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(回答先: 語るに落ちる引用。どれも一方の当事者の発言の妄信と、争点ずらしをしているだけ。 投稿者 南青山 日時 2005 年 1 月 25 日 09:03:06)
ちと長くなりますが、コッカイでの質疑はなかなか意味深ですので、社民党二名(当時)の質問に海老沢会長、松尾局長(当時)が答えているところがあります。
TORAは朝日を「哄笑」するためにこの質疑を引用したのでしょうが、今行われている議論はこのときの蒸し返しであることがわかります。それに告発者(長井氏)まで出てきて朝日が騒いでいるわけだから、当時(2001年3月16日)のコッカイ質疑は現に今NHK問題を見ようとするときには大いに参考になります。TORAはどう思ったか知らないけれど、私たちには、そのころの議論が手にとるようにわかるようになり、現在を理解でみます。
ありがとう、TORA、いつものことだけど。時間かけて読みました。
それによると番組は4本あって、3本は44分もの、肝心の、議論されている1本(題2回目)も当初44分、それがなぜか直前に40分になったというわけです。
肝心のやりとりの部分を下に生のデータとして貼りなおして、抜粋引用(貴重な自分の仕事をさぼらせてくれるのだから、TORAって、憎いお方)します。そのあと再考ってことにします。
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衆議院総務委員会3/16
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009415120010316008.htm?OpenDocument
より:
(前・中略)
○大出委員 民主党の大出彰でございます。
本日は、参考人の皆様、御苦労さまでございます。きょうはNHKの方々だけに質問をする予定でございます。
きょうの質問の内容は、NHKが「ETV2001」、シリーズ「戦争をどう裁くか」という放送をいたしまして、四回の放送を行ったわけです。その放送がなされた前後に、放送の前にはいろいろな意味で抗議があったりとか、放送が終わってからも取材協力関係者から抗議を受けたというような報道がなされておりまして、私は、事件といいますか、問題について、NHKの報道の自由が、あるいは企画担当者の表現の自由、NHKの編集権の独立というのが侵害をされたのではないかという観点と、もう一つは、こういう問題が起こりますと、チリングエフェクトと言いまして、萎縮効果、縮こまる効果、国民の中に議論があるような報道をすると、いろいろうるさいとか面倒くさい、そういうことがあるから、そういう企画はやめてしまおうというような効果が生じたりすると、企画に影響が出てしまうものですから、そういうことがないようにということも込めまして、受信者の皆さんのかわりにちょっと検証をさせていただきたいということで、質問をさせていただきます。
問題が一個ですので、時系列で少ししゃべらせていただきます。
問題となった放送が行われたのは一月二十九日から二月一日なんです。その前後でいろいろ問題がありまして、報道されておるのですが、教養番組部長あてに放送するなという団体からの抗議のファクスが送られたというのが、一月二十日にございます。その際に、プロデューサーの責任者に対して、自宅にも抗議や脅迫の電話がかかっていたという報道がございます。それから一月二十七日になると、その放送に反対の団体がNHKに抗議に来た、こういうふうになっております。
そして、いよいよ一月二十九日に第一回の報道が行われまして、その題名が「人道に対する罪」、放送時間四十四分。一月三十日火曜日でございますが、第二回目「問われる戦時性暴力」というタイトルで、これが四十分だったのだそうです。一月三十一日、第三回「いまも続く戦時性暴力」、これも四十四分。それから二月一日、第四回「和解は可能か」という題名の放送、これも四十四分。
それで一応放送が終わりまして、放送した後に、今度は二月六日になりまして、取材協力をしたところの団体からNHKに公開質問状の提出があった。NHKは、二月十四日が期限でしたので、第一回の回答をしているはずなのです。さらに今度は、二月十六日になりますと、出演者、取材協力者の方から申し入れ書というのが、抗議なんでしょうね、申し入れ書が送付された。実はこういう問題なんです。
NHKというのは、私も昨年、質問をさせていただきましたが、受信者が受信料を支払って支えておるわけです。その目的というのは、NHKの放送が国や財界あるいは政治勢力から干渉されて独立性がないとすると、報道の自由や表現の自由が侵害されて、ひいては受信者の利益も害されてしまう、それを防ごうということなわけです。
そうだとしますと、一部の政治勢力に屈したり、あるいはそれに配慮する形で自主規制したりするというようなことがあってはならないと思うわけですが、まずこの点にお答えをいただきたいと思います。
