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★以下、長文だが、現時点での非常に妥当と思われるまとめなので紹介させていただく。反朝日陣営の99.99%は、指摘にあるように「NHK」対「朝日新聞」の対立に巻き込まれて、問題の本質を見失っている。何か共通の意図が働いているのかと勘ぐりたくなるほどだ。また、NHK側の主張が正しかったとしても、あるいは朝日側の主張が正しかったとしても、どちらになろうと、ここで指摘されている問題の本質は変わらないのである。
「すべてを疑え!! MAMO's Site<ジャーナリスト坂本衛のサイト>」
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/tv/nhk2.html#matome
<NHKに政治介入>
【「NHK」対「朝日新聞」の対立に巻き込まれるな!!
問題の本質を見失うな!!】
「NHK」対「朝日新聞」の対立が「訴訟も辞さない」という泥仕合になってきたところに、NHK会長の辞任表明が伝えられた。この状況をどのように見るべきか、メディアはどう報じるべきか、今後NHKや政治家に何を求めていくべきかについて、1月22日現在でまとめておく。
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一連の問題の本質は、「NHK」対「朝日新聞」の対立ではない。メディアは、その衝突を報じるのはよいが、どちらかに荷担するような報道をして両者の対立に巻き込まれるべきではない。また、両者の対立をクローズアップさせるあまり、問題の本質をぼかすような報道も、すべきではない。
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問題の本質とは、NHKの番組のチーフプロデューサーが「番組改変は政治家の政治的圧力によるものだった」と内部告発し、当時の政府高官が「NHKから放送前日に番組内容の説明を受け、偏った内容だと判断して、公正中立の立場で報道すべきではないかと意見を述べた」と自ら語り、NHK首脳も「事前に政治家のところへ番組内容を説明しに行くのは当然」という態度を崩さないことが、公共放送NHKのあり方としてどうなのか、また政治家と放送メディアのあり方としてどうなのか、ということである。
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私の見解は、当時の政府高官の話だけに基づいても、番組への干渉や政治介入があったと判断でき、それは放送法違反・憲法違反であるから、NHKも政府高官も反省すべきだ、というものである。政府高官の証言だけに基づいてそう結論できる以上、「NHK」対「朝日新聞」の争いにどっちが勝とうが負けようが、そんなことはどうでもよい。
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一連の問題に、もっとも責任があるのは、いうまでもなくNHKである。NHKは予算案や事業計画案について政府高官や政治家のところに説明に行ってもよいが、事前に番組内容を説明してはダメである。内容を説明したうえで番組を改変しては、なおダメである。それは放送法違反・憲法違反である。政府高官や政治家に内容を説明済みの番組を放送し、結果的に視聴者をバカにしたこともダメである。テレビ受像機を設置した者すべてから徴収する受信料で成り立つNHKが、特定の政治勢力におもねり、その御用聞きを務めるのは、そのことを許さない人びとからの受信料を失う恐れが強い(その結果、そのことを許す人びとが見る番組も劣化する恐れが強い)からダメである。
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一連の問題に、NHKについで責任があるのは、政府高官や政治家である。彼らは放送法・憲法を守る義務があるから、違反してはダメである。違反を疑われる行為も避けるべきである。また、「民主主義社会におけるメディアが公権力と緊張関係を保ち、公権力を監視しときに批判することが、民主主義社会をより健全なものにする」という見識のない政治家は、ダメである。NHKが自分のところに番組内容を説明に来るのは当然だと思っている政治家も、ダメである。「メディアは自分の考えや主義主張に沿う内容だけを伝えればよい」と思う政治家は、独裁国の政治家と同じ発想だからダメである。
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朝日新聞の報道に、間違った点があれば、それは訂正なり謝罪なりをすべきである。しかし、(4)NHKの責任と(5)政府高官や政治家の責任については、朝日新聞はNHKではなく、政府高官や政治家でもないから、責任がない。当たり前だが、朝日新聞に対していくら反論しても、裁判で勝ったとしても、(4)(5)の責任を免れることはできない。
