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社説
12月29日付
■ビラ――配る作法、受け取る度量
年の瀬、郵便受けに放り込まれるビラやチラシが増える。手にとってじっくり読むことはまずない。そのまま、ごみ箱にポイ。そんな人が多いだろう。
東京都葛飾区にある7階建てマンションでは、ビラの多さに閉口した住民たちの要望で、1階ロビーに何枚かの張り紙をした。「チラシ・パンフレット等広告の投函(とうかん)は固く禁じます」
それでも、天皇誕生日の昼下がり、共産党のビラを抱えた男性が入ってきた。7階から各戸に配って回った。玄関はオートロックでなく、出入りしやすい。
少人数学級などを訴える「共産党区議団だより」、石原都政を批判する「都議会報告」、区政への要望を聞くアンケート。配ったのはこの3種類である。
警察によれば、3階に住む男性はかねて政党ビラを自宅に投げ込まれるのがいやでならなかった。この日、ビラを配る人影を見つけ、廊下に出て呼び止めた。
「何をまいてるんだ。迷惑だ」
「正当な政治活動だが、いやならあなたの部屋には入れない」
口論になった。住民は携帯電話で通報した。駆けつけた警官は、住居侵入の現行犯を住民が取り押さえたと判断し、署に連行した。男性は送検され、東京地裁は勾留(こうりゅう)を認めた。
警視庁の説明はこうだ。住民が取り押さえた現行犯を、警官が取り調べもせずに釈放することは法律上できない。容疑者は取り調べに応じない――。
しかし、この程度のトラブルで逮捕し、勾留すべきなのか。住民に対して謝らせるとか、住民と改めて話し合わせるなど、穏便な処理ができなかったのだろうか。
配る方も配る方である。ビラのまき方に配慮がない。無神経に各階を歩き回らず、1階の集合ポストに入れれば済む。「弾圧だ」「権力の暴走だ」とことさら騒ぎ立てれば、鼻白む人も多い。
家々を回ってチラシを配る仕事を、業界でポスティングと呼ぶ。1枚配って1円とか2円という仕事である。
関東一円を網羅する大手によると、扱うビラで圧倒的に多いのは宅配のすしとピザ。英会話やエステがこれに続く。政治に関するビラは少ないという。
業者は住民から苦情を受ければ、その家には二度と近づかない。マンションなら各戸でなく集合ポストに入れる。
治安の悪化をだれもが体感する時代だ。怪しげな訪問や勧誘が後を絶たず、空き巣の被害を耳にする。ビラ配りをうとましく思う気持ち