○海老沢参考人 この「ETV2001」の番組につきまして、いろいろな意見が寄せられております。しかし私どもは、放送に出たものがすべてであるという立場をとっております。つまり、その制作の過程、プロセスにはいろいろな編集権の問題があります。そういう面で、私どもは一日百数十本の番組をつくり、何百本の番組を放送しております。そういう中で、視聴者に提供したものが我々の責任を持って対応する問題だろうと思っております。
出た番組について、いろいろな意見が出てくるのは当然であります。その意見については我々は真摯に受けとめて、その中でいろいろ対応していかなければならぬと思っております。今度の問題につきましても、そういう立場をとっております。
これは新聞でも雑誌でも、いわゆるジャーナリズムの世界ではすべて、出たものが責任を問うものであって、我々が原稿を書き、また番組をつくった場合にはいろいろな、デスクから、責任者からそれを直される、あるいはどうしてもこれは、情報が不足しているものは補足すべきだ、そして、だめなものは没になる、いろいろな編集のプロセスはどこの世界でも私はあると思います。そういう中で、この番組についても制作意図なり、公平性が保たれない、あるいはまたこういう意見も入れなければいけないのではないかと、いろいろな意見が出たと私は聞いております。編集に当たった責任者が、そういう中で公平を期して番組を放送したということであります。
そういう面ではそれが我々はすべてであって、そういうプロセスについてああだこうだと言っては言葉が過ぎますが、いろいろな過程について、いろいろな問いがありますけれども、それについては我々はコメントする立場ではないということで、今進んでいるということであります。
いずれにしても、私ども公共放送でありますので、できるだけ公平を期し、我々の自主性、自律性を守りながら質のいいものを出していく、その精神にはいささかも変わりありませんし、今後とも、公平公正、不偏不党の立場に立った番組づくりに努力するというのは当然であります。その方向でやっていきたいと思っております。
○大出委員 ありがとうございます。
その関連でまたお聞きをしたいのですが、ただいま、報道の自由あるいは編集権が侵害されていないのだという認識だったと思います。そこで一つお聞きいたしますが、報道によりますと、番組制作局長が大物議員に呼び出されたという報道が実は出ているんですね。こういう事実があったかどうかお答えください。
○松尾参考人 番制局長がこの件で呼び出されたという事実はございません。
○大出委員 もう一つは、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、制作関係者に抗議や脅迫の電話が殺到したというんですね。抗議はいろいろな抗議があるでしょうけれども、脅迫の電話というのは穏当でございませんので、そういう場合だったらしかるべき手段をとらなければいけませんね、表現の自由の国ですから。そういう意味で、そういう事実があったのかどうか、お答えください。
○松尾参考人 放送前と放送後との、中での違いはあります。
放送前というのは、言ってみると、さまざまな意見がやや高圧的に出てくるということはいつもあります。これは紅白歌合戦でも同じです。ある歌手についてとめようと思ったら、そういう形で出てまいります。したがって、これは視聴者センターがきちっと対応して、現場にプレッシャーがかからない形というので私どもは対応しております。
番組が終わった後、これは絶えず私ども、番組のつくり方、表現の仕方、内容等について反省すべきは反省して次のステップに向けていくわけですから、これについては約五百本近い、さまざまな形での、再放送してくれということも含めて御要望は聞いており、それはいろいろな意味で分析しながら、担当者は勉強しているということでございます。
○大出委員 それではもう一つ、放送時間を短縮したと、実は批判の中で言われたりもしております。放送時間短縮というのは、問題になっているのは二回目の、一月三十日の「問われる戦時性暴力」のところなんですが、四十分になっております。いろいろな報道の中で、最初は四十三分版をつくらされて、さらに上層部の指示で四十分になったのだというようなことが書いてあるんですね。そういう問題があるのだということが言われております。
あとはタイトルの変更もあった。最初は「日本軍による戦時性暴力」から「問われる戦時性暴力」に変わったのじゃないかというようなこととか、あるいは、取材者が加害兵士に取材をしたらしいのですが、使われていないという事実について、多分横やりが入ったのではないかと思いますが、編集権の独立という観点から、どのようなお考えでしょうか。
○松尾参考人 まず放送時間の問題でございます。
これは一つの時間帯の目標、例えば四十四分、これは決めてございます。ですが、いろいろな事情で、内容がそれだけのものを持っていないとか場合によっては延びてしまうというのは、日常茶飯で起こっております。そのときには、例えば一分の広報番組をやめたり、視聴者の方はほとんど気づいてはおられないと思いますけれども、さまざまなそういう手だてをとっていくのが編成でございます。
したがって、今回、現場からは短いという情報を得たので、編成は、それでいいですよ、それでは、違う広報番組をそこにちょうど入れるのがあるから、どうぞその範囲で結構ですという返事をしたということが事実でございます。
