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核心
2004.12.15
対北朝鮮『圧力』いかに 自民・安倍幹事長代理に聞く
北朝鮮が拉致被害者・横田めぐみさんの「遺骨」として示したものが他人の骨だと判明したことを契機に、国民の北朝鮮に対する不信感が一気に高まっている。日本政府は今後、金正日政権にどう対峙(たいじ)すべきなのか。そして、「対話」と「圧力」のさじ加減はどのようにしたらいいのか。自民党内でも、対北朝鮮強硬派として知られる安倍晋三幹事長代理(党拉致問題対策本部長)に聞いた。 (聞き手=政治部・金井辰樹、本田英寛)
■制裁なら最高レベルを
――北朝鮮の一連の対応について、どう思う。
「最初から信用できないと思っていた。彼らは平気でうそをつく。だから、こういう(鑑定)結果が出ても、驚かない」
――国民の失望、怒りも相当なものだ。
「国民が怒るのは、しごく当然。だが、北朝鮮に善意を期待しても、得るものはない。彼らが態度を変えるのは、圧力をかけた時だけ。このことは、この十年間、北朝鮮の動きをみてきた私は身に染みて分かっている」
――圧力だけでなく、対話も必要だという意見も少なくないが。
「私も、圧力だけでやるとは言っていない。対話と圧力、両方が必要だ。ただ、『対話が必要』という人は、対話だけで(解決)できると思っている。われわれが対峙しているのは、偽札を刷り、麻薬を輸出し、人をさらう集団だ、ということを忘れてはいけない。暴力団との交渉が、対話で済むのなら警察はいらない、という話だ」
――政府は対話重視の印象が残る。最近、小泉内閣の支持率が下がっているが、北朝鮮政策への不満も一因では。
「それ(北朝鮮政策)が大きいと思う。首相の戦略は、北朝鮮にインセンティブ(やる気を起こさせるための刺激)を与えようとしたと思うが、残念ながら、そうはならないことがはっきりしたのではないか」
――党の拉致問題対策本部が十日に行った決議では、北朝鮮への経済制裁を即時に求めず、一定の猶予を与えて、誠意ある回答がなければ、制裁に踏み切るべきだとした。
「政府が即、経済制裁をやらないのは、だれもが分かっている。即やると言っても、お題目にすぎない。北朝鮮側もそう思っている。それなら、もう一度チャンスを与え、それを逃したらダメだとした方がいい。政府はしかるべき時期に、しかるべき時期まで時間を区切って、北朝鮮に通告するということだ」
――こうした強い意志を伝えに、政府高官が出向くことは、あり得るか。
「圧力を背景に交渉するということはあり得る」
――最後通告のタイムリミットはいつごろか。
「六カ国協議が行われる時期など、国際情勢を勘案しながら政府が判断してほしい。だが、半年後とか、一年後(といった先の話)ではない」
■人道支援は別に検討も
――北朝鮮から合理的な回答がなかった場合、制裁の内容はどうなる。
「一回猶予を与えたなら、制裁は最高レベル(船舶の入港禁止)にしないと迫力がない。(制裁のレベルを)刻むと、交渉しているように見えてしまう。船舶で持っていっているキャッシュ(現金)は北朝鮮にとって、とても大きい。脱北者らの話だと、キャッシュは(銀行での送金などと比べて)約百倍の価値があるらしい。それがなくなるのは、相当な打撃となる」
――制裁発動は、北朝鮮の国民にもしわ寄せがいくことになる。
「だから、制裁を全部やる場合は、きちんとモニタリング(監視・点検)できることを条件に、本当に困っている人のために、人道支援は出してもいいと思っている」
――米国では、北朝鮮の人権状況が改善しない限り援助を禁止する北朝鮮人権法が成立した。日本でも同様の法律を作ろうという機運がある。
「次期通常国会で、党派を超えて立法化に動くことはあり得ると思う。(人権状況が改善しなければ援助しないというのは)もともと政府の方針だから、必要ないと言えばない。だが、(米国の同法には)脱北者の支援がある。脱北者支援は、かつての東ドイツの姿が頭に浮かぶ。北朝鮮は非常に嫌がる。相手の嫌がることをやるのが必要なのだ」
あべ・しんぞう 1954年生まれ、50歳。成蹊大卒業後、神戸製鋼所に入社。同社退社後、父の安倍晋太郎外相秘書官を経て、93年に衆院議員に初当選。2000年、第2次森内閣で官房副長官に就任し、小泉内閣でも留任。03年9月に自民党幹事長、同年10月に党北朝鮮拉致問題対策本部長に就任し、04年9月から党幹事長代理、党改革推進本部長。当選4回。衆院山口4区。
◆メモ 自民党の北朝鮮拉致問題対策本部の決議
横田めぐみさんの「遺骨」とされた骨が偽物だったことを受けて、北朝鮮に対する約12・5万トンの食糧支援の即時凍結を政府に求めている。さらに、期限内に遺骨の鑑定結果、国際手配されている辛光洙(シン・ガンス)容疑者ら三人の拉致実行犯の引き渡しについて納得いく回答がない場合、政府は経済制裁の発動を決断すべきだとしている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20041215/mng_____kakushin000.shtml