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番組改編問題を扱った地方紙コラム
http://www.asyura2.com/0411/senkyo7/msg/596.html
投稿者 月読 日時 2005 年 1 月 16 日 22:20:44:ydTjEPNqYTX5.
 

(回答先: 番組改編問題を扱った地方紙社説 投稿者 月読 日時 2005 年 1 月 16 日 22:07:21)

高知新聞(小社会)

2005年01月15日

 ▼「ロッキード事件を簡単に風化させてはならない。事件が起きたとき、私は徹底解明して疑惑を解消しなければならないと思った」。

 ▼1981年、NHKのインタビューに対して三木元首相はこう答えた。「ロッキード事件五年―田中角栄の光と影」と題する報道特集のビデオどりの一幕で、首相在任時に起きた大事件を振り返っている。この個所がすべてではないが、不穏当な発言には思えない。ところが放送で元首相インタビューはカットされた。

 ▼ロッキード事件NHK版ともいわれる問題の始まりだ。疑惑解明に前向きだった三木氏に対する自民党内の反発は強かった。こうした動きを録画カットと絡める見方があったが、のちに有力な証言者が現れる。問題発生時にNHK報道局長だった島桂次・元会長だ。

 ▼自らの愛称を冠した自伝「シマゲジ風雲録」(文芸春秋)によると、番組の放送直前に自民党実力者から「手控えてくれ」との要望があった。NHK予算の国会審議への影響を心配する、当時のNHK会長らが幹部に働き掛けた結果、元首相録画などがカットされたという。

 ▼そのNHK。従軍慰安婦問題に関する特集番組で改編があったかどうか、政治介入があったかどうかで揺れている。関係者の言い分は食い違い真相は分からない。24年前の出来事と同じなのか、似て非なのか。

 ▼先の風雲録には報道局内から上がった声が紹介されている。「おかしいんじゃないですか。何か事情があるはずだ」。今の視聴者の思いと重なる。

http://www.kochinews.co.jp/0501/050115syakai.htm

  

神戸新聞(正平調)
2005/01/14

 クーデターで政権を奪おうとするとき、必ず狙う施設がある。報道機関だ。昨年起きたコンゴでのクーデターは未遂に終わったが、反政府側が真っ先に占拠しようとしたのが国営放送局だった。

 政治権力を握ったら、自らに有利な報道を強いがちになる。大統領選挙で揺れたウクライナがいい例だろう。政権寄りとされたテレビ局の記者らが、番組の中で「偏向放送をしていた責任を認める」と謝罪したのが、記憶に新しい。

 そこまではいかなくても、政治的圧力と受けとられかねない動きは日本でもある。自民党幹部が民放番組を名指しにして「偏向だ」と批判したことがあった。新潟県中越地震では「現地視察を伝える民放の報道時間が民主党より短い」と不満をぶつけた。

 今度は慰安婦問題でのNHK特集をめぐる圧力問題が持ち上がった。NHKの担当者が「番組を改変したのは政治的圧力が背景」と内部告発に踏み切った。指摘通りなら、あからさまな介入だろう。これでは政治家の顔色をうかがわないと番組がつくれなくなる。

 太平洋戦争の際、大本営は軍艦行進曲入りで戦況を伝えた。作家阿川弘之さんは、山本五十六・連合艦隊司令長官がその姿勢をこう批判したと自著の中で書く。「報道は静かに真相を伝えれば十分なんだ」。非常事態下でも報道は公正に。重い言葉である。

 憲法が表現や報道の自由を保障する現代。名前が出た政治家は否定しているが、告発の内容が本当なら、由々しいことだ。NHKがどう対応したかも含め、徹底究明してほしい。

http://www.kobe-np.co.jp/seihei/index.html

  

北日本新聞

発行/2005年 1月15日/

天地人

 「政治的圧力で、従軍慰安婦を特集した番組の内容を変えられた。会長はすべて了解し
ていた」と、涙ながらに会見したNHKプロデューサーの訴えは衝撃的だった。

 憲法二一条第二項に「検閲は、これをしてはならない」と定める。番組放送前に内容に
注文を付け、変更を迫ることは「検閲」ではないのか。NHKも名指しされた政治家も、
「圧力」の存在や「番組内容の変更」を否定するが、「表現の自由」にかかわる重大な問
題をはらんでいる。

