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10月23日付・読売社説(1)
[極東条項]「“神学論争”の愚を繰り返すな」
確固とした二十一世紀の安全保障政策の構築という課題を前に、“閣内不一致”を露呈しているのはどうしたことか。
米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間移転と日米安全保障条約第六条の、いわゆる「極東条項」をめぐって、細田官房長官と大野防衛長官の発言が食い違い、統一見解を出した問題である。
大野防衛長官が、二十日の参院予算委員会で、「極東」外での在日米軍の活動に触れながら司令部移転を容認した。この発言から、司令部移転の受け入れに伴って、極東条項の変更もあり得る、という見方もされた。
政府は慌てて、統一見解をまとめた。在日米軍再編が安保条約や日米の関連取り決めの枠内で行われるのは当然とし、「極東条項の見直しは考えていない」とするものだ。
日本の安保戦略にかかわる在日米軍再編問題の協議が、これから本格化するという時、政府一体で取り組む体制をしっかりと作る必要がある。
避けるべきは、条文などの解釈をめぐる“神学論争”に陥ることだ。
極東条項が問題にされるのは、米軍が朝鮮半島から中東までの「不安定の弧」における活動に対する司令部機能を日本に置こうとしているからだろう。
司令部が中東や南アジアでの米軍の活動を指揮統制することは、「極東」の範囲を超えるため、日本への司令部の移転は許されない、という主張がある。
逆に、だから極東条項の見直しが必要だ、という指摘もある。
こうした観点から、今後、野党が、神学論争を仕掛ける可能性がある。政府統一見解で当面は落ち着いても、司令部移転問題が進展すれば、極東条項論議が再燃するだろう。
だが、在日米軍は、湾岸戦争やアフガニスタン戦争、イラク戦争など、極東外でも活動してきた。同盟関係に立った国際平和協力活動として、日本もインド洋への自衛隊艦船の派遣や、陸上自衛隊のイラク派遣を行っている。
「不安定の弧」は、テロや大量破壊兵器の拡散などの脅威の温床だ。在日米軍の基地機能強化の目的は、その脅威の抑止にある。脅威が現実になれば日本を含め、アジア・太平洋地域の不安定につながる。弧に沿った、中東から日本に至る海上輸送ルートは、原油の九割近くを中東に依存する日本経済の生命線だ。
だからこそ、神学論争ではなく、現実的な論議が必要になる。日本や国際社会の平和と安定という、最も重要な問題を二の次にしてはならない。
(2004/10/23/01:43 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041022ig90.htm