も徐々に明らかになってきた。被害はなぜ、これほどまでに深刻化したのか。被災地で検証した。
(米ニューオーリンズ・池尾伸一)
ニューオーリンズ東部のシャルメット地区。被害状況を調査していた市の関係者は三日、二十二人の住民が、体が流されるのを防ぐためか、ひもなどで互いを結びつけたまま死亡しているのを見つけ、息をのんだ。
同じ地区の介護施設では三十一人の老人らが死亡していた。
避難者の移送が五日までにほぼ完了した市中心部のスーパードーム内にも、百人の遺体が横たわっていた。ほとんどは避難した後に熱中症や心臓発作で亡くなった人たちだった。
犠牲者たちの悲惨な死に際が次々と明らかになるにつれ、全米から「なぜ、こんなにひどいことに…」と、疑問の声がわき起こっている。
× ×
八月二十八日、日曜日。カトリーナのニューオーリンズ市直撃の予報を受け、ネーギン市長は、朝から焦っていた。
海抜ゼロメートル以下の湿地にある同市は、“命綱”の街を取り巻く堤防で「水と戦う」歴史をしのいできた。しかし、専門家によると、北部ポンチャートレーン湖の堤防は「中程度のハリケーンにしか耐えられない」。決壊すれば街の大半は水浸しになると、以前から警告されていた。
そこを、今まさにのみ込もうとしているカトリーナの勢力は、最大級の「カテゴリー5」。市長は「一生に一回のハリケーンだ。早く逃げて」とテレビなどで呼びかけ、強制避難命令を出した。
だが、四十八万市民のうち、約十万人が家に残ってしまった。黒人が多い同市の貧困層の割合は全米平均の三倍の28%。鉄道など公共交通機関もない中、車も、ホテル代もなく、家に残らざるを得なかった人々も多くいたようだ。
そして月曜日、朝。ハリケーンは街を去り、大きな被害がなかったことに一時は安堵(あんど)感が漂った。だが、ポンチャートレーン湖の水位は徐々に増し、その日午後、水は静かに堤防を越え、街に流れ込み始めた。流れはやがて滝となり、堤防は決壊した。
「恐れていたことが起きた」。市の関係者や地元の国会議員は連邦緊急事態管理局(FEMA)に、救援要請した。しかし、海抜ゼロメートル以下の街の現実に疎いFEMAの動きは鈍く、火曜、水曜日になっても救援の中心部隊は地元の警察、消防隊に限定。ドームなどの避難住民にも連邦政府からの救援はなく、車いすに座ったままの老人が死んでいった。
木曜日。業を煮やした地元政治家たちは、テレビで連邦政府をなじった。「いいかげんにしろ。黒人ばかりだから助ける価値がないのか」
ブッシュ大統領がやっと現地視察に出たのは翌金曜日の朝。軍の輸送部隊も救援物資とともに到着した。堤防決壊から既に四日がたっていた。
■8割なお冠水 長期支援課題
被災者の移送は一段落したが、ニューオーリンズはいまだ約八割が冠水したまま。陸軍工兵隊によると、排水とその後の乾燥が完了するには半年以上かかる見通しで、故郷を失いテキサス州などに逃れた被災者の生活を、どのようにして長期的に支援するかが、今後の課題に浮上してくるのは必至とみられる。
一方、カトリーナの犠牲となった死者数は、市の公式発表で今のところ五十九人。だが、連邦政府のレビット厚生長官は数千人に上ると指摘。軍当局者は米CNNテレビに「一万人を超えないことを祈るだけ」と語ったが、そんな基本データさえ、だれも正確な数字を把握できていないのが実情だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050906/mng_____kakushin000.shtml