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天木直人・メディア裏読み(11月12日)アラファトの死/拉致問題に関する小泉外交の責任を問う/米軍再編をめぐる外務省
http://www.asyura2.com/0411/war62/msg/1074.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 11 月 12 日 17:34:15:2nLReFHhGZ7P6
 

11月12日 ◎アラファトの死 ◎拉致問題に関する小泉外交の責任を問う ◎米軍再編をめぐる外務省見解
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□★□ 天木直人11月12日 メディア裏読み □
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◎アラファトの死
◎拉致問題に関する小泉外交の責任を問う
◎米軍再編をめぐる外務省見解


◇◆ アラファトの死 ◆◇
 
あまりにも大きな国際政治上の出来事であるので、一言触れておかざるを得ない。12日の各紙は大々的な特集記事を掲げ専門家のコメントを氾濫させている。いずれも大差はない。
すなわち@一つの時代が終わったAアラファトの評価についてはパレスチナ解放の英雄、象徴というプラスの評価と、晩年の腐敗、独裁者という負の評価が入り混じるB米国、イスラエルに相手にされなかったアラファトの死によって今後は平和交渉に弾みがつくのか、それともアラファト亡き後のパレスチナが過激派を押さえきれなくなって更に混沌とするのか見通す事ができないなどなどである。

 そのいずれも間違いではない。しかしどの新聞も、解説者も決して語らないことがある。それはここ三年のパレスチナ情勢の悪化が、イスラエルの国家的テロとも言うべき一方的な強硬策とそれを全面的に支持するブッシュ政権によってもたらされたものであること、話し合いを困難としてきた大きな責任がイスラエルと米国の聞く耳を持たないパレスチナ弾圧政策にあることである。これは私が勝手に決め付けている事ではない。私はレバノンにいて毎日のようにイスラエルの非道を目撃してきた。それに中東と歴史的に関係の深い欧州の有識者の多くは口をそろえて今日のイスラエルの横暴を指摘している。パレスチナ占領地に建設されている高さ8メートルのコンクリートの壁が国際法違反、人権法違反であることを国際司法裁判所は7月9日の勧告的意見で米国の判事を除いて満場一致で認めている。それを受けて国連総会は150対6でイスラエルに壁の撤去とパレスチナ自治区の不法占拠を止めるよう求めている。それを無視し続けているのがイスラエルという国でありそのイスラエルを擁護し続けるのが米国なのである。

それにしてもイスラエルという国の自己正当化と自己宣伝は見事と言うほかはない。あれだけのパレスチナを虐待し人権を無視しておきながら、その一方において新潟地震の被災者に他国に先駆けて義援金を差し伸べ、それをメディアを通じて如才なく宣伝する(12日毎日新聞―新潟県山古志村で今年8月イスラエル、パレスチナ双方の学生を招待した交流が行われていたところに地震が発生。被災地の人たちに親切にしてもらったことへのお返しとして)。

私がアラファトの死に際して思うことは国際政治の残酷さと歴史の非情さである。今中東は米国のファルージャ攻撃を誰も止められない現実に絶望している。そんな中でのアラファトの死である。狡猾なイスラエルは、いつでも暗殺できたはずのアラファトを幽閉と言う方法で時間をかけて衰弱させて殺した。それを米国は眺めていた。後はアフガンのカルザイやイラクのアラウィのようにパレスチナにアッバスという操り人形を擁してパレスチナを押さえ込み中東全体をイスラエルと米国の支配下に置こうとする目論見である。そして「力が正義」の国際政治の現実がそれを許すのか。

パレスチナの若者よ。願わくは自爆テロを即座に停止し、非暴力のインテファーダで世界の良心に訴えてくれ。「テロとの戦い」という口実を与えなければ、イスラエルも米国も今のような政策を取り続ける事はできないであろう。「法の支配」を守らない国は、たとえ米国であっても、イスラエルであっても、世界からつまはじきにされるということを知らせてやろうじゃないか。


◇◆ 拉致問題に関する小泉外交の責任を問う ◆◇

日朝実務者協議が始まっているにもかかわらずその内容が伝わってこない。それは他に大きなニュースがあるからではない。政府が隠しているのだ。国民監視の中で交渉をしていないのだ。交渉が行き詰まっている証拠だ。