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NHKは、今後は事前に番組内容を政府高官や政治家に伝えることはしないと、視聴者に対して約束すべきである。会長はじめ誰が辞任しようが、そう約束しなければダメである。予算案や事業計画案については説明に行っても構わないが、個別に訪ねていらぬ誤解(きっと何かおみやげを持参するに違いないとか)を受けたくなければ、国会議員に対する説明会を、議員会館の会議室で何度か開けばよい。必要と思えば、常識の範囲内でおみやげくらい渡してもよい。隠れてやるから疑われるのだ。
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政治家が今後どうすべきかは、すでに、このページに記した。付け加えれば、与野党を問わず総務委員会所属の国会議員が、国会で議論が始まる前にNHK予算案や事業計画案についてどうしても説明を受ける必要があるというのであれば、それは理解しよう。しかし、その説明がどうしてもNHK理事クラスの個別説明でなければ困るなら、それはなぜかという理由を国民の前に明らかにすべきである。与野党を問わず、審議してやるのだから挨拶に来なければけしからんなどと思うのは、時代錯誤もよいところである。
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放送法違反は、憲法違反はどうしてくれる、と思う読者もいるだろう。しかし、すでに記したように、違反にあたると思われる条文に罰則があるわけではなく、精神的・倫理的な規定に反するだけだ。関係者が「もうしない」といえば、とりあえずよしとすべきだろう。
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≪オマケ≫ 私は、地上デジタル計画の進め方に異議を唱えており、計画が順調には進んでいないのが「事実」で、2011年のデジタル放送完全移行は不可能だと、NHK・総務省・メーカーなどと「対立する意見」を述べている者である。しかし、地上デジタル計画の進め方はおかしいとか、2011年のデジタル放送完全移行は不可能だという主張が、日本の放送で流れたことは、ほとんどない。私が知っているのは、私が出演したCS番組1本だけだ。
ところで、放送法の第三条の二には「三 報道は事実をまげないですること。」「四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」とある。すると、地上デジタル放送計画の報道に関しては日本の放送局のほとんどが「放送法違反」をしていると、いえないこともない。馬鹿馬鹿しいから、これまで口にしたことはないけれども。 (「放送法違反」ではないという屁理屈もある。たとえば、地上デジタル放送についての「報道」など一切しておらず、宣伝しているだけだから、三の違反には当たらない。あるいは、地上デジタル放送の進め方に文句をいうのは無視してよいほどごく少数なので、意見が「対立」している状況とはいえず、四の違反には当たらない) そして、放送法違反だからといって、どうということもない。2011年段階で放送局は大慌てし、視聴者大衆がひどく迷惑を被るだけのことである。
なお、NHKがあれだけの不祥事や受信料の実態を隠していたからには、地上デジタル放送でバラ色の未来が描けるというNHKの宣伝を「眉に唾つけて」受け取るべきことは、いうまでもないだろう。興味のある方は以下のページをどうぞ。
地上デジタル放送現行計画「すでに破綻」の決定的な理由10
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/digital/hatan.html
ようするに、報道の自主規制をしているのは、NHKだけではないのだ。番組に事前介入して放送を潰したなどというのも、何十年か前は政府与党は当然ながら、労働組合や野党も盛んにやっていたこと(当サイト「テレビ資料集」を参照)。もちろん、政府、与党、野党、労働組合、市民団体、どんな勢力が事前に介入してこようとも、干渉をはねのけ、介入をけっ飛ばすのが、ジャーナリズム本来のあり方である。
聞く耳もたず勝手な番組をつくれというのではない。自ら信じる番組をつくり、批判があれば謙虚に受け止め、自ら信じる新たな番組をつくればいい。放送に詳しい人びとの間では「テレビにジャーナリズムはない」(「必要ない」ではなく「存在していない」)というのが多数意見だが、この状況は、なんとか変えていかなければならない。だからこそ、今回の問題はメディア全体の問題なのである。