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(回答先: 別に言えば、我われは 「NHK問題」で“クレタ人のパラドックス”に嵌っているのだ! 投稿者 鷹眼乃見物 日時 2005 年 1 月 23 日 03:56:34)
この「NHK問題」で、我われは『嘘つきのクレタ人のパラドックス』と呼ばれる言説の罠に嵌りつつあること自覚すべきです。ご周知のとおり、『嘘つきのクレタ人のパラドックス』とは、嘘つきのクレタ人が“自分は絶対に嘘を吐かない”と話した途端に、この嘘つきのクレタ人の言説そのものが、同じ次元の議論ではナンセンス(無意味な堂々巡り)となることです。
“自分は嘘を吐かないと、嘘つきのクレタ人が言った”という言説は、彼自身は嘘つきだという前提(嘘つきのクレタ人=真とする)があるので、そのクレタ人の言説全体が“嘘を吐いている”ことになります。しかし、このクレタ人の言説全体が嘘(偽)だとすると、そのクレタ人は嘘つきでない(自分は嘘を吐く、と正直者のクレタ人が言った)ということになります。
しかし今度は、そのクレタ人が嘘つきでない(正直者)とする(嘘つきのクレタ人=偽とする)と“自分は嘘を吐かないと、嘘つきのクレタ人が言った”という言説は正しいこと(真)になり、逆に、そのクレタ人は嘘吐きだということになります。このようにして、「嘘つきのクレタ人」に関する「真」→「偽」→「真」→「偽」→・・・の判断は永遠の堂々巡りのループ(罠)に嵌ります。
従って、鷹眼乃見物としては、今回の「NHK問題」でNHKと朝日のどちらが勝とうが負けようが、その次元の問題はあまり重要視しません。無論、現実的にはこの次元の議論こそ問題だという立場もあって当然なので、そのこと自体を否定するものではありません。しかし、この堂々巡りから抜け出すヒントは、視点を変えたメタ言語で論じ、思考することからしか生まれないと思っています。
とにかく、鷹眼乃見物は、この「NHK問題」に登場する主役・脇役の大物政治家やNHK大幹部などには殆ど関心がありません。ましてや、それぞれの黒幕がどこでどうリンクしているかなどにも興味はありません。つまり、彼らが嘘吐きなのか正直者なのか、NHKと朝日のいずれが嘘を騙っているのかなどには興味がないのです。
肝要なことは、この「NHK問題」を教訓に、我われ一般国民(市民)が政治権力等による「メディア・コントロール」の存在を自分にかかわるリスク管理の問題(国民主権にかかわるリスク管理の問題)としてリアルに自覚することができるかどうか、という点だと思っています。「国民主権」は座して上から与えられるものではなく、我われ一般市民(国民)が意識的・積極的に守るべきものです。
このような観点から見ると、今の日本の最大の危機は、『嘘つき首相のパラドックス』(及び、それを取り巻く御用学者集団がばら蒔く欺瞞に満ちた言説)のおかげで、リアルな政治にかかわる世界が堂々巡りの罠にスッポリ嵌りこんでしまい、ますます日本の将来像が見えにくくなりつつあることだと思っています。