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ニッポン放送 新株予約権発行差し止め 損失「証明」が不可欠
企業価値の判断 逆転可能
ニッポン放送によるフジテレビジョンへの新株予約権発行をめぐる仮処分申請で、東京地裁はライブドアの主張を認め、発行を差し止める命令を出した。勝敗を分けたのは、ライブドアの支配権取得によってニッポン放送の企業価値が損なわれるかどうかの判断で、地裁は「著しく損なわれるとは言い切れない」とした。ニッポン放送は直ちに異議を申し立てた。今後、ニッポン放送が地裁決定を覆すためには、ライブドア傘下に入った場合の経営状況の変化など、企業価値の損失を具体的に「証明」することが必要になる。
仮処分命令をめぐっては昨年、田中真紀子元外相の長女に関する記事を掲載した週刊文春の出版禁止や、UFJホールディングスと三菱東京フィナンシャル・グループの経営交渉一部差し止めなどが、世間の注目を集めた。この二例は、いずれも地裁の仮処分決定が、高裁で逆転した。このため、法曹関係者は「地裁決定が最終ではない。行方はまだわからない」と指摘する。
実際、十一日の地裁決定はニッポン放送の逆転の可能性を否定したものではない、とみる法曹関係者は少なくない。
地裁は新株予約権の発行について、商法で原則として禁止する「支配権維持が主たる目的」と認定しながらも、「企業価値とは会社、ひいては株主全体の利益。特定の株主の支配権取得で企業価値が損なわれる場合、これを防止する目的で相当な手段を取ることが許される」との判断を示した。そのうえで、「防止手段として新株予約権の発行を正当化するには、企業価値が著しく損なわれることが明らかであることを要する」と結論付けている。
今回、地裁は双方の意見を聞く「審尋」や提出された書類から、「回復しがたい損害をもたらすことが明らかとはいえない」と、ライブドア側の主張を支持した。ニッポン放送が今後、勝つためにはこの点を突き崩す必要がある。
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「ニッポン放送が逆転することは十分可能だと思う」。そう話すのは、日本コーポレート・ガバナンス(企業統治)研究所理事長を務める東京経済大の若杉敬明教授だ。
ニッポン放送は、ライブドア傘下になればグループ各社に取引を打ち切られ、将来利益が五百五十億−千四百五十億円失われると主張した。しかし、地裁は「グループとの取引は十三億四千万円で、ニッポン放送全体の売上高三百八億円を考えると、影響は甚大といえない」などと退けた。
若杉教授はグループ間の連携による所得効果を具体的に示すことが必要、と指摘する。
地裁が「大量流出は明らかでない」とした社員の雇用問題などについても、「ライブドア傘下になった場合、どれぐらいの社員が辞めると想定されるかなど、調査で得た数字を交え、具体的な『悪影響』を示すことだ」と話す。さらに、ライブドアがネットとメディアの業務提携で実現すると主張する「プラス効果」を、論理的に否定するのも有効とみる。
「合法」と判断されたライブドアの株の大量取得についてはどうか。 「違法といえなくても、支配権獲得が目的ならば、TOB制度の精神に反しているのは明らか。堀江貴文社長は先月末から『支配』という言葉を使わなくなった。だれかにアドバイスされてやめたのではないか。そこを突くことも有効だ」と若杉教授は指摘している。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/13kei001.htm