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10月15日 ◇◆ 世界はガザから目を離してはいけない ◆◇補助金まで出して全頭検査を継続するとは ◆◇イラク復興支援国会議は意味があったのか ◆◇政府は沖縄を利用するな ◆◇
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□★□ 天木直人10月15日 メディア裏読み □
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◇◆ 世界はガザから目を離してはいけない ◆◇
10月15日の新聞記事の中で、どの記事よりも圧倒的に心を奪われたのは、イスラ
エルの指揮官が動かなくなったパレスチナの少女に20発の弾丸を撃ち込んだという
東京新聞の記事である。記事の概要はこうである。
・・・パレスチナ自治区ガザ南部のラファで10月5日朝、通学中の少女イマン・アル
ハムスさん(13歳)がイスラエル軍の発砲で死亡する事件があった。立ち入り禁止と
なっている軍の監視所に少女が接近したためイスラエル兵が発砲したという。その後
倒れて動かなくなった少女に対し、指揮官(大尉)が至近距離から頭部などに二発発
射し、更に連射を続けた。パレスチナ側の医療関係者の情報では、少女の死体の頭
と胸に計20発の銃弾による傷があったという。この事件は内部告発で明らかになっ
た・・・
この記事を読んで平静のままでいられる人が何人いるであろうか。ガザでは連日イ
スラエル軍による暴力が続いている。子供を含む民間人が毎日不条理に殺されてい
る。国連による「イスラエルに対する武力停止要求決議」も、米国の拒否権発動で葬
り去られ、国際社会はなんら有効な手を差し伸べないまま殺戮が続けられている。人
類の良心は、この国際政治の不正義に、なんら手を打てないのか。
イスラエル人よ、ナチによるホロコーストの被害ばかりを訴えるな。自らの手で繰り
返している同じホロコーストの過ちを恥じるべきである。米国の指導者たちよ、偽善を
繰り返す事は止め人の命の尊さというものを真剣に考えてみたらどうか。パレスチナ
人の悲しみと苦痛と憎悪を放置したままで米国の平安が保たれる筈はないのだか
ら。
◇◆ 補助金まで出して全頭検査を継続するとは ◆◇
本当に馬鹿げた事が繰り広げられているものだ。大統領選挙を控えたブッシュ大
統領の圧力にあっさり政治決着してしまった小泉首相と外務官僚は、農水省に尻拭
いをさせている。
消費者の不安に対応せざるを得ない酪農業者と自治体の多くは、独自で全頭検査
を継続する意向であるという。そして政府は全頭検査にかかる費用を向こう三年間全
額補助するという。なんと馬鹿げた措置であろう。米国から輸入する牛肉に対しては
全頭検査の必要性を認めず、国内牛肉には全頭検査を補助金まで出して支援する
二重基準が許されていいのか。
何故こんなことになってしまったのか。それは全頭検査の必要性、有用性につき農
水省が確信を持てないからである。もしこの検査が安全性の面からみて必要、不可
欠であるのなら、いくら米国が政治的圧力をかけてきても認めるわけにはいかないで
あろう。しかし生後20ヶ月以下の牛肉の場合は検査をしても汚染を確認する事が難
しいといういい加減さである。そのいい加減さを逆手にとって、「20ヶ月以下の牛を検
査対象から外しても人間の感染のリスクは増えない」と結論づけようとしている。そう
することによって、米国からの輸入肉は殆どが20ヶ月以下なので、事実上殆どの米
国からの牛肉を解禁するのである。
しかし消費者からみれば全頭検査制度を一旦導入した以上、それを止めると不安
になるのも無理もない。そんな消費者をつなぎとめる為にも業者としては「国の補助
金が出るのであれば、全頭検査を続けたい」と考えるのも理解できる。政府が米国の
圧力に負けて急遽米国産の牛肉を全頭検査なしで入れることを決定した事による混
乱であるから、政府が検査費を見ざるを得なくなったと言うわけである。つまり米国の
圧力の為に生じた余分な経費を国が見ると言う事なのである。
そんな勝手な都合で税金を使う権限が農水省のどこにあるのだろう。これ自体が
馬鹿げた話であるのだが、いずれ日本市場に検査をしないで輸入した米国牛と検査
した国内牛が出回る事になる。補助金のおかげで値段が割高にならなければ、米国
産の牛肉に不安を抱く消費者は国内産の牛肉を買う傾向が高まるかもしれない。そう
なった場合、「非関税障壁である」と米国側から文句が出るかもしれない。
いずれにしても米国の無理な要求を小泉首相がブッシュ大統領に9月21日の首
脳会談であっさり政治決着してしまった為に、不必要な税金と混乱が生じるのである。
そんな権限が小泉首相にあるのか。官僚にその無茶を諌める勇気はないのか。
◇◆ イラク復興支援国会議は意味があったのか ◆◇
鳴り物入りで開催したイラク復興支援国会議の報道がさっぱり目立たない。日本で
開催するからには大いに宣伝するのがこれまでの常である。おかしいと思っていたら、
出席した外国の特派員の記者の一人が「無意味な会議だ」とあざ笑うように私にその
不毛振りを報告してくれた。
15日付の各紙を見てあらためてその感を強くした。そもそも昨年10月にスペイン
