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(回答先: 次期通常国会に自衛隊法改正案 ミサイル防衛迅速に (asahi.com) 投稿者 彗星 日時 2004 年 11 月 21 日 22:19:30)
ミサイル防衛:
閣議や安全保障会議省略 法改正へ
【ワシントン古本陽荘】訪米中の大野功統防衛庁長官は20日(日本時間21日)、ワシントン市内で同行記者団に対し、他国が日本を弾道ミサイルで攻撃した場合、閣議や安全保障会議を開かなくてもミサイル防衛(MD)システムの迎撃ミサイルを発射することを可能にする自衛隊法改正案を次期通常国会に提出する考えを明らかにした。日本に弾道ミサイルが着弾する前に対応するためには意思決定の迅速化が必要と判断したためだが、手続きの簡略化はシビリアンコントロール(文民統制)の観点から議論を呼びそうだ。
大野長官は「数分間で飛んでくるミサイルに対し、閣議や安保会議を開く時間はない。MDだけは特別のルールを作るべきだ」と述べ、自衛隊法にMDに関する防衛出動の例外規定を設けるべきだとの考えを示した。
大野長官は自衛隊法を改正した場合、MDに関する防衛出動の権限は「防衛庁ではなく、内閣にある」と語り、迎撃は首相の判断で行うとの認識を示した。現行自衛隊法では領空侵犯について防衛庁長官が判断して必要措置がとれると定めているが、MDの規定はない。
弾道ミサイルがどの段階で日本への攻撃と認定するかについて、大野長官は、方角や明確な意図の有無、国際情勢などを勘案して判断すると説明したが、「提出する法案は手続きの問題であって、認定の問題は別だ」と明言を避けた。
防衛出動について、武力攻撃事態法や現行自衛隊法などは(1)首相が安保会議に諮問(2)安保会議が決定(3)閣議決定(4)首相の出動命令−−との手続きを定めている。これまで防衛出動命令は出されていない。
◇ことば ミサイル防衛(MD)
弾道ミサイルをレーダーなどで探知・追尾し、軌道を予測して海上、陸上から迎撃ミサイルで撃ち落とすシステム。政府は昨年12月にMD導入を閣議決定。この際、「専守防衛の理念に合致する」との官房長官談話を発表。大気圏外を通過中に海上配備型ミサイル「SM3」で迎撃し、さらに地上配備型の地対空ミサイル「パトリオットPAC3」で撃ち落とす2段階システムが配備される。
◇解説
大野功統防衛庁長官が打ち出した弾道ミサイル発射時の政府の意思決定迅速化は、昨年12月にミサイル防衛(MD)導入が閣議決定された時点で既定路線だった。他国から数分で日本に着弾する可能性のあるミサイルに対し、安全保障会議を開いた上で閣議で対処方針を決定するなど現実的ではないからだ。
本質的な問題は、ミサイルが日本に向かって発射されたわずか数分の間に、「誰」が「いつ」、発射されたミサイルを迎撃する必要があるかを判断するのかという点だ。政府内でこれらの議論に結論が出たわけではないが、できる範囲で手続き面の整備をしようというのが今回の自衛隊法改正の目的だ。中国原潜による領海侵犯事件で政府の安全保障に関する意思決定の迅速化が問題になる中、来年1月召集の通常国会への提出を目指すのは危機管理面で前向きな姿勢をアピールしたいという側面もある。
誰が判断するかが重要なのは、文民統制(シビリアンコントロール)の問題が発生するからだ。弾道ミサイルに関する情報や分析は極めて専門的なものだ。現場の自衛隊の情報や判断を文民である首相や防衛庁長官がどのように取り入れるのか。時間の制約があるため、現場の意向をそのまま反映させれば、文民統制は機能していないことになる。
逆に、現場に詳細な説明を求め熟考していればミサイルは着弾してしまう。大野長官も「決断と責任をいかに(改正法案に)いかすか。文民統制が失われてはいけない」と語り、問題意識を示した。
また、政府はMDが日本の防衛のためであることを強調しているが、発射されたミサイルが日本を狙っていることが今の技術水準でどこまで確定できるのか判然としない。仮に日本と米国のどちらを狙ったかわからない状態でミサイルを迎撃すれば、憲法解釈で禁じている集団的自衛権の行使という事態になりかねない。法整備を急ぐ前に、こうした点の説明責任が必要となる。【ワシントン古本陽荘】
毎日新聞 2004年11月21日 20時34分
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/news/20041122k0000m010080000c.html