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天木直人・メディア裏読み(11月24日) 小泉改革の種明かし/ 核の脅威を考える
http://www.asyura2.com/0411/war63/msg/827.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 11 月 24 日 18:36:36:2nLReFHhGZ7P6
 

11月23日 ◎小泉改革の種明かし ◎核の脅威を考える 
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□★□ 天木直人11月23日 メディア裏読み □
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◎小泉改革の種明かし
◎核の脅威を考える


◇◆ 小泉改革の種明かし ◆◇

11月23日の日経新聞におもしろい記事を見つけた。「大機小機」という囲み記事になかで、「改革の芽が出た」と宣伝した小泉改革の成果には実は種明かしがあって、それは見せかけの景気回復であるから決して「大きな木」に育たないというのである。

つまり景気の循環には山があれば谷もある。その循環サイクルをうまく利用すれば改革によって景気が上向いたとごまかせるというのである。小泉政権が誕生したのが2001年4月。それは前年の10月に景気が山を越えてから7ヶ月目の時期であったという。戦後の景気循環を振り返ると、景気の山から谷までは平均17ヵ月、つまりどんな対策を講じても底を脱出するまではなお10ヶ月近くは必要な時であった。「改革なくして成長なし」を掲げる小泉首相はその10ヶ月間を敢えて放置し、法則どおり景気が底を打って循環的な回復に転じた頃を見計らって「改革の芽が出た」と自賛したのである。

しかし景気循環にまかせた経済回復は上がった後は下降する。回復期間の戦後の平均は33ヶ月であるという。2002年1月から始まった景気回復はこの11月で33ヶ月を超えることになる。竹中平蔵経済財政担当大臣はなお「上り坂の中での微調整」と言って強気の姿勢を崩さないが、本当の構造改革がなされないと山から谷へと下る景気変動を止める事は出来ない。

マジックの「種」が明かされるように、改革の成果だと喧伝してきた経済復活の「正体」が露呈されることになる。景気循環を利用した改革「劇」はこの辺で終わりにして一刻も早く本当の改革に手をつけないと、「大きな木」は育たない。もっともそれは次の政権に任せると言って退陣するのも悪くないのだが。


◇◆ 核の脅威を考える ◆◇
 
米国のような軍事力にまかせた単独主義の行き着く先は、人類が考えついた大量破壊兵器である核兵器の使用につながる。その現実性がかつてないほどたかまりつつあると私は考えている。その根拠は、私がレバノンにいた時、パレスチナの抵抗組織の一人が、「ここまで、イスラエル、米国に虐殺されて何も出来ないのが無念だ。もし核兵器があれば躊躇いなく使う」と怒りをあらわに語っていた事に衝撃を受けたからだ。

米ソの世界的規模における軍事競争の結果、人類を何度も破壊できる膨大な核兵器が双方に蓄積されることになった。その結果いわゆる「恐怖の均衡」という抑止力が働いた。
 ところが9・11事件をきっかけに米国は「テロとの戦い」という非対称性の戦争を宣言し、テロに対しては核兵器も辞さないと宣言した。他方において武力によって圧倒的に劣っている抵抗組織が、恨みのほかに失う物もない絶望的な状況に追い込まれている。彼らが核兵器を手にすれば躊躇いなく使うとしても不思議はない。この現実がいままでの「核抑止」を一気に崩してしまったと思う。

さらにイスラエルという核保有国がパレスチナ問題で更なる強硬政策を続けるならイランという宗教国家が核兵器を開発しようとしてもこれを止めさせる事はできない。米国の単独主義の脅威にさらされている独裁国家北朝鮮が、米国に対抗できる唯一の手段である核兵器の保有を何があってもあきらめないとしても不思議ではない。まさに米国の軍事的単独主義の行き着く先が、核使用の脅威のかつてない高まりである。

 核のさしせまった脅威を、唯一の被爆国である日本の国民はもっと真剣に考えるべきだ。論座12月号に引用されていたフォリンアフェアーズ11月・12月号の米外交問題評議会のレポート「核によるテロの脅威は実存するのか」は衝撃的である。

その中で、クリントン政権下で国防次官補の職にあって現在は核とテロを専門に研究しているハーバード大学教授のグレアム・アリソン教授は、「核テロの可能性はあるだろうがその可能性は少しばかり誇張されてはいないか」と述べるロバート・ガルーチ、ジョージタウン大学外交大学院院長(94年の米朝枠組み合意の構築者の一人)に対し、こう述べているのだ。

 「・・・そうだといいのだが、私の判断に誇張はない。(核問題を長い時間かけて研究していると)核によるテロが起きるのは必然だとさえ考えるようになった。なぜそのような事態が起きるかよりも、なぜ今のところ起きていないかのほうが不思議なほどだ・・・」

 おりしも巷には、「北朝鮮が核を発射する日」(イ・ヨンジュンKEDO事務局政策部長著、PHP社)、「日本、核武装の選択」(中川八洋筑波大教授著、徳間書店)といった著書が出ている。その内容をここで紹介する余裕はないが、要するに前者はあらゆる角度からみて北朝鮮の核開発をとめることは出来ないとし、後者はその北朝鮮の核の脅威に対しては米国の核戦略と一体となって日本も核武装する他はないと説くのである。

 米国の軍事力の独走は世界を限りなく危険なものにしつつある。そんな米国との軍事同盟関係を見直し、日本はいかなる国に対しても脅威を与えない平和国家を堅持すると宣言することこそ、真の安全保障が保たれると私は確信する。


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