それから、タイトルでありますが、これにつきましても、私ども、毎日朝、編集会議をしておりまして、一週間のタイトル、それからその翌日のタイトル、当日のタイトルということで、各局長が全員集まって、さまざまな角度から意見を出しています。それで、その都度、やはりこれは内容をよく伝えていないな等々のことがあれば、絶えず放送ぎりぎりまで変えることは多々あります。
したがって、この番組だけが突然変えたということでは決してありませんので、他の番組も、わかりやすい、それから内容を誤解されない、そういうことも含めての一番いいタイトルへ絶えず持っていっているというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
以上です。
○大出委員 だんだん時間がなくなってしまいました。
この関連の中で、いわゆる放送総局長がこういうのは編集しなきゃいけないと言って指示をしたのではないかというような報道が出ておりまして、その放送総局長が取材に応じて、私ではない、こう答えているんですね。ところが、ほかの報道では、こんな番組をつくっていたとは知らなかった、しかも大事な予算の時期にと会長が発言したと実はあるんですが、このような事実があるのか、あるいはこのような指示を出したことがあるのかという点について、会長、お答えいただけますか。
○海老沢参考人 そのような事実はありません。
○大出委員 実は、私も周りから考えていくよりも仕方がないわけで、今みたいに答えられますと。見たわけではございませんしね。
実は、ある本で会長がこういうことをおっしゃっているんですね。会長は早起きなようでございまして、四時に起きて、それで本当ならば六時ぐらいに出社したいらしいんですが、秘書に迷惑がかかるからもっと遅く行っているというようなことが書いてありまして、その後にこういうのがあるんですね。私は、会議の中で、疑問があればすぐ聞きますし、気になることがあると、内線電話で担当者を呼んで、徹底的に話をします、これは「NHKの知力」という本でございまして、片山修さん著と書いてありまして、小学館文庫、ページ三百四十二、会長の題は、「デジタル時代の公共放送を目指して」という中にあるんです。
これは会長の御性格だと思うので、今回の問題が起こったときに当然のことながら何らかの指示をお出しになったのではないか、そして、当然NHK本体に編集権があるわけでございまして、そのトップでございますから、そういうことがあったのではないかと推測をしたんですが、もう一度お答えいただけますか。
○海老沢参考人 私どもNHKには小休止はありません。二十四時間、放送でぶっ通し業務を展開しております。そういう中で、いろいろな問題が出てくるのはもう当然であります。私がすべてそれに応ずるわけにいきませんし、いろいろな電話もかかってきております。やはり大事なものについてはいろいろやりますけれども、この「ETV2001」の問題については、私のところにそういう情報は上がってきておりませんでした。
○大出委員 会長は御指示をしていないということだと思います。
それでは、放送が終わりまして、いわゆる取材関係者その他の方々から、出演者も含めて、抗議があったわけなんですが、それは、その人たちの考えをそのまま伝えていないことから生じたのではないかと思うんですが、その辺は会長、どのようにお考えでしょうか。
○海老沢参考人 先ほども申しましたように、私どもは出た番組がすべてであって、それについてのいろいろな意見については、これを我々は真摯に受けとめにゃならぬと思います。
そういういろいろなプロセスは当然あると思いますが、それについて、編集権にかかわる問題でもありますし、また、それぞれの業務はそれぞれの現場で責任を持ってやっているわけであります、最終責任は私にありますけれども。いずれにしても、いろいろな問題があれば、我々としては、そういう問題をきちっとクリアしながら、とにかく視聴者国民のためにいいものを出していくというのが基本でありますから、そういう方向で我々はまた指導していかにゃならぬだろうとは思います。
○大出委員 ただいま私が視聴者の考えをそのまま伝えてと、そのままという言葉を使ったんですが、実はこれは、昨年十一月十六日に私が海老沢会長に質問をいたしました。そのときに会長がこのようにお答えになっているんですね。「そういう面で、我々は、先ほどからるるありますように、NHKの存立の基盤は、政治的に公平であること、」政治的公平についてのお話だったものですから、「そして中立を保つこと、そして、お互いいろいろな意見があるものはそのまま伝えて、できるだけ視聴者国民の判断の材料にするというのが基本だろうと思っております。」こうおっしゃっているものですから、基本線としては、そのままお出しをして、視聴者の皆さんに判断を仰ごうというお考えだったのだと思うんですが、先ほどの発言を変えることはございませんか。
○海老沢参考人 さきに答弁したものは、そのまま受け取ってもらって結構でございます。
○大出委員 もう時間がありませんので、最後にいたします。
