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日産新体制へ “ゴーン改革”公約実現の社風確立
倒産のふちをさまよった日産自動車を業界屈指の高収益企業によみがえらせたカリスマ経営者、カルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)=(50)=が、自らの右腕と頼む人物を後任に選んだ。五月から自身が仏ルノーCEOを兼ねるため、日本不在時に経営を託す最高執行責任者(COO)のポストを置く。約六年前に始まった日産の“ゴーン改革”は、根付いたのだろうか。
≪心かよったコストカッター≫
「冷酷なコストカッター」。そんな前評判で平成十一年三月に来日したゴーン氏に、社内は「再建手腕は半信半疑」(ベテラン社員)だった。社員の心をつかんだのは「結果を残したことに尽きる」(同)という。
十一年十月、ゴーン氏は村山工場閉鎖や負債半減、翌年度の黒字化を盛り込んだ「日産リバイバルプラン」(NRP)を発表。「公約を達成できなかったら責任を取って辞任する」と宣言した計画は、十四年二月に一年前倒しで完了した。
ゴーン氏はその後も「日産180」で世界百万台増販や負債ゼロなど難しい公約を掲げた中期計画を進め、これまですべての目標を達成してきた。
日産の中堅社員にすれば、「昔の日産ならば、経営計画など達成できなくて当然という会社だった」という。
ゴーン氏は全社員に明確な「責任」を持たせた。
「過去の仕事は関係ない。これからの日産に必要なことを示してくれ」と、就任半年で五千人におよぶ社員面談をこなしながら、目標設定を投げかけた。
日産は外資系企業になったが、ゴーン改革の神髄は、そんな「自ら高い目標を設定し、何があっても達成する」という企業風土を植えつけたことだろう。
今では日産は、社内で「コミットメント」(公約)を、社長から課長まで全員が持っている。それは、「達成できないとどうしようって、期限が迫ると毎晩うなされる」(女性課長)というほど厳しいものだという。
実際、COO候補と目された役員でさえ、目標が未達だったことを理由に退任を余儀なくされたほどだ。
しかし、ゴーン氏の顔はただの冷酷な経営者ではない。
業績回復後の毎春闘で、労組が求めた賃上げや一時金に対し、「(再建に際しての)従業員の頑張りを誇りに思う」と自動車業界の横並び慣行を無視し、業績回復に合わせる形で満額回答を続けてきた。
また、経営悪化で生産中止に追い込まれていた名車「フェアレディZ」を復活。日産ブランド再生の演出という意味もあるが、日産社員の誇りでもあった「Z」の復活は「これでゴーンさんがただのコストカッターでなく、『カー・ガイ』(クルマ好き)だとわかった」(海外事業担当社員)と社内の人心を掌握した。
日産の新経営体制では、ゴーン改革の行方が注目される。カリスマなき会社が元の社風に戻ることはないのだろうか。
ある中堅社員はこう指摘する。「もう以前のゆるゆるした会社には戻らない。大変な赤字を背負い、本当につぶれそうな経験をみな昨日のことのように覚えている」
ゴーン社長自身は二十一日、この六年間の歩みを振り返り、「エキサイティングな六年間だった」とさわやかな笑みを浮かべた。(樋口教行)
http://www.sankei.co.jp/news/morning/22iti002.htm