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2004年 11月 29日
リアリズムとしての派遣打ち切り
明日発売の週刊SPA!でファルージャ特集が掲載されるが、今回の企画の取材での収穫の一つが、アジア経済研究所の酒井啓子さんにインタビューできたことだ。テレビ等でろくに現地のことを知らないくせに、いい加減なことを言っているヒトビトとは違い、イラクの専門家ある酒井さんの分析は鋭く、以前から是非とも意見を交換したいと思っていたのだ。
SPA!の記事もあわせて読んでもらいたいが、限られた誌面では、書ききれなかったこともある。酒井さんの指摘でなるほど、と思ったのは、ファルージャ攻撃がサマワ情勢に与える悪影響である。ファルージャの武装勢力を率いるとされるアブドゥラ・アルジャナビ師は元々はバグダッド南方約40キロにあるラティフィーヤ(5月末に橋田さんと小川さんが襲撃を受けた地域)の出身であり、この地域にもファルージャの武装勢力は勢力を拡大しているという。これが何を意味するか。ラティフィーヤからサマワはそれほど遠くない。ファルージャが潰されたことにより、ラティフィーヤが武装勢力の拠点になれば、情勢によってはサマワへの襲撃も増加するのかもしれない。
酒井さんも言っていたのだが、アルジャナビ師は元々は、米軍が主張するような「残忍で凶悪なテロリストの首領」という訳ではない。実際、私との会見でも(カオは怖いけど)非常に紳士的な物腰であった。しかし、今回のファルージャ攻撃で、アルジャナビ師らの怒りは頂点に達しているに違いない。しかも悪いことに、我らが小泉シュショーは、ファルージャ攻撃を支持してしまっている。さらに、来年3月からサマワを撤退するオランダ軍に換わり、イギリス軍が現地の「治安維持」を担うが、そのイギリス軍の精鋭部隊"ブラック・ウォッチ"は、今回のファルージャ攻撃に参加しており、これらに対する報復が行われるかもしれない。
ただでさえ、来年1月の選挙にむけ、イラク情勢は悪化していく一方だ。それだけでなく、選挙後、スンニ派とシーア派の亀裂が決定的なものとなり、内戦が勃発する恐れもある。自衛隊は逃げられるうちに、逃げといた方が得策だろう。イラク復興支援を約束した以上、退く訳にはいかないということを言うヒトビトもいるだろうが、実際のところ、現在サマワでの道路や学校修復等といった事業は外務省のコーディネートで行われており、自衛隊はアリバイ的に現場に顔を出すだけに過ぎない。給水活動もイラク人ドライバーに任せきりなのだから、まさに存在意義がない。その上、ただ駐留しているだけで、莫大な経費がかかる。そんな金があるなら、ファルージャ避難民への支援にまわした方がよほどいいだろう。
派遣打ち切りを強く主張している人々には、反戦運動の関係者やその支持者達が多いことは確かだが、派遣打ち切りはもはやイデオロギーの問題ではなく、現実の、今そこにある危機にどう対応するのか、という問題なのだ。
画像はサマワの警察官達と自衛隊員(どうでもいいけど、砂漠なのに迷彩服・・・)。撮影したのは、今年7月だが、現在ですら、この頃とは比較にならない程、危険度は増しているようだ。
P.S. 明日30日、「自衛隊はイラクから撤退を!派兵期限の延長を許さない11.30集会」に出演、ファルージャ攻撃や来年1月の選挙の行方、サマワ情勢への影響等をお話します。場所は東京都千代田区星陵会館ホール、時間は会場18:00、開演18:30、閉会20:00。