実は、私も、今回この問題を扱うに当たってインターネットのメールを、いわゆるウエブサイトに入りましていろいろなメールを探すと、簡単に今の時代は出てくるんですね。これに関するリアルなメール等がございまして、情報に戸は立てられないなと。ただ、その情報が正しいかどうかはわかりませんけれども、かなり当事者でなければ言えないような情報が実はあったんです。
それはおいておきまして、その中にこういうのがありました。
NHKに励ましを言おうと思った人もいましたし、意見を言おうと思ったらしいんですね。それで電話をしたんだそうです。そうしたところ、そういうのはメールに送ってくださいと言われたというんですね。これが大変困ったことで、インターネットをやっておられない方だっておられるわけですので、その辺についてどのような今後のお考えがあるのかを会長にお伺いしたいんです。
○松尾参考人 視聴者の御意見をインターネットだけじゃなくてということだと思うので、これはNTTの深夜の録音も含めて、電話は視聴者のために全部開放してございますので、そのダイヤルをしていただければ対応するということでございます。それから、ファクスについてもPRをしておりまして、ファクスによる御意見というのも収集しております。インターネットだけではございません。
------------------------中略------------------------------------------
○横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問させていただきます。
(中略)
○横光委員 昨年の末は見解でございましたが、間もなく推進三カ年計画が発表されると思います。その中にもこういったことが恐らく盛り込まれるかと思いますが、今、総務大臣のお話では、NHKのあり方から考えて、いろいろな状況を踏まえながら非常に慎重に検討するというお答えでございました。
有料スクランブル化の一つの理由として言われております、いわゆる受信料の不払い者を減らすとか、不公平性の格差を是正するための有効措置であるということが言われておるのですが、私は、この受信料の不払い問題と有料スクランブル化の問題というのは全く別な問題ととらえているのですね。もちろん、地上波テレビで一八%、あるいはBSで二八%という未契約世帯があるというふうに言われております。これは大きな問題です。確かに受信料の不公平の格差が激しい。NHKは、この問題を解消するために全力で取り組んでいかなければならない。これに取り組まなければ、スクランブル化という問題が浮上してくるのです。ここのところを別な問題として、まずこのことは考えていきたいと私は思うわけですね。
そしていま一つ、この理由として、BSアナログ放送では困難ではあるが、BSデジタル放送については技術的にはスクランブル化に関する障害はなくなった、これも理由の一つに挙げられております。
これはつまり、技術的に可能だからスクランブル化導入を検討すべきという発想は、極論からいえば、いわゆる倫理観とか文化論、そういった問題よりも、科学技術の進歩とか競争促進のもとからの経済的な活動とか、そっちの方が優位である、優位にあるべきだということを言っているようなものだと私は思うのですね。
今よく教育改革、教育改革と、心の問題とか言われておりますが、放送の分野においても、こういったことが進めば、ますます倫理観や文化論というのはどんどん圧縮されていく可能性もあるわけでございます。
こういった状況がもし始まってしまいますと、どうしても商業的な色彩が強くなりまして、民間放送と変わらないような状況になってくる。いわゆる視聴率を優先し過ぎる余り、多様な視聴者のニーズにこたえることが非常に難しくなる。つまり、NHKが誇りとしてきた良質の番組制作を追求することが難しくなるおそれがあるわけでございます。
また、対価意識が助長されますと、先ほど大臣がおっしゃいましたように、本当に結果的には、いずれ、地上放送においてもスクランブル化をという議論が生じ、受信料制度そのものの崩壊を招くおそれも否定できない。こういった多くの問題点があるということを、慎重に踏まえて検討していただきたい。
確かに、有料スクランブル化というのはわかりやすいと思うのですね。見たから払う、あるいは見ないから払わない、確かに合理性はあります。しかし、先ほどからお話がございますように、受信機があるだけで見る人も見ない人も受信料を払う制度、このことによって、視聴者の多面的なニーズにこたえられる良質な番組がつくられてきたわけですから、そういった意味で、この問題は慎重に考えていただきたい。受信料というのは基本料金である、そういった感覚を私は持っております。
大臣、会長から先ほど今やこの受信料制度は世界で日本だけだというお話がございました。私はBBCが同じ制度だと思っていたのですが、BBCもだんだんといろいろな議論が始まっているわけで、そういった意味では、世界でもまれというより、たった一つしか残っていない受信料制度、それだけに非常に貴重な仕組みだと思うのですね。これは大げさでなく、文化的な遺産である、このようにさえ私は思うわけでございます。
こういった仕組みは、一度壊すと二度と戻りません。アフガニスタンのバーミヤンの石仏の破壊を見ると、本当に人間の愚かさと同時に、膨大なる、人類の世界遺産の喪失でございます。そういったこともふと感じているわけでございます。
