現在地 HOME > 国家破産39 > 1081.html ★阿修羅♪ |
|
反日デモ不安な日系企業
長期化なら中国にも打撃
中国で続いている大規模反日デモは、現地に進出している日本企業に不安を与えている。「政冷経熱」といわれ、政治的には冷却関係にあっても、経済面で一層の緊密化が進む中で起きただけに、企業は戸惑いを隠せない。事実上の「官製デモ」との指摘もあるなか、日本政府には事態の打開に向けた、断固たる態度で中国との対話に臨むことが求められている。 (経済部・中国問題取材班)
■週末が要注意
中国で物流事業などを行っている住友商事は、デモへの対策として、出張者や滞在者に行動、言動に気を配るよう呼びかけた。デモの中心を占める学生が行動を起こすのは週末なので「今週末が要注意。事態を静観している」と話す。
キリンビールは、十三日に東京で予定していた中国市場での戦略発表を急きょ延期。「この時期に発表してもデモと結びつけられるだけ」と唇をかむ。
「新しい歴史教科書をつくる会」に協賛している、と現地で報じられたアサヒビールや味の素は、会見などで無関係であることを強調したが、一部のスーパー、飲食店などでは商品が撤去される騒ぎが起きた。
店舗のガラスが割られたイトーヨーカ堂は、十四日に七番目の店舗を予定通り北京で開店する方針だ。
一方、東京株式市場では、中国でビジネスを展開している鉄鋼や機械、小売株など「中国関連銘柄」が引き続き軟調だった。市場では「デモの影響が自動車や家電など主力業種にまで及ぶ可能性があり楽観できない」との見方が広がっている。
■深まる相互依存
日本企業にとっては今のところ、物損面でのダメージはあっても、深刻な影響は特に出ていない。しかし、中国の世界貿易機関(WTO)加盟で、日本のほぼすべての大企業は中国に投資を行っている。長期化すれば、日本企業の事業縮小、撤退を招き、中国にとっても生産活動の低下、雇用の喪失という形で「両国経済に深刻な打撃を与えるのは間違いない」と化学メーカー関係者は言う。
実際、日中の経済関係は急速に深まっている。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、一九九四年末に一万社弱だった日系企業の中国進出数は、二〇〇二年末に約一万六千社に急増。日本の貿易全体のうち対中貿易の占める割合(香港を除く)は、九四年の6・9%から、〇四年には16・5%へ増え、香港を含めると日本にとって最大の貿易相手国になっている。
一方、中国の対日貿易は、貿易全体のうち〇一年の17・2%から〇四年は14・5%に減少した。ただ、急激な経済成長で貿易量全体が激増しており、日本が重要な貿易相手国であることに変わりはない。
十二日に日本経団連の奥田碩会長を訪れた中国・大連市の夏徳仁市長は「反日デモは気にしていない」と語り、中国への投資拡大を要望したほどだ。このため「中国側も日本経済に打撃となる混乱は簡単には起こせない」(財界関係者)との見方も強い。
■官製デモ疑いも
今回の反日デモは、日本の国連常任理事国入りへの動きや歴史教科書問題が引き金になっている。
だが、中国に詳しいアナリストは、北京のデモのコースや当局の対応などから「官製デモはほぼ明らか。日本が中国への資金援助を縮小している動きをけん制している」と分析する。
その上で「日本の反応をみて、譲歩を勝ち取れれば、今後もデモを激化させる。民衆の意識とは別次元の話。中国はそうした国」と言い切っている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050414/mng_____kakushin000.shtml