現在地 HOME > 掲示板 > 戦争61 > 768.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
10月20日付・読売社説(2)
[北朝鮮人権法]「拉致解決へ米国からの追い風」
米国で、北朝鮮の人権と自由の促進を目的とした「北朝鮮人権法」が成立した。
米議会が満場一致で可決した法案に、ブッシュ大統領が署名し、発効した。北朝鮮の人権抑圧の現状を看過しない、とする米国の姿勢は、人権状況の改善を金正日政権に強く促す、新たなメッセージだ。拉致問題解決の後押しにもつながろう。
人権法は、拉致問題の解決に向けての実質的進展を、米国が人道支援以外の経済援助をする場合の条件の一つと規定している。拉致された日本人と韓国人の被害者について、安否などすべての情報を開示し、自由に帰国させることを北朝鮮に求める内容だ。
拉致は、国家主権と基本的人権を侵す国家犯罪だ。日朝二国間にとどまらず、国際社会全体の問題だ。日本の主張の正当性を、米国が認めたと言ってよい。北朝鮮は真摯(しんし)に受け止めるべきである。
来月、平壌で北朝鮮と三回目の実務協議に臨む日本としても、横田めぐみさんら安否不明の十人の再調査を進展させるよう、改めて強く迫るべきだ。核とミサイル、拉致問題の解決なしには、北朝鮮と国際社会の関係改善は進まない。
人権法は、基本的人権の尊重と人権保護、難民問題の解決、人道支援の透明性向上などを目的としたものだ。
北朝鮮は激しく反発している。外務省報道官は「社会主義制度の崩壊を狙う米国の真意を公然とさらけだした、対朝鮮敵対宣言だ」と、人権法を非難した。核廃棄を目指す六か国協議を引き延ばす構えを見せている。
お門違いの言い分だ。食糧や自由を求めて多数の人々が脱出する現状を見るだけでも、北朝鮮で基本的人権が無視されているのは明らかだ。
人権法は、人権問題担当の米大統領特使を置き、北朝鮮との対話や国連・関係諸国との協議を進める、としている。北朝鮮の国外で、脱北者の保護や支援活動にあたる団体、個人に対し、年間2000万ドル(約22億円)の資金援助をする、としている。
韓国では与党ウリ党の中から「北を刺激する」として、反発の声があがっている。だが、北朝鮮の独裁・人権抑圧体制を見ない振りをするのは誤りだ。人権で口をつぐめば六か国協議が進展する、などと甘い幻想を持ってはならない。
脱北者が亡命を求めて各国公館に駆け込む事件はすでに日常化した。国際社会として取り組まざるを得ない状況だ。中国や韓国も、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と緊密に協議しながら、対処していくべきだ。
(2004/10/20/01:44 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041019ig91.htm