民放があるからNHKの存在価値があり、またNHKがあるから民放が光る、こういうふうに相乗効果のもとに放送という分野で国民に寄与してきたわけでございます。
ただ、先ほどからきょうもお話がございますように、放送と通信の融合という時代が始まりまして、どこまでが放送でどこからが通信なのか、非常にわかりにくい、線引きが難しい時代になってきました。大変大きな転換期だと思っております。こういった大きな流れに乗ることも大切ですが、この大きな流れにのみ込まれないようにすることも、これまた大切でございます。大きな流れであるからこそ、守っていかなければならないことはしっかりと守っていかなければならないと思うのですね。ただ、そのためには、国民の信頼と理解がなくてはなりません。
そこで、ころっと話が変わりまして、今度はNHKに苦言を呈したいと思っております。
今言いましたように、先ほど会長も言われました、この制度を維持するためには国民の信頼がなければだめなんだというお話がございました。ところが、今、その信頼がちょっと揺らぎかねないような事態が起きたわけでしょう。先ほど同僚議員から質問がございました、いわゆる「ETV2001」のあのシリーズの問題ですね。
これは、私は、非常にいい、NHKでなければできないなというような、いわゆる挑戦的な、意欲が感じられる企画だと思っておるのです。民放では、ああいう番組はやはり制作できません。しかし、残念ながらその二話のところで、いろいろな、報道では疑問が生じてしまったのですね。
これは言うまでもありません。放送や番組内容は自主、自律の上に成り立つものであります。ですから、報道で言われているようなことが、たとえ片りんであっても事実であったとしたら、これはNHKにとりましては、NHKだけでなく、放送界全体にとりまして大変大きな信頼失墜につながりますし、大変な影響を与えかねない問題でございます。
本委員会はそういった個別の番組の内容を取り上げる場ではありませんが、放送の表現と自由あるいは放送の自主、自律という観点から、ちょっと一、二確認をさせていただきたいと思います。
この前、一月三十日にオンエアされた番組内容について、外部からの圧力を受け、その結果、内容が変更されたという、この事実はあるのかないのか、ここではっきりと、端的にお答えください。
○松尾参考人 番組の放送予定がテレビ雑誌等で掲載されてから、さまざまな立場の方から御意見はいただきました。それのみです。
○横光委員 そういったことがあったかどうかということを聞いておるので、御意見があったとかじゃなくて、そういった圧力によって番組が変えられたことは事実かどうかと言っているだけです。これが事実であったかどうか、答えるだけでいいんです。
○松尾参考人 事実ではございません。
○横光委員 その言葉は信じたいと思いますし、毅然と答えていただきたいと思います。私は、この問題は本当に、視聴者の皆様方がそれなりに記事を見て不信感や疑惑を持ったんですから、そういった人たちに説明あるいは理解を得るためには毅然と、そんな事実はありませんと答えていただきたい。
この問題がなぜ発生したか、私なりに考えますと、いわゆるこの作品は外注であった。NHK本体でもない、エンタープライズでもない、さらに外の会社に委託した。つまり、業界でいう孫請ですね。こういった場合、その企画、意図そのものの現場の思いと、制作するサイドがいかに密接に思いをすり合わせていかなきゃいけないか。これを怠ると、ただつくった、納入した、オンエアする、こういったことでは、いろいろなところに委託されていることと思いますが、非常に議論を招く内容においては、とりわけ現場の制作サイドと委託先の会社との企画、意図の意思の疎通というのは、これまで以上にしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
ただ、私は、こういった問題を踏まえて、NHKに改めて強く要請をしたい、お願いをしたい。
それは、今回取り上げたようなテーマは、議論が分かれるであろうということは、ある程度想定されていたと思うんですね。そういった難しいテーマに取り組んだ、これが、先ほど私が言うように、非常に挑戦的な意欲が感じられる企画の取り上げ方だと思うんですよ。本当にNHKしかできないんですから。そういったことで、放送を通じて国民の皆様方に深く考えていただき、そしてまた、論議を招くことを提供したわけで、これはすばらしいことだと思うんです。
ただ、こういった問題が浮上したために、議論を招くような問題はもう避けようとか、あるいはこういったテーマにアプローチすることに現場が萎縮する、このようなことがあっては決してならないと思うんですね。こういうことが起きてしまったら、もう民放と変わらなくなるんですから。
こういったことがあったとしても、本当に私は毅然と、先ほど言いましたように、自信を持ってこれからも公共放送の使命感を果敢に達成するために取り組んでいただきたい、このことを強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。