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◇人を大事にする復興策講じよ
経済評論家の内橋克人さん(72)は、震災から10年となる被災地・神戸の復興手法を憂える。「国の一番大切な財産である人間を大事にしない復興。阪神大震災は、『この国の正体』をさらけ出した」
1932年、神戸市生まれ。57年から10年間、地元新聞社に勤務した。経済評論家に転身後、住居は神奈川県に移したが、震災3日後に神戸に入った。「全壊した須磨区の生家へ歩いて向かう途中、赤い炎と黒煙を上げる商店街や渋滞で立ち往生する何台もの遺体搬送車両を目にした。古里の原風景はなかった」
月刊誌「世界」(岩波書店)の95年10月号に緊急共同提言を発表。「神戸が世界に示すべきモデルは、コンクリートで塗り固めた完全無欠の防災都市ではなく、誰が被災者をどのように救援して再起を遂げさせたかとのプロセスだ」と人間中心の復興を訴えた。
97年。被災者の生活や住宅再建のための公的給付制度がない中、市民立法案「生活再建援助法」実現のため、被災者自ら国会議員に陳情し、国会前で炎天下や雨の日も座り込む姿を見た。「最低限の生活さえできない中で、基本的人権である生存権は議員に陳情をしなければ守れないのか」
道路や港湾などのインフラ整備や再開発ビル建設が進み、被災地の街並みは復興に近づいているようにも見える。だが、その裏側で、災害復興公営住宅では高齢世帯の集中や孤独死、住宅ローンの多額滞納など問題が山積。神戸市の復興予算措置(94〜04年度)計2兆7600億円のうち、生活支援費はわずか6%台という現実もある。
「震災はまだ終わっていない。今や少数派の被災弱者の人権を考える人間救済がなされていない。日本が経済大国から生活大国志向型の復興策を講じる国家となるよう、今後も言うべきことは言い、書くべきことを書く」【近藤大介】
毎日新聞 2005年1月17日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/archive/news/2005/01/17/20050117ddm008070004000c.html