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□★□ 天木直人 12月9日 メディア裏読み □
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◆ 米国は深刻な状況だ
◆ それでも北朝鮮への制裁はない
◆ 首相の権力欲
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◇◆ 米国は深刻な状況だ ◆◇
9日の毎日新聞において、日本の自衛隊派遣延長に関するカート・キャンベル元米国防
副次官補のコメントが掲載されていた。彼はクリントン政権下の1995年〜2000年に、日本
との安保関係を担当した中心人物の一人である。民主党政権下での対日責任者であった
という点を差し引いても、米国の専門家が、ブッシュ政権がイラク政策で苦しい状況にある
ことを認めているのだ。自衛隊派遣延長の決定を前にして小泉首相に聞かせたい発言で
ある。
「・・・率直に言って我々(米国)は深刻な状況にある。米国は勝利を目指すより他に選択
肢は殆どない。(米軍の)撤退や敗北は米国にとって破滅的な結果を招く。・・・こんな絶望
的な状況下では(日本の自衛隊の派遣延長は)米国の任務にとって意義深い励ましにな
る。・・・しかし南部サマワも含めてイラク全土が危険地域だ。・・・短期間で状況が改善する
とは思えない。・・・自衛隊が戦闘に巻き込まれる危険性は排除できない。・・・私であればこ
の状況で非戦闘的貢献はさせない。・・・仮に自衛隊がイラクから撤退しても(日米関係の)
深刻な打撃にはならない。各国が独自の政策を持っていることは理解されている。ブッシュ
政権に不安を呼び起こす事は間違いないが危機は招かないだろう・・・」
◇◆ それでも北朝鮮への制裁はない ◆◇
横田めぐみさんの遺骨とされる骨が、日本側の鑑定の結果別人のものであったことが確
認され、日本政府が8日に正式にこれを公表し、国内で北朝鮮に対する制裁論が高まって
いる。しかしメディアが制裁論一色で大騒ぎしているのはピンとはずれだ。ここまで問題をこ
じらせた原因は、小泉首相と外務官僚が、国民の目の届かないところで北朝鮮と裏取引し
た事にある。その責任を問うことなく、北朝鮮に怒りをぶつけるのは目くらましだ。北朝鮮を
増長させたのは日本側にある。だまされっぱなしの実務者協議を重ねてきた小泉首相の責
任を問う声が高まらないとウソだ。
今回の実務者協議で北朝鮮側から目新しい情報が何一つ得られなかったことは、外務
省も、そしてその外務省から報告を受けた小泉首相も、とっくに知っていたはずだ。問題は
渡された骨が偽者であったことを日本政府は知っていたのかどうかである。北朝鮮側として
もバレルとわかった上でニセの骨を渡したのかということである。私はそうではないと思う。
北朝鮮も日本側も残された拉致被害者は全員死亡であるということで幕引きを狙っていた
のではないか。すなわちあの骨は判別不明でこれ以上生存を確認できないと言う事で幕引
きを図るつもりではなかったのか。そしてその発表のタイミングを、6カ国協議の再開と北側
の譲歩による核問題の解決、というタイミングにあわせて行い、米朝合意の歓迎ムードの
中で、拉致問題解決の要求をかき消し、国民にあきらめさせようとしていたに違いない。
その意味で今回別人の骨と確認された事はハプニングではなかったのか。つまり北朝鮮
としては、まさかばれると思わずに渡したに違いない。しかし日本側の技術の高さによって
ウソと確認され、制裁を求める世論が加速したことに戸惑っているのではないか。日本政
府も同様に困惑しているのではないか。一旦出てしまった科学的調査結果を隠すことは出
来ない。そこで慌ててイラクへの自衛隊派遣延長や、新防衛計画の閣議決定のどさくさに
まぎれて悪いニュースをぶつけてきたのではないか。イラク派遣延長の閣議決定を10日
から9日に変更したのもそのためなのではないのか。
小泉首相は何があっても北朝鮮への制裁を行わないと思う。それをすればノーベル平和
賞目当てで始めた二年前の北朝鮮訪問が失敗に終わるからである。日朝共同宣言が破棄
されたとは口が裂けても言わないと思う。それは北朝鮮訪朝の成功のシンボルが無残な紙
切れ一枚に堕するからである。
もはや北朝鮮と小泉首相の最後の頼みは6カ国協議の再開と交渉の進展しかない。9
日付の東京新聞は、米国のデトラニ朝鮮半島和平担当特使が韓国を訪問し6カ国協議を
年内に開くよう努力することで一致したと報じている。そのデトラニ特使はその後9日(本
日)日本を訪れるという。めぐみさんの骨が偽者であると判明した事で事態は急展開するか
もしれないのだ。
◇◆ 首相の権力欲 ◆◇
よみうりウィークリー12月19日号に、ポスト三木首相の後継者を福田赳夫に一本化する
ための福田派と大平派の密約の写しが掲載された。二年後に、大平に総理・総裁の座を禅
譲するという前提で先に福田が総理になるという「大福密約」を、あっさり反故にして福田が
再選に出馬した。その結果選挙が行われ田中派の支持を得た大平が勝つ。その後結果大
平派と福田派の怨念の抗争が始まる。そのきっかけとなったこの密約の現物が公表された
のはこれが始めてである。福田、大平の両名の署名の横にそれぞれの派閥を代表して園
田直と鈴木善幸が立会人として署名している。その園田直の息子である園田博之衆議院
議員が所有していたものを同氏が敢えて公表した。それにしてもこの密約のコピーをしみじ
み読むにつけても、約束を破ってまで総理の地位にこだわる権力欲の凄さと醜悪さを感じ
ざるを得ない。
これとおなじような事がその昔鳩山一郎と吉田茂との間でもやはりあったということを、8
日付の産経新聞「吉田茂の遺産」という連載記事で知った。すなわち昭和21年4月の総選
挙で第一党となった自由党総裁の鳩山一郎は、組閣しようとした時突然GHQから公職追放
される。その時鳩山は外相の吉田を口説いて身代わりの首相にすえた。吉田なら政治への
執着がなさそうで、自分の追放が解除されれば、政権を返してくれるとの読みだった。事実
吉田は「回想十年」の中で総裁就任を要請された時、「政党というものに気が進まなかっ
た」、「長くやろうという気分はなかった」と書いている。当時の吉田の正直な気持ちであった
だろう。
しかし昭和23年10月に二度目の政権に就いた吉田はすっかり政治好きの権力者となっ
ていた。昭和26年8月ようやく追放解除となった鳩山は吉田に政権を返すように求めるが
吉田はこれを拒否する。
福田赳夫首相の下で政局を学んだ小泉首相の権力欲もすさまじい。大平との総裁選で
大平を支持した田中派に対する怨念を晴らした小泉首相は、ニューズウィーク12月15日
号のインタビューの中で06年9月の総裁任期まで二期5年半を務める決意を表明してい
る。すべてを中途半端にしてほったらかした小泉首相が、自らの権力欲のために後二年も
首相の座に居座られると、日本は本当に危険、強権的な国になる事を憂える。
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天木総合政策研究所 「メディア裏読み」事務局
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