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天木直人・メディア裏読み(12月17日)反戦ビラ無罪判決に思う/ネオコン、勢い衰えず ほか
http://www.asyura2.com/0411/war64/msg/889.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 12 月 17 日 17:54:10:2nLReFHhGZ7P6
 

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□★□ 天木直人 12月17日 メディア裏読み □
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◆ 反戦ビラ無罪判決に思う
◆ 退任する梶原・岐阜県知事の評価
◆ ネオコン、勢い衰えず
◆ なんとも可哀想な拉致被害者の家族
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◇◆ 反戦ビラ無罪判決に思う ◆◇
 
16日、東京地裁八王子支部は、防衛庁官舎の新聞受けに反戦ビラを入れた市民団体の3被告全員に無罪の判決を言い渡した。この件について敢えて次の二点を指摘しておきたい。

 17日の朝日新聞は一面トップでこれを報じた。毎日新聞も大きくとりあげたが読売、日経などは社会面などで小さく扱い、産経に至っては報じなかった(私が見落としたのかもしれないが)。このことから明らかな事は、特定の新聞ばかりを読んでいては判断を間違うということだ。色々な新聞を読んでその違いを比較し、どちらの姿勢が正しいのか判断する力を養うべきだ。そして新聞社の方針や記者の視点、筆力を評価する眼力を持つことだ。立派な記者もいれば驚くほど拙劣な記者もいる。金を払って購読する我々読者こそ最強のメディア批評家であるべきなのだ。

 もう一つはこの判決だけで本件を終わらせてはいけないという事だ。この判決だけでは3被告が受けた精神的、肉体的、社会的苦痛が回復されたことにはならない。彼らは一ヶ月以上の捜査の末に逮捕され、さらには75日間も長期拘留された。被告の陳述によると、捜査員の捜査態度は殆ど犯罪的行為に近い。「運動を止めて立川から出て行け」と命じ、「二重人格のしたたか女」、「寄生虫」、「浮浪児」などと侮辱的言葉を吐いたという(17日朝日新聞)。このような言動が何ら問題視されずに放置されていいのか。

「主張が認められなかったのには不満がある」(宇井稔・東京地検八王子支部長)などとのんきなコメントをしている国家権力側に対し、市民側は損害賠償、名誉毀損、権力の乱用などで逆提訴し、何かにつけて市民社会を萎縮させる公安警察の捜査のあり方を問題にしなければならない。市民も攻勢に転じてよいのだ。


◇◆ 退任する梶原・岐阜県知事の評価 ◆◇

 三位一体改革で活躍した全国知事会会長の梶原拓・岐阜県知事は、国会議員と官僚が独り占めしている権限を地方に移すという視点で様々な発言を行っていた。私もそれを評価したりした。しかしその梶原知事に厳しい評価を下す記事が17日付の朝日新聞に載っていた。それを読んで、私は妙に納得させられた。私も官僚であったから自戒を込めて言わねばならない。官僚になるような人間は「最後まで官僚の限界を超えられない」のかもしれない。以下は梶原知事に関する朝日新聞の記事の一部である。

「・・・『三位一体改革に全力で取り組ませていただきました。国と対等の立場で協議を重ねた事は、地方自治の歴史上、画期的な出来事でした』。全国知事会長の梶原拓・岐阜県知事(71)は16日、定例会の最終日を迎えた県議会で誇らしげに語った。・・・(しかし)県政を振り返ると、人材登用や公共事業で中央省庁依存が強く、『脱官僚』には程遠い4期16年だった。・・・今年4月現在、同県は中央省庁から派遣された官僚17人を課長級以上の要職に登用している。副知事、知事公室長、総合政策課長など県政の要職の大半が中央官庁出身者だ。6月、知事室に県議会各会派の代表が集まった場で『国からの自立を訴えるのならば、まずは中央官庁から派遣されている官僚の削減をするべきだ』との意見が出された。梶原氏は憮然としながら『適材適所で構成するのが理想。開かれた人事の観点から中央省庁の人に来てもらっている』と答えた。・・・

梶原氏が実績として誇るものの一つに道路整備がある。01年度の決算では県内の一般道路建設に1千億円余の国費が投下された。これは北海道、沖縄県などに続き全国5位である。長良川河口堰や徳山ダムの建設をめぐって反対を求める声が高まると、『(推進を求める)地元の意見を聞くべきだ』などと述べ、『古巣』建設省への援護射撃の発言を行った・・・
『霞ヶ関』との距離を測るうえで象徴的だったのが9月の引退劇。旧通産省出身で外務省経済協力局長だった古田肇氏(57)の元に足を運び、知事選への立候補を要請した・・・
そんな梶原氏の姿に県幹部の一人は『最後まで官僚出身の限界を超えられなかった』と漏らした。」


◇◆ ネオコン、勢い衰えず ◆◇

17日の朝日新聞、「米国はどこへ―ブッシュ政権2期目の展望」において、元英国の外交官で現在は米国保守系のシンクタンクであるケイトー研究所の研究員であるジョナサン・クラークという人が、その見通しを述べている。ブッシュ政権は世界のならず者ということのようだ。いつまで続くのか。

「・・・テロ、イラク、イラン、大量破壊兵器の不拡散などの(個別の)政策課題の間に明確な一線が引かれず、対テロ戦という一つの塊として論議された。イラク政策への批判が多かったにもかかわらず、対テロ戦の強き指導者としてのブッシュ像が、個々の問題をめぐる懸念をかき消した。・・・

