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1月14日 05年第11号 ◆ NHKの長井プロデユーサーは真の勇者だ
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◆ NHKの長井プロデユーサーは真の勇者だ
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◇◆ NHKの長井プロデユーサーは真の勇者だ ◆◇
先日このコラムで取り上げたNHKへの番組改編に関する政治介入の問題が、その後思わぬ発展に広がった。ここまで報道で取り上げられた以上、この問題はしばらく騒ぎが続くであろう。そして様々な人が賛否両論とりまぜてこの問題を傍観者的に評論するであろう。しかしこの問題が今後どのような展開になって、どのような方向に落ち着こうとも、現時点で次の点を強調しておきたい。
1. まず記者会見を開いて番組改ざんを国民の前に告発した長井プロデユーサーの勇気に最大の敬意を表したい。NHKという大組織を、そしてそれよりも自民党という政権政党の大物政治家を敵に回すことになる告発を、一職員が行うということは想像できないほど勇気のいる事である。長井さんは自らの人生のすべてを失うことになるかもしれない。大げさな言い方をすれば生命さえも失うほどの精神的苦痛を味わうかもしれない。
彼が見せた涙はその圧力を甘受するという決断の証だ。小泉首相がブラジルで自分に酔いしれて「感動」の涙を見せたのとは訳が違う。「4年間、悩んできたが、事実を述べる義務があると決断した」と記者会見で述べた長井プロデユーサーの言葉にウソはないだろう。
おりしも連日新聞をにぎわせている大阪市職員の福利厚生費をめぐる不 当支給問題で、「おかしいと思っている職員はいたはずなのに、言い出せな い空気があった」との大平光代助役の言葉を14日の各紙が報じている。告発する勇気は大変な事だ。しかし北海道警察の裏金づくりも一人の告発者から、隠蔽し続けた警察の巨悪が国民の前に明らかにされた。告発こそが、泣き寝入りさせられかねない弱者が、絶対的権力者の悪に対抗できる武器なのだ。長井さんの勇気をたたえ心から応援していきたい。
2. それにしてもNHKという組織がここまで権力者におもねっているとは驚いた。世に騒がれているNHKの金銭的な不正など比べ物にならないほど深刻な醜聞だ。報道によれば長井さんは、NHK改革の一環として昨年9月に設けられたばかりの内部告発窓口「コンプライアンス(法令順守)推進委員会」に対して、昨年12月に調査を求めたにもかかわらず、1ヶ月たっても何の調査も行われていなかった為会見に踏み切ったという。NHKの改革がいかに見せ掛けだけのものであったかということだ。そしてこの期に及んでも会長以下幹部が、事実を否定している。
そういえばNHKの記者がかつて森善朗元総理の記者会見用メモを作成していたことがバレた事件があった。最近のNHKのニュースは政府の宣伝になるようなニュースばかり流していると思ったが、ここまで権力に屈しているのだ。会長の更迭どころではない。幹部を一掃して大勢の良質な職員による下克上を起こさない限りNHKの再生はない。
3. つぎに注目すべきは、圧力をかけたとされる議員が自民党の要職にある議員であるということだ。中川昭一については別に驚かない。ダイエー再生の時の政治介入発言や酒気おび発言などの最近の言動から、その資質に問題があることは周知であった。中川一郎の息子であるからといって当然のように議員を続け要職につけることこそ問題なのだ。
しかし安倍晋三の受けるダメージは中川の比ではない。なにしろ小泉首相の後継者ナンバーワンだからだ。現に13日のロイター電は、「次期首相の最有力候補とみなされている日本の政治家が、戦争犯罪責任に関するテレビ番組に介入していたことを認めた」と世界に報じた。彼の将来の政治生命に重大な影響を及ぼす事になるかもしれない。あまりにも唐突な出来事であるので、小泉首相とその側近が後継者潰しを狙ってこの問題を放置しているのではないかと思えるほどだ。北朝鮮政策をめぐって小泉批判を始めた安倍の失敗を一番喜んで眺めているのは小泉首相かもしれない。
4. 最後に、今回の政治介入のテーマが従軍慰安婦番組に関するものであったという事だ。靖国問題の例を引き合いに出すまでもなく、日本の戦争責任に関係する問題は外交、内政の最大のテーマである。そしてその問題で安倍氏は日本の保守派、タカ派、皇国史観派に与する政治家の筆頭格である。国論を二分し、近隣諸国や世界が注視しているこの問題について、安倍氏が報道に政治介入していたということは、一議員である時はいざ知らず、日本の首相を狙う立場になった彼にとっては大変なハンディとなろう。 彼の名誉にかけても真実が究明されなければならないが、その真偽がどこにあろうとも、言い訳をすればするほど、そしてメディアで騒がれれば騒がれるほど、彼の立場は損なわれる事になろう。とんだ問題が露見したと安倍氏は内心ボゾを噛んでいることであろう。彼の政治家としての試練である。
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