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11月10日 ◎リビアと南アの核放棄 ◎ファルージャ掃討作戦の報道にいらだたしさを覚える
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□★□ 天木直人 11月10日 メディア裏読み □
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◎リビアと南アの核放棄
◎ファルージャ掃討作戦の報道にいらだたしさを覚える
◇◆ リビアと南アの核放棄 ◆◇
10日付の朝日新聞国際面に「リビア核放棄の謎」というQ&Aの記事があった。リビアの核兵器廃棄については、03年12月、リビアが突如大量破壊兵器を開発していた事実を認め、即時かつ無条件の廃棄を受け入れたと発表して世界を驚かせた。リビアも米英も、話し合いによって核廃棄が実現できたことを喧伝し、北朝鮮もイランもこれに続けと発信した。ブッシュ政権に至っては「イラクを見て米国が怖くなったからだ」とイラク攻撃を正当化する始末だ。しかしリビアが豹変した真の背景はいまでもはっきりしない。
リビアの核廃棄との比較で、朝日新聞は南アの核廃棄の例を出している。すなわち南アは93年3月デクラーク大統領(当時)が、南アが原爆を秘密裏に完成させていた事を認め、それを既に廃棄したと公表した。そのデクラーク氏は、97年、朝日新聞の取材に対し、「(共産主義の)脅威がなくなり、核兵器は国の利益に反すると判断した。国際社会に復帰するには核は足手まといとなった」と説明したという。
しかし私が当時アフリカ課長当時、様々な情報源から聞いていた話は、黒人政権になることが必至の状況下において「奴ら(黒人)に核兵器を手渡すわけにはいかない。その前に廃棄しておけ」ということだ。立派な考えがあったわけではない。デクラークは最後までアパルトヘイトを悪いとは思わなかった男である。
国際政治には必ず裏がある。悪い奴はどこまでも悪い。リビアの核廃棄の裏にも似たような悪者の裏取引があると考えたほうがよい。
◇◆ ファルージャ掃討作戦の報道にいらだたしさを覚える ◆◇
米海兵隊のケント最上級曹長は、7日ファルージャ攻撃について、2,500人の隊員に向かって、「お前たちは、歴史をつくる現場にいる」と鼓舞したという(10日付朝日新聞)。さらにベトナム戦争の激戦地となった都市フエを挙げ、「(今回の作戦は)もう一つのフエだ。ベトナム戦争以来の大規模市街戦になる」との見方を示したという。
もはやサダムフセインはいない。大量破壊兵器の脅威もない。かつての共産主義のドミノ革命の脅威は勿論ない。それにもかかわらず、こんな一方的な戦争が許されてよいのか。明らかな戦争犯罪行為を、「成功してもらいたい」と平然と言う小泉首相が、なんらの責任も問われる事なく平然とこの国の首相としてとどまっていられるのは何故か。その理由のひとつが今日の日本のマスコミの批判精神のありかたであろう。
「総攻撃を深く憂慮する」という朝日新聞の10日付の社説でさえ「・・・確かに、民主的な選挙を通じて議会をつくり正当性をもった政府を発足させなければならない。・・・」などと枕詞をつけて政府批判に一定の抑制を利かせる。この生ぬるい姿勢こそ国民の批判精神を曇らせるものなのだ。
これほど国を破壊し、国民を分裂、疲弊させてどうして選挙が出来るのか。米国のイラク攻撃を弁護できる余地は一つもない。小泉首相の過去一年半のイラク攻撃に関する言動に正当性はこれっぽっちもない。何故メディアはもっとストレートに批判しないのか。テレビに出てくる解説者も、つねに評論家としての姿勢を崩そうとしない。かつて私はテレビ番組の収録で徹底的に小泉外交を批判した。そうしたらそれが放映される予定の日に番組が変更されて、以来いつまでたっても放映されなかった。ボツになったのだ。それ以降テレビ番組からお呼びがかからなくなった。日本のテレビはメディアを提供するより時間つぶしの娯楽番組になってしまっている。それが批判精神をなくするのだ。
私がもっとも不快に思うのは、毎日流される小泉首相と官邸記者とのインタビューである。あれは小泉首相の宣伝なのだ。今までの首相にはあのようなインタビューはなかった。記者は困らせるような質問や本質的な質問をしない。総理のおかしい答弁に反論しない。それどころか総理のふざけた答えに対し画面の後ろから記者のキャーキャーと笑う声がたびたび聞こえてくる。自分の子供のような年頃の不勉強な記者を相手に、これまた不勉強な小泉首相がふざけた答弁を繰り返す。これはもうバライテー番組だ。
人が殺されようと、この国の基本法が踏みにじられようと、経済が失政によって破綻し国民が苦しめられようと、まるでお構い無しの様なインタビューが毎日テレビから流される。国民がますます真実を見失ってしまうのも無理はない。しかしやはり一番悪いのは、それを許して腹も立てない、立たない国民だ。いずれ取り返しのつかない日が来ると思う。
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