私はそもそも三年前の小泉首相の突然の訪朝そのものが不純な動機から行われたものであり決して拉致家族の人権救済から行われたものでないと思っていた。初めから北朝鮮と闇取引をしようとしていたのだ。それが国民の知るところになって、それからというものは拉致問題が国民監視の中で行わなければならなくなった。交渉が動かなくなったのは当然の成り行きであった。今となっては落としどころを見つけようということだけである。もはや小泉首相は自分の手柄になりそうもないと思ってやる気さえなくしていると見える。

そんな中で宝島社から「日朝交渉『敗因』の研究」という冊子が刊行された。それを一気に読了して、やはりそうだったのか、私の考えは間違っていなかった、と思った。
国民の多くはおそらく何も知らずに過去三年間拉致問題を眺めてきたであろう。関心のある人は是非一読することをお勧めする。見事な取材力と文章力である。その骨子を紹介しよう。

1. そもそもが、政府は拉致家族を切り捨てて北朝鮮との国交正常化を急いだということだ。いわば小泉首相の名声や官僚の野心と、北朝鮮の経済援助ほしさが結びついた共謀なのである。
2. 拉致問題は最初から数名の解放で幕引きし、後は一気に国交正常化に進む目論見であったが、国民感情を読み間違えて大誤算となった。もはや動きが取れないのである。
3. その一方で経済援助を目当てにした利権あさりは水面下で進められている。いずれ落としどころをみつけるので今から準備しておこうということだ。その背後に秘書官や政治家が動いている
4. 小泉首相の関心も参議院選挙まで。これ以上点数が稼げないとなると一気に関心がなくなって官僚に丸投げだ。
5. それにしても日朝ピョンヤン宣言はとんでもない文書である。あの文書を注意深く読んだ国民は一人もいないであろう。あれは事前につくられた一方的に北朝鮮に有利に出来ている文書である。とてもじゃないが拉致問題を解決しようとするものではない。それどころか拉致問題をあいまいな形に片付けて国交正常化の後の経済協力について約束する文書となっている。
6.  日本は交渉を前進させたいあまりに北朝鮮の情報機関、つまり拉致犯罪の責任者と交渉してしまった。もはやまともな外交が出来るはずはない。

  いやはや、驚いた。ここまで酷いとはさすがに私も思わなかった。もしここまで引き伸ばされて万が一横田めぐみさんや有本恵子さんたちが亡くなっていたとすれば、家族はいたずらに精神的苦痛を与えられたようなものではないか。そんなことが許されていいのか。そのことだけで十分に、小泉首相を相手取って司法に訴えることが出来ると思う。


 ◇◆ 米軍再編をめぐる外務省見解 ◆◇

 ついに出た!追い込まれた末に外務省が超法規的な解釈をあみだしたのだ。12日付の朝日新聞がこれをスクープした。

10日から米国で局長代理レベルの審議官協議が日米間で行われる。これに間に合わせるように急いで新見解をでっち上げたのだ。それによると、問題になっている米陸軍の司令部の日本への受け入れについては、安保条約を改定することは「政治的コスト」が高すぎるのでこれには手をつけない。しかし「日本と極東の安全に役に立てば」米軍司令官の受け入れも現行の極東条項の解釈で読めるというのである。なんという安易かつ強引な極東条項の拡大解釈である。

 従来から、外務省の条約局は外交政策の全てにわたって最終的な決定権限を握ってきた。その根源は安保条約の運用、解釈を一手に握ってきたからである。条約局長経験者はまた最高裁判所の判事に天下る慣例にもなっている。その条約局の連中がこの程度の浅智恵で、国家の安全保障政策を恣意的に左右するのである。「法の支配」の重みをあまりにも軽視しているではないか。朝日新聞の内部文書のスクープをきっかけに、この際国内の法学者の英知を集めて、米軍再編をめぐる条約論争を徹底的にやってもらいたい。そうすることによって国民監視の下、米軍再編の受け入れの是非を論じてもらいたい。


http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm

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