で開かれた支援国会議で表明された330億ドルのうち今日までに実際に払い込まれ
たのは10億ドルに過ぎないという。しかも実際の事業・計画に使われたのはわずか2
千2百万ドルにとどまっているという。それはそうであろう、イラクはずっと戦争状態に
あり復興工事など出来る状況にはないのだ。
今回あらたにイランが11億円の拠出を表明した他は日本が来年1月のイラク国民
議会選挙に向けて44億円を、EUが20億円を拠出すると表明しただけである。イラク
の債務帳消しをめぐっては依然各国の立場が離れたままだ。拠出を期待されたフラ
ンス、ドイツは復興援助の拠出は依然として行わず選挙監視要員の派遣を表明する
にとどまった。米国はすでに表明した復興援助の一部を選挙に向けた治安改善の為
の警察費などに振り替ると言っている。日本の追加援助も米国の片棒を担がされて
いる経費と見れば分かりやすい。
イラクのハフィド計画相は会議終了後の記者会見で「これまでは必ずしも期待通り
ではなかった」と不満をにじませたというが、平和がくれば国際社会はこぞって復興援
助を加速化するであろう。ハフィド計画相は米国の占領停止を訴えるべきなのだ。会
議でもアラブの参加国からは米国の掃討作戦に対する反発の声が上がったと言う。
笑ってしまったのは外務省幹部のコメントである。「イラク支援は日米二国間だけが
クローズアップされがちだったが国際社会と連携を深めながら支援に動いていること
をアピールできた」「国連安保理の常任理事国入りを目指すうえでも大きな意味があ
る」(15日付産経)。
政府の太鼓もち連中も追従している。「イラク閣僚たちの自信に満ちた発言や説明
を聞く限り、一定の信頼感獲得に成功したのではないか、日本がイラク安定化のため
に非軍事面で率先して汗をかいていることを示せたという点で、今回の会合の意味は
大きい」(畑中美樹国際開発センターエネルギー・環境室長)、「今回の会合は、イラ
ク暫定政府が初めて策定した「復興戦略」で、自ら復興に責任を負う意思を示した点
が特徴。」(大野元裕中東調査会上席研究員)。
嘘も休み休みに言ってくれと言いたくなる今回のイラク支援復興会議である。
◇◆ 政府は沖縄を利用するな ◆◇
15日付の朝日新聞の「私の視点」に琉球大学の比屋根照夫教授の標題の寄稿が
掲載されていた。胸に迫るものがあったので要旨を引用させていただく。
「・・・『沖縄にある米軍基地の本土移転を推進する』との考えを小泉首相が表明し
た。稲嶺知事はすぐさま歓迎の意を示したが、沖縄県民はこの発言に距離を置き、冷
めたまなざしで見つめているように思える。・・・政府が真剣にコンセンサスを得ようと
している気配は見られない。小泉首相の言葉はアドバルーンのようで、沖縄の痛みに
寄り添おうとする心情は感じられない。・・・思えば沖縄は何度も期待を裏切られてき
た。96年に普天間飛行場全面返還で日米が合意した時も、ふたを開けてみれば、同
じ沖縄県内の名護市辺野古に新しい代替軍事基地を造るという県民無視の計画が
生まれただけに終わった。・・・(米軍ヘリ墜落)事故の際の政府の対応がまさに、沖縄
が復帰前から置かれてきた立場を象徴していた。
首相が夏休みを理由に知事との面会を断った事はおこう。米軍が県警に現場検証
を認めず、『主権侵害だ』という声が上がった。それに対し政府は『日米地位協定の運
用改善』というお題目を繰り返し唱えた。『今すぐ基地撤去を』という沖縄県民の叫び
は無視され、基地の存在を前提とした取り決めが最大の問題であるかのように論点
のすり替えが行われた。事故を利用し辺野古の代替基地建設を早めようとすらし
た。・・・今回の墜落現場を目にした私の脳裏に浮かんだのは、59年6月に石川市内
の宮森小学校に米軍機が墜落し、児童ら17人が死亡した事件だ。当時、学生だった
私は仲間と現場に行き、大学新聞にルポを掲載した。・・・抗議行動さえ出来ない復
帰前の閉塞状況を痛烈に認識した言葉を記した。アレから45年。何が変わったと言
うのか。
十数万人の死者を出した沖縄戦から現在まで続く長い墓標の列。沖縄に本当の意
味での『戦後』はない。今のアフガニスタンやイラク戦争に連動する軍事基地の下で
『戦中』なのだ。
沖縄の経験からは、負担を本土に横滑りさせて問題を解決する、という考えは出て
こない。米軍が世界的な再編を計画している今、本当に沖縄の負担を減らそうとする
ならば、東アジアにおける安全保障システムを根本から見直し、日米同盟のあり方自
体を国民的議論の俎上に載せることこそなすべきことであろう。
だが今回の小泉発言からは、在日米軍の機能拡大という米側の要求を受け入れる
為に、沖縄の負担減を持ち出して批判をかわそうとする狙いしか、感じられない。その
証拠に、県民が最も求めている普天間飛行場の即時返還には、全く触れようとしな
い。
『願わくば、沖縄青年の心から、自己生存のために金力や権力の前にたやすく膝を
屈して、全民族を犠牲に供して顧みないような奴隷根性を取り去りたい』
90年前、自らを律するよう若者たちを諭し希望を託した(沖縄の思想家、伊波普猷
の)言葉だ。
この教えに従い、外部の「金力や権力」に屈して自らの痛みを本土へ移転しさえす
ればいいと考えるのはやめたい。」
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm