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西武球団売却に拍車
イメージ失墜避けられず
コクド前会長の堤義明容疑者(70)が3日、証券取引法違反容疑で逮捕された。西武のオーナー、日本オリンピック委員会(JOC)や全日本スキー連盟、日本アイスホッケー連盟の会長として、スポーツ界に大きな力を持っていた実力者の逮捕。西武球団の売却問題の再燃や、アマチュアスポーツ界への影響が懸念される。
堤前オーナーの逮捕で、球団売却の論議が加速するのは必至だ。経営上の問題だけでなく、果たして「文化的公共財」としてのプロ球団を持つにふさわしい企業かどうか。この視点からも議論が起きるだろう。
球団は年間約20億円の赤字を抱え、昨秋にはライブドアなど複数の企業に売却を持ちかけたが、高値を理由に断られたことが明るみに出た。今季から2軍と西武ドームの命名権をインボイス社に売却したが、黒字化のめどは立っていない。西武グループの再建を担う経営改革委員会は「優良な買い手が現れるかなどをみながら、来季以降を決めていく」と球団売却も視野に入れている。
こうしたなかで、昨年日本一に輝いた球団は、グループからの自立を前面に出し、今季のスタートを切った。この日、星野球団社長(オーナー代行)は、売却の可能性をきっぱり否定したが、堤前オーナーが典型的なワンマンオーナーだったことを考えると、球団イメージの失墜は避けられない。ファン離れが懸念される。
夏場以降に売却論議が本格化する可能性は十分ある。問題は、「優良な買い手」がすぐに見つかるかどうかだ。昨秋のライブドアなどへの売却打診では、200億円ともいわれる高額を提示し、さらに都心から離れたドーム球場を本拠地として引き継ぐことなどが障害になったとされる。球界参入に意欲的とされる企業にとって、戦力に魅力を感じても、フランチャイズの魅力は乏しいのが現実だ。 (牧田 幸夫)
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西武ナイン「プレーに集中」
西武ナインは阪神とのオープン戦(鳴門)の試合前、堤前オーナーの逮捕を知った。黒岩彰球団代表は選手に「プレーに集中してほしい」と訓示、小関竜弥選手会長は「僕らは連覇を目指すだけ」と雑音を封じるように語った。チームとは別に本拠地所沢で練習した松坂大輔投手は「僕の立場では何も申し上げることはできません」と短くコメントした。
「大変残念なことだが、JOCも変わるでしょう。激震だね」。JOCの福田富昭選手強化本部長はこう話した。
会長職を務めたこともある日本アイスホッケー連盟や全日本スキー連盟の事務局にも、報道陣が次々に詰めかけた。アイスホッケーのアジアリーグで今季首位のコクドは、創設者が逮捕された時は東京都内で練習中。チームの今後は不透明。関係者は「戦う準備をするだけ」と話した。
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長野五輪招致の立役者
五輪を頂点とした日本のアマチュアスポーツ界には、前コクド会長の堤容疑者が大きな影響力を持った時代があった。同時に絶大な力は内部にゆがみを生んだ。
堤前会長の功績といえば、まず1998年長野冬季五輪の招致だろう。西武グループ経営のホテルがある軽井沢や志賀高原への利益誘導との批判の声も上がったが、91年の国際オリンピック委員会(IOC)総会で本命視されたソルトレークシティー(米国)を破ったのは、サマランチIOC前会長らとの太いパイプが生きたからといわれる。
開催地決定前後に、サマランチ前会長は頻繁に来日した。堤前会長には功労をたたえる五輪オーダー金賞が日本人として初めて授与され、専用列車で2人は長野市を訪問、その政治力を見せつけた。サマランチ前会長は、ライフワークにしていた五輪博物館建設に向けた日本企業からの寄付を頼み込んだ。堤前会長は1口100万ドル(約1億500万円)の寄付を10社以上の日本企業から取り付けた。サマランチ前会長は目を潤ませて「心から感謝する」と答えたという。
国内では、JOCが89年に日本体育協会から分離独立した際、初代会長に就任。文部省(当時)も「堤さんが責任を持つなら」と独立と法人化を認めたという。翌年、会長を突然辞任。しかし、JOC事務局からわずか数百メートルの国土計画(現コクド)から、陰の実力者として影響力を行使し「院政」が敷かれた。
会長人事で主流派と反主流派が対立すると、堤前会長の“後ろ盾”が決め手となった。後任の古橋広之進、八木祐四郎、現職の竹田恒和の3会長は、いずれも堤JOC元会長が支持した。新任の役員は、コクドの会長室へ出向いてあいさつするのが恒例だった。重要事項を決める際には「堤さんの意向だ」と言う声がまことしやかにささやかれた。
http://www.chunichi.co.jp/00/spo/20050304/mng_____spo_____000.shtml