ネオコンの勢いは衰えていない。彼らが信ずるものが四つある。武力行使、単独行動主義、世界の焦点としての中東、世界を善悪に二分する思考だ。2期目もこれらの要素は存在し続ける。・・・ブッシュ氏もまた、邪悪な敵が米国の価値と文明を攻撃しているととらえ、悪と戦う使命を果たさなければならないという考えが根幹にある。・・・

イラクの現状は、米国の外では深刻な挫折とみなされているが、ホワイトハウスでは違う。フセイン政権を倒し、国民議会の選挙もやろうとしているのだから『いい展開ではないか。すばらしい』という受け止め方になる。ブッシュ政権が世界に対して抱く使命感や責任感は続くであろう。・・・しかしそうした使命感を行動に具体化できる地域が今、世界のどこにあるだろうか。第2期政権で顕在化するのは、威勢のいい掛け声と、比較的穏健にならざるを得ない現実の行動とのズレだ。・・・

欧米の対立は深刻で楽観できない。米仏間に関係改善の兆しはない。・・・対欧外交の為になんらかの代償を支払おうという発想がブッシュ政権にはない。・・・日本が対テロ戦争やイラク問題の支持者である限り日米の良好な関係は続く。しかしそこから足を踏み外せばそれまでの日本の支持が忘れ去られるのも早い。また日本がイラク戦争で米国の忠実な支持者だったからといって、経済や貿易など他の分野で米国の譲歩を得られると期待したら大きな誤解だ。ブッシュ政権はそこには厳格な線を引いている。・・・(ブッシュ政権にとって)米国の耳に痛い事を言い、その行動に待ったをかける同盟国は必要とされていない・・・」 


◇◆ なんとも可哀想な拉致被害者の家族 ◆◇

これを最後に拉致問題について語るのは止めにしたい。あまりにもつらいから。もし自分が拉致被害者の家族であったならどんな思いであろうかと考えてみる。家族の人達の怒りはいかばかりか。それにもましていくら声を張り上げてもまったく動かない小泉首相と盛り上がらない国民の機運やマスコミの報道姿勢に絶望してもしきれないであろう。それでも拉致被害者の救済を叫び続ける他にすべはない。小泉首相と外務官僚の罪は重い。

拉致問題について、今後事態がどのように展開していこうとも、この点だけは私は繰り返して言い続ける。いま世論やマスコミは北朝鮮に対する非難ばかりに目が行っているが、非難の矛先は小泉首相と外務官僚に向けられるべきなのだ。

 次から次へと漏れてくる関係者の証言から明らかな事は、すべては二年余り前の小泉首相の訪朝の間違いから今日の悲劇が始まっていたことがわかる。すなわちあの時、小泉首相と外務官僚は「何があっても拉致家族を救出する」という意識はなかった。人の生死にかかわる情報をあそこまでいい加減に扱い、一部の行方不明者の帰国実現で手を打って国交正常化を進めようとしたのである。北朝鮮と取引したのである。

その当事者の小泉首相と外務官僚に期待できるはずはない。もし本気で北朝鮮側と交渉するつもりであれば、小泉首相や関係した外務官僚を変えなければならない。そうでなければ物事は進まない。いたずらに家族を苦しめるだけだ。しかし現実は小泉首相や外務官僚がそのまま何の咎めも受けずに居座り続けるのだ。拉致家族が切り捨てられるということだ。

経済制裁を行う動きが自民党の中に強い。しかしあれは小泉首相の政治責任から世論の批判をそらすガス抜きなのだ。見ているがいい。安倍晋三がどんなに強硬なことを言っていても、制裁を発動するところまでは絶対にいかない。

北朝鮮がわざわざ外務官僚を呼びつけて、「日本が行った遺骨の鑑定は根拠がない」と抗議をしても、小泉首相は怒らない。「発言の裏を読まなければならない」などと他人事だ。薮中局長に至っては、遺骨を持って帰った直後の発言で、「本人のものであるとのそれなりの心証はある。遺骨が偽者である事が分かったら、経済制裁どころではすまない」とたんかを切っていたのに、今はなにも語らない。日本政府は遺骨が別人である事が判明した時点で、間髪を要れずに抗議すべきところを、在中国の日本大使館を通じて紙切れで申し入れ、それが批判されたので改めて来年の3月頃に町村外相を派遣するという話がでる始末だ。そんな悠長な事をしている場合か。川口補佐官は何をしているのか。首相に頼まれて5月の小泉訪朝実現に走り回った山崎補佐官は何をしているのか。

16日の日経新聞夕刊に、外務省の人事に関する異例の記事が出ていた。次官になりそこねた田中均外務審議官が、同期の谷内正太郎氏が次官になっても引き続きその職にとどまるという記事だ。大使に転出するはずが、小泉首相が「田中さんをちゃんと処遇しなければだめだよ」といったという。さすがに世論の目があるので次官にさせることは出来なかったが、来年のブーチン大統領の訪日に向けてもう一度チャンスを与えるということだ。その田中氏は周辺に漏らしているという「取り組むべき課題は山積している。精一杯やる」。

これほどの大きな外交失敗を重ねながら、誰一人責任をとらずその職に留まっている。そしてそれについてマスコミも誰も問題視しない。ここにこそ拉致問題が進展しない真の理由があるのだ。そして拉致被害者の家族の声は、寒空の中に無視され続けていくのだ。


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