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http://www.asahi.com/international/update/1224/007.html
「名誉の殺人」告発本は虚構 疑惑調査の記者に賞 豪州
婚前・婚外交渉が疑われた女性を「一族の名誉を守るため」と称して家族の手で殺害する中東、南アジアなどの一部地域の風習「名誉の殺人」を告発し、オーストラリアでベストセラーになった本に創作疑惑が持ち上がり、店頭から引き揚げられる事態になった。1年半がかりで疑惑を調査したシドニー・モーニング・ヘラルド紙の記者らには今月、豪州国内で優れた調査報道に授与される賞が贈られた。
この本はランダムハウス・オーストラリアから発売された「Forbidden Love」(禁じられた恋)。
ヨルダンで育ったという著者の幼なじみが家族に殺され、自身も豪州への逃亡を余儀なくされた経緯を書いた自伝で、発売はイラク戦争開始直前。中東への関心の高まりに乗って、約20万部が売れた。オーストラリア以外の15カ国でも発売され、約10万部が売れたという。
しかし、ヨルダンでの被害者数を実際の100倍以上とするなど事実誤認も多く、当のヨルダンで「名誉の殺人」防止に取り組む人たちが抗議の声を上げた。また、「中東やイスラム教への偏見を助長する」などとしてマレーシアなどでは発売が禁止されていた。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙はヨルダン在住の記者らとともに1年半にわたって調査した結果を7月に公表。著者は米国育ちで本に書かれたような経験をしようがなく、本で触れられた事件は全くの虚構だと暴いた。ランダム社は販売を中止し、店頭から引き揚げた。著者は雲隠れしたままだ。
同紙のマルコム・ノックス記者は「本にうそが多かったため、(本物の)被害者の告発や人権団体の真剣な活動まで信頼性を疑われてしまった。本が虚構だと証明できてよかった」と話している。
(12/24 19:39)