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(回答先: 東京新聞 2面にわたって浜岡原発記事が![ストップ浜岡] 投稿者 なるほど 日時 2005 年 1 月 23 日 06:03:28)
地震による原発事故発生の「確率」について
『消費者リポート』掲載
http://www1.jca.apc.org/nishoren/report/report-top.html
2004年11月22日付け『毎日新聞』に、「原発:耐震性に1000倍の差 原子力安全基盤機構が試算」とした記事が出ました。記事は、原子力安全基盤機構(安全基盤機構)が03年9月に出した「確率論的手法を用いた設計用地震動の作成手法の整備に関する報告書」(報告書)の内容を紹介しています。
この報告書は、実在する三つの原発をモデルにしていますが、その名前は報告書には記載されていません。しかし、参考文献をさかのぼってみると、どうやら福島第一原発、大飯原発、浜岡原発らしいのです。
それぞれの原発の現行の設計をもとにして、各所在地で起こると考えられる地震によって、制御棒が入らなかったり容器が壊れたりした結果、炉心が損傷して放射能が大放出するような事故が起こる可能性(炉心損傷確率)を一定の仮定のもとに計算しています。ここでは、地震の規模と発生場所を見積もる際と、原発の機器の破壊から事故に至る流れを想定する際に、不確かさを補うために確率的なものの考え方が使われています。
その結果、原発の寿命を仮に40年とした場合、その運転期間中にそうした事故が起こる確率は、福島第一で10万分の1・71、大飯では10万分の449、浜岡では10万分の2370としています。地震の規模、地盤の硬度、機器の信頼性の差が最終的な事故確率の差となって表れています。
このような「確率論的安全性評価」(アメリカなどでは確率論的危険性評価と言っています)の結果を見るとき、いくつか注意しなければならないことがあります。このような評価手法は、ひとつのシステムについて、そのシステムの弱点はどこかというような評価をする際には非常に有効ですが、出てきた数字そのものをまったく異なったシステム間で比べることは慎重にしなければいけません。つまり今回の結果だけで、三つの原発の安全性の優劣を決めつけるのは控えた方がよいということです。
むしろ、今回のような原発の主要機器の信頼性をもとにしたモデルでは、限定付きですが、国際原子力機関が目標として示している10万分の1(新設の原発の40年の運転期間に対する値)と比べる方がある程度の意味があるでしょう。安全基盤機構が採用しているデータを信頼する限り、大飯や浜岡ではこの10万分の1を達成するためには、大幅な耐震補強をしてやらないといけないということになります。
また、「確率論的安全評価」では、制御棒が動かなかったり、容器が壊れたりというようないくつかの出来事がつながって起きた結果、大きな事故になると想定していますが、それぞれの出来事が互いに影響を及ぼさないことを前提にしています。巨大な地震が原発を襲ったときには、安全装置や各種の機器を一気に破壊し、評価の前提が失われてしまうことも考えられ、それこそが地震の恐れられているところです。
現在、原子力安全委員会で行なわれている議論では、安全審査の段階では「確率論的安全評価」を行なうために必要な詳細なデータを対象としていないことや、現在運転中の原発への遡及適用のことがボトルネックになって、採用に消極的なようです。「確率論的安全評価」を設計および工事認可の段階で補完的な位置づけでやろうとしており、安全審査ではまったくのフリーパスということになりかねず、情報の公開という点からみるとこれははっきりと後退です。
原子力資料情報室 上澤千尋
http://cnic.jp/journal/archives/000138.html
http://cnic.jp/journal/