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H2A打ち上げ成功 7号機、信頼回復の一歩
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は二十六日午後六時二十五分、鹿児島県の種子島宇宙センターから、国産主力ロケット「H2A」7号機を打ち上げた。ロケットは発射から四十分後に、気象観測と航空管制のための運輸多目的衛星「MTSAT1R」を分離、予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。平成十五年十一月に失敗した6号機以来、一年三カ月ぶりの打ち上げ再開で、JAXAにとっては十五年秋の発足以来、初の大型ロケット打ち上げ成功。衛星打ち上げ市場への参入に向け、ようやく信頼回復への一歩を踏み出した。
打ち上げは午後五時九分に予定されていたが、地上設備との通信系にエラーが見つかり一時間十六分延びた。しかし、発射後は順調に飛行し、衛星を予定通りに切り離した。
チリ沖の太平洋上空でロケットから切り離された衛星は、設計寿命を過ぎた気象衛星「ひまわり5号」の後継機。十日間をかけて高度三万六千キロの静止軌道に移行する。順調に機能すれば、米国の中古衛星「ゴーズ9号」を借りて観測業務をつないできた気象庁は「天気予報の危機」を回避できる。
米国に発注した衛星の価格、静止軌道に乗せるまでの追跡管制費などを含め、打ち上げ総額は三百十三億円だった。
JAXAは、情報収集衛星を搭載した6号機の失敗後、H2Aを総点検し、失敗原因となった固体ロケットブースターの設計変更など七十七項目を改善し、再開に万全を期した。失敗を重ねれば組織の存在意義すら問われかねないという重圧に耐え、信頼回復に向けた第一関門を突破したといえる。
日本の宇宙開発はひとまず立ち直りの端緒についた。十七年度中に三つの衛星をH2Aで打ち上げる予定で、着実に成功を重ねることが求められる。
H2Aの技術は三菱重工業に移管し、衛星打ち上げビジネスへ参入する路線がすでに決定している。米国、ロシア、欧州に比べ、日本のロケットは打ち上げ実績が少なく、コスト面でも苦しい戦いは避けられない。市場参入のためには、信頼回復は最低条件で、そのうえでコスト削減も図らなければ海外勢には太刀打ちできない。衛星打ち上げの需要そのものがこの数年で縮小傾向をたどっており、前途は決して明るいとはいえない。
今回の打ち上げでは、ロケットにも衛星にも失敗した場合の再打ち上げのための損害保険はかけていなかった。実績不足と前回の失敗で、保険料が高くつくためだとされる。
ただ、H2Aが今後も「絶対に失敗しない」という保証はない。成功を重ねることが最善だが、万が一失敗した場合は、後続衛星の打ち上げを海外と補完し合うなど、衛星打ち上げが停滞しないような仕組みづくりも課題だ。
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H2A 前身の「H2」をベースに開発された国産主力ロケット。2段式で液体水素・液体酸素を燃料に使う。7号機は推進力を上げるため固体燃料のロケットブースターと補助ロケットを2本ずつ装着。4トン程度の衛星を高度3万6000キロの静止軌道に投入する能力がある。平成13年8月に1号機が打ち上げ成功。15年11月の6号機で初めて失敗した。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/27iti001.htm