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(回答先: 【第2部 崩れた王国】(4)サマランチ会長と蜜月 「力」見せつけた五輪実現 (産経新聞) 投稿者 愚民党 日時 2005 年 3 月 07 日 08:34:17)
【第2部 崩れた王国】堤義明前会長逮捕(5)レジャー開発へのこだわり
「陳情に応えるのは義務」
「営業はどうだ」。二月二十五日、コクド社長の大野俊幸(66)と会った前会長の堤義明(70)は、こう問いかけた。
「営業」とは、コクドが全国展開するレジャー施設の営業状況のことだ。この日、堤は都内の一室で大野と三十分間、面談した。西武グループ経営改革委員会がまとめたグループ再編策に、コクドの筆頭株主として同意する意向を伝えるためだったが、本題は五分だけで、あとは営業の話に終始した。
大野が北海道や東北、信州のスキー場について「今年は厳しい」と答えると、堤は「そうか」とうなずいたという。「堤さんはレジャー事業には没頭していた。経営から離れた今も気になるのだろう」。グループ会社の元幹部は、かつての総帥の心中を推し量った。
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その六日前、大野のもとを旧知の北海道富良野市長が訪ねた。同市で西武鉄道グループが営むプリンスホテルやスキー・ゴルフ場の営業継続を求めるためだ。
「西武に撤退されたら地元経済は大きな影響を受ける」。市や議会、商工会議所など連名の要望書が大野に手渡された。
二十九歳で父の故康次郎から総帥の座を受け継いだ堤は、ホテルやスキー・ゴルフ場の拡大に力を入れ、全国百六十七カ所という日本最大のリゾート王国を築き上げた。地元からの要請を受けて進出したため、当初から社内で採算性を危惧(きぐ)されたところもあったが、堤は「陳情に応えるのは義務だ」と異論を受け付けず、開発を推し進めたという。
大雪山連峰を望む富良野も、陳情で生まれたリゾート地だ。昭和五十年の冬季国体開催を前に、当時の道知事から堤に協力要請があったのがきっかけといわれる。六十一年には冬季に百四十万人の観光客を記録したが、若者のスキー離れなどで昨年は九十万人を切っている。「北海道で二十億円、東北で十四億円、新潟で十億円の赤字が出ている」。虚偽記載問題を公表した昨年十月の会見で堤もレジャー事業の厳しい現状を認めていた。
グループの有利子負債は約一兆四千億円にのぼる。西武鉄道の高い株価がグループの信用力を支えていたが、上場廃止で経営問題が一気に表面化した。
主力取引銀行の主導で設立されたグループ経営改革委員会は、一月末にまとめた再編策で、レジャー施設のうち全国約四十カ所の撤退や売却を打ち出した。具体的な候補地名は明らかにしていないため、グループには今、全国の進出先から営業継続を求める要請が相次いでいる。
◇
「これからは普通の会社になりたい」
二月十九日に自殺した西武鉄道前社長、小柳皓正=当時(64)=は昨年十一月に記者会見した際、何度もこう繰り返した。
「普通の会社」でなかった点とは、やはり堤の強力ワンマン体質の弊害だろう。
今月三日に堤が逮捕されるまで滞在していた東京プリンスホテル(東京都港区)。四月、五百億円を投じて建設した三十三階建ての新館「パークタワー」が営業開始する。しかし、建設を陣頭指揮した堤は、オープンをみることなくグループを去った。その完成披露は、“新生西武”を社会に向けてアピールする場となる。(敬称、呼称略)
=おわり
(この連載は酒井孝太郎、坂田満城、今城敬之、金子昌世、竹田徹が担当しました)
http://www.sankei.co.jp/news/morning/08na1003.htm