 職員による不正経理事件が表面化し、受信料保留や不払いの動きが広がる。だが、現代
史を検証する重厚な番組やシルクロードの紀行番組など「NHKにしか作れない番組があ
るから、それだけでも受信料を払う」という声は強い。

 報道姿勢が「公平・公正」であり、「不偏不党」である。地震などの大規模災害時にい
ち早く特別報道態勢をとって、被災者に必要な情報を提供してくれると信頼を寄せる国民
も多い。訴えが事実なら、こうした国民の期待を裏切ったことになる。言論機関としての
姿勢が問われている。

 NHKは速やかに真実を国民に明らかにする必要があるだろう。会長は「辞任示唆」と
報道されているが、最高意思決定機関の経営委員会は、事と次第によっては罷免権行使を
ためらうべきでない。

http://www.kitanippon.co.jp/news/column/tenchi/tenchi.html

  

沖縄タイムス

<2005年1月14日 朝刊 1面>

大弦小弦
 戦後六十年間、まがりなりにも自由と民主主義を標榜してきたこの国で、何やらえたいの知れない不気味な影を感じてしまう。

 自民党の安倍晋三幹事長代理と中川昭一経済産業相が二〇〇一年、NHKの従軍慰安婦問題に関する特集番組の放送直前に「偏った内容で、公正中立に報道すべきだ」などとNHKに申し入れたという。NHKは内容を変更して放送したとされる(十三日朝刊)。

 当時、官房副長官だった安倍氏は「明確な偏向を指摘した」、現経済産業相の中川氏は「政治的圧力をかけて中止を強制したものではない」としているが、果たしてそうか。少なくとも番組担当のチーフプロデューサーが「政治的な圧力といわざるを得ない」と納得していないことは明らかだ。

 制作にかかわるものでしか知りえないはずの番組の内容がたやすく「関係者」を通して安倍氏に伝わったり、指摘を受けたNHK幹部がわざわざ両氏と面会する構図はどうにも腑に落ちない。

 公共放送のNHKは、視聴者の受信料で成り立っているはずだ。この間の事実関係の詳細と、対応を知りたいと考える視聴者は少なくないのではないか。

 憲法は表現の自由を保障し、検閲を禁じている(二一条)。にもかかわらず政権中枢に位置する安倍、中川の両氏が事前に番組の内容を知って「偏向」あるいは「公正中立」でない、と判断してしまう不可解さ。そこに危うさを感じてしまう。(平良武)

http://www.okinawatimes.co.jp/col/20050114m.html

  

伊勢新聞(大観小観)
2005年1月16日(日)
 NHKの番組が政治家の圧力でカットされたと、これまで最も問題になったのは昭和五十六年、ロッキード事件五周年関連番組だ。当初は、のちに会長になる島桂次報道局長が政府与党に慮って潰したと週刊誌などに書き立てられたが、国会虚偽答弁問題で失脚後に著した回顧録『シマゲジ風雲録』で、島氏は経緯を書いている▼ロッキード事件は、全日空への民間機売り込みを斡旋した見返りにロッキード社から五億円受け取ったとして同五十一年、田中角栄元首相が逮捕された政界の一大スキャンダル。小野吉郎NHK会長が保釈された元首相を自宅に見舞って、海老沢勝二現会長を上回る非難の嵐の中で辞任している▼その後を受けた初の生え抜き会長の坂本朝一氏が、二階堂進自民党総務会長からロッキード事件報道を控えろと言われて、予算が邪魔されたら大変だと島局長に善処を求めたことが事件の発端になる▼横紙破りで名高い渡辺恒雄読売新聞社社長から「ある意味でメチャクチャな記者」と称された島局長は、「からかわれたのさ」とその場で二階堂氏に電話して「あれは冗談」の言質を取ったが、坂本会長の脅えは納まらない。業務指示で止めるという意見も周辺に出たので、労働組合の影響力排除を条件に、一部カットを決断したという▼予算の国会承認という仕組みと、受信料の実態を追及されることを過剰に恐れ「政治家の顔色をうかがい、ペコペコする体質。介入を許す体質は、いつまでも変わらない」と島氏が書いて十年。今も変わっていないことを最近の内部告発とやらが確認させてくれる。

http://www.isenp.co.jp/taikan/taikans.htm

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