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バグダードバーニング by リバーベンド (2004年11月16日(日)) (和訳)
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投稿者 Kotetu 日時 2004 年 11 月 19 日 23:05:30:yWKbgBUfNLcrc
 

Baghdad Burning

バグダードバーニング by リバーベンド


... I'll meet you 'round the bend my friend, where hearts can heal and souls can mend...

友よ、私の心が失われあなたさえ見分けることができなくなったら、どうか私を偉大な文明をはぐくんだ、チグリス・ユーフラテスの胸元に連れて行って欲しい。そこで私は心を癒し、魂を再生させるでしょう。
 

2004年11月16日(日)

アメリカの誇り・・・

 吐き気がする――文字どおりの意味で。アルジャジーラが放送したビデオが頭を離れない。
 
 一面にイラク人の体が散らばったモスク――じっと動かないのは、お祈りや瞑想をしているのではない。死んでいるのだ――膨張しているように見えるものも・・・若者に寄りかかられた老人・・・そこら中に脚、足、手、血・・・濁った日の光が窓から射しこんでいる・・・音もない、動きもない恐ろしいところ。と、突然静けさが破られる。死体に銃口を向けた警戒の姿勢で、海兵隊員が入ってきた。モスクに粗野なアメリカ兵の声がこだまする。ころがったイラク人についてやりあっている。死んでる? 生きてる? 私は彼らが何をするだろうかと緊張して見守った。いかにも海兵隊員らしいおなじみの仕打ちをするものと思っていた。ごつい軍靴で、うめくかどうか蹴っとばしてみるんだろう。が、そんなことではすまなかった。突然、モスクに、銃音が響き渡った。海兵隊員が、死んでいるように見えた男性を撃ったのだ。続いて、「こんどこそ死んだぞ」と声がした。
 
 「こんどこそ死んだぞ」。 海兵隊員は、歌でも歌っているような口調で、こともなげに言い捨てた。私は心底ぞっとした。回りの隊員たちは気にもとめなかった。モスクをそ知らぬふうに歩き回って、死体の数々をひきずり回し始めていた。彼らにとって、何ほどのことでもないということが見て取れた。ごくありふれた出来事だったのだろう。
 
 目の前に繰り広げられた光景の恐ろしさに凍りついて身動きできなかった。イードの3日目だ。やっと家族の顔を揃えることができたところだった。いとこ、その妻と二人の娘、叔母二人、年老いた叔父も含めて。E(弟)といとこは、2日間も行列して燃料を手に入れ、そのおかげで年老いた叔父を、わびしく過ごしていたイードの最後の日に訪ねることができたのだ。ビデオが終わる頃には、部屋は静まり返っていた。アンカーの声と叔母のすすり泣く声だけが流れていた。いとこの小さな娘はすくみ上がって、スプーンを落とした。顔はショックで硬直し驚きで目を見張ってテレビに釘づけになっていた。「死んでしまったの? 殺したの?」 私は、喉につかえたかたまりのようなものを飲み下そうとしながら、懸命に涙をこらえた。いとこは、娘を見るにしのびなくて、両の手に顔を突っ伏していた。
 
 「なんと話すべきだっただろうか」 1時間後、二人の娘たちを台所の祖母の手伝いに行かせてから、いとこが聞いた。「何て言えばいいんだ? 『そうだよ、殺したんだ。アメリカ人たちは、負傷者を殺したんだよ。彼らは、この国を占領していて、人を殺してるんだ。で、私たちはここで食べて飲んでテレビを見てるってわけさ・・・』とでも?」 いとこは頭をふった。「この子たちは、いったいどれだけこんなことを見たらいいんだ? これ以上、何を見せつけられるんだ?」
 
 アメリカ兵は、負傷者を殺した。信じられない。まったく抵抗するすべのない人間を殺した。まるで疫病持ちの動物か何かのように。以前にもこれと同じことがあったという記事を読んだことがあるし、話にも聞いていた。負傷した一般市民が道路端に投げ捨てられたり、撃たれたりしていると。しかし、テレビで目の当たりにすることは、想像を絶していた。怒りで発狂しそうだ。
 さて、これからどうなる? 撃った海兵隊員一人だけが刑事捜査される? アブグレイブ刑務所の惨劇のときとまったく同じように? 数人が責任を負わせられ、真相は、軍お抱えの心理学者、軍事評論家、ペンタゴン当局、広報担当などばか者どものたわごとで葬られ、忘れられるのだろう。結局、記憶に残るとしたらせいぜい、一人の海兵隊員が、イラク人「暴徒」を一人銃撃して殺したということだけ。それで話は終わりだ。

 いつものアメリカのやり口だ。暴虐非道な行為は、すべてある一人の個人をやり玉にあげることによって、もみ消され隠蔽されけりをつけられる。人々の目から隠されているのは、軍全体がこのような精神病質者の巣だということだ。この一年というもの、数々の殺人犯、拷問犯、外国人嫌悪症患者たちが戦車に乗り銃を構えて走り回るのを見てきた。何が彼らを暴虐非道に駆り立てるのか、はどうでもいい。緊張か、恐怖か、「敵」だからか、理由はなんとでも。殺人なのだ。私たちは、人殺しに占領されているのだ。私たちはイラク人として、まったく同じプレッシャーにさらされている。私たちは、こういう状況に耐えるような訓練は受けてこなかったけれど。それだのに、ものわかりのよいお人好しであれと要求されているばかりか、感謝して当然とされている。私は、うちのめされ怯えながら、吐き気をこらえている。何というべきかわからない・・・やつらは人間ではないのだ。思いやってやる余地などまったくない。

 それなのに、なぜ、世界の人々は、この世に斬首事件しかないように騒ぎ立てるのか? どこがどう違うというのだ。もちろん違う。斬首を行っているのは、過激派で、刑務所で拷問したり負傷した捕虜を撃ち殺したり、つまりイラク人を虐殺しているのは、「アメリカの誇り」たちだ。本日はおめでとうございます。さぞ誇らしいことでしょう。

Mykeru.comで写真が見られる。

ちょっと失礼させて。吐きそう。

午後9時37分 リバー

(翻訳 池田真里)

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