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(12月8日付読売新聞朝刊)より転載:
米、中央情報局(CIA)で国際テロ組織アル・カーイダの担当部長を務め11月に退職したマイケル・ショワー氏(52)はこのほど読売新聞との会見に応じ、アル・カーイダの指導者ウサマ・ビンラーディンの戦略と米国の対テロ政策について語った。(ワシントン 寺田正臣)
イスラム圏の8−9割反発 対テロ「敵を知るべき」
――ビンラーディンの「反米」戦略をどう分析するか?
「ビンラーディンが米国の何に反対しているのかを見極めなければならない。クリントン前政権やブッシュ政権は、ビンラーディンをはじめとするイスラム過激派が反対しているのは自由主義や民主主義といった米国の価値観であると説明してきたが、これは誤りだ。彼らの中にはもちろん米国の価値観を憎悪しているものもいるが、反米の本質は米国の政策に対するものなのだ。米国という国のあり方ではなくイスラム圏で米国が何をしてきたかということが憎悪を招いているのだ」
――ビンラーディンから見た米国の悪政とは?
「彼が挙げるのは、イスラエル支持、(原油国を通じた)石油価格の操作、アラビア半島における米軍駐留、独裁色の強いアラブ諸政府への支持などだ。アル・カーイダの過激路線を支持する者はイスラム圏では少数派だが、ビンラーディンが繰り返し強調している米国の政策への『反発』については急進派、穏健派を問わず幅広い層のイスラム教徒に支持が広がっている。西側世論調査機関の調べではイスラム圏の八−九割の人々が米国の政策に反対している」
――テロとの闘いで米政権に求められるものは?
「米国の中東・イスラム圏に対する政策が反米の原因かも知れないと率直に語ろうとした(米国の)政治家はだれもいない。今、米政権は、『無法者の取り締まり』といった感覚でテロリストを殺したり拘束したりしている。敵を知るには敵の思考や戦略を知らねばならない」
――ビンラーディンの究極の目的は何か?
「米国の影響力を排除し、その結果として(中東)域内の独裁色の強い政権を打倒することだ。米国を排除できれば、米国の軍事力や財政支援に頼る域内の独裁国家は早晩倒れる――というのがビンラーディンの論理だ」
――アル・カーイダによる核兵器保有と米本土攻撃の可能性は?
「CIAは一九九六年に彼らが大量破壊兵器の調達を計画していることを知った。科学者やエンジニア、ビジネスマンを雇って兵器獲得を狙っていた。(実際に)大量破壊兵器を保有しているかどうかはわからない。わかるのは実際に使用した時だろう。彼らは抑止力としてそれを誇示する必要はないのだから。米本土攻撃はあり獲る。その際は必ず複数の攻撃を計画するはずだ。何年か先かも知れない。彼らは戦略的に動く」
――ビンラーディンの健康問題は?
「一時流れた腎臓病説はアル・カーイダによる情報操作というのがCIAの判断だ。重病を患っているという見方はとっていない」
◇
ショワー氏はCIAで二十年以上にわたってテロ問題にかかわった専門家で九六年から三年間、アル・カーイダ担当部長を務めた。今年夏、対テロ戦争における政治家の無策を告発した著書「IMPERIAL HUBRIS(帝国の傲慢)」を匿名で出版。現役のCIA分析官の暴露本として話題を呼んだ。邦訳が来年二